“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

■科学技術書<新刊情報>■月刊「ニュートン」/月刊「日経サイエンス」 2012年12月号特集

2012-10-30 10:38:45 | ●科学技術書・理工学書 <新刊情報>(2018年5月4日以前)●

 

<新刊情報>

 

月刊「ニュートン」 2012年12月号  特集

  ★医療新時代の扉を開いた山中伸弥教授とiPS細胞
    ~時間をさかのぼるように,細胞を未成熟な状態にもどした~

  ★今,解き明かされる最重要の細胞内器官 ミトコンドリア
    ~太さ0.001ミリのスーパーマシンが,私たちの健康を支配する~

 

月刊「日経サイエンス」2012年12月号 特集

  ★山中京大教授 ノーベル賞受賞
    ~山中教授の業績を詳しく紹介,受賞発表当日のインタビューも掲載~

  ★「限界」を科学する
    ~様々な壁に挑む研究の最前線を紹介~ 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

■科学技術テレビ番組情報■NHK「サイエンスZERO」/BS朝日「BBC地球伝説」 

2012-10-29 10:38:13 |    ◆TV番組◆

 

<テレビ番組情報>


NHK Eテレ  サイエンスZERO 午後11時30分~0時00分

  11月4日(日)  「銀河系に衝突!?マゼラン雲の正体に迫る!」

BS朝日     BBC地球伝説 午後8時~9時

  10月29日(月) 野生への帰還 チーター成長の記録
  10月30日(火) 自由への旅路 チーター成長の記録(2)
  10月31日(水) フューチャー・アース -地球と共に生きる- 前編 自然からの警告
  11月1日 (木)   フューチャー・アース -地球と共に生きる- 後編 未来へ向けて

 

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

■科学技術ニュース■国立天文台、アルマ望遠鏡により生まれたばかりの星から水分子を測定

2012-10-26 13:18:13 |    宇宙・地球

 国立天文台の廣田朋也助教が率いる研究チームは、アルマ望遠鏡を用いて、オリオン大星雲にある生まれたばかりの星 オリオンKL電波源I(アイ)において、高エネルギー状態にある水分子が放つメーザーの検出に成功した。

 高エネルギー状態の水メーザーは、年老いた星では、これまでに数例の検出例があるものの、生まれたばかりの星では初めての検出。これは、アルマ望遠鏡のかつてない高い感度と撮像能力によって初めて可能になった研究成果。

 研究チームはこれまで、国立天文台の電波望遠鏡ネットワークVERAを用いて、オリオンKL電波源Iの観測を行ってきた。電波源Iの周囲にあるガスの円盤や高速ジェットからは、低エネルギー状態にある水分子や一酸化ケイ素分子のメーザーが発せられている。

 VERAで得られたこのデータと今回アルマ望遠鏡で検出された高エネルギー状態の水メーザーを比較すると、それらが同じ速度で運動するガスから放出されていることが明らかになつた。このことは、高エネルギー状態の水メーザーも、生まれたばかりの星のごく近傍にあるガス円盤、あるいは高速ジェットの高温ガスから放射されていることを意味する。今回の研究により、高温ガスの新たな観測手段を手に入れ、生まれたばかりの星のより近くにまで迫る研究が可能になった。

 今後アルマ望遠鏡はさらなる高性能化が進められ、近い将来に現在の50倍の高解像度の天体画像が得られるようになる計画。これにより、アルマ望遠鏡を用いて、高エネルギー状態にある水メーザーの観測を通して、オリオンKLの性質やその周辺を回るガス円盤、噴き出す高速ジェットの詳細な撮像が可能になり、星がどのようにして生まれるかという謎の解明が進むと期待される。

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

■科学技術ニュース■NICT、テレビ放送周波数帯利用の無線LANの実証実験に世界で初めて成功

2012-10-25 10:47:34 |    通信工学

 情報通信研究機構(NICT)は、テレビ放送周波数帯(470MHz~710MHz)におけるホワイトスペースを利用した新たな無線LANの国際標準である、「IEEE802.11af」暫定規格(IEEE802.11af Draft 2.0)に準拠した「アクセスポイント」及び「端末」の開発並びに実証実験に、世界で初めて成功した。

 同技術によって、激増するトラフィックに対処できる無線通信環境を実現するための、ホワイトスペースにおける無線LANの技術開発が推進されることが期待できる。

 現在、米国FCCや英国Ofcom等の規制当局をはじめ、日本でも総務省ホワイトスペース推進会議などにおいて、「ホワイトスペース無線通信システム」は、実現に向け、その技術の検討等が行われている。

 今回の実証実験では、前回NICTが開発した、ホワイトスペースデータベースに接続し、テレビ放送周波数帯(470MHz~710MHz)において、一次利用者に影響を与えない周波数が自動的に選択され、無線通信を開始できることを実証した。

 NICTは、2014年度に策定完了を予定しているIEEE802.11afタスクグループにおいて、引き続き国際標準化活動を推進していくとともに、無線機の小型化・省電力化を検討し、技術移転を積極的に進めていくことにしている。

 また、現在、総務省で検討が進められているホワイトスペース推進会議での議論の進展等に合わせて、IEEE802.11afの適切な仕様変更等を提案していく予定。

 


 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

■科学技術ニュース■首都大学東京などの研究チーム、新しい層状超伝導物質系を発見

2012-10-23 10:51:00 |    化学

 首都大学東京、物質・材料研究機構、産業技術総合研究所、電気通信大学の研究チームは、ビスマス(Bi)と硫黄(S)を主成分とした新しい層状超伝導物質系(Bi4O4S3およびLaO1-xFxBiS2)を発見した。

 共通の特徴として、ビスマスと硫黄が二次元的に結合したBiS2層(超伝導状態が発現する層)とブロック層が交互に積層した結晶構造を持つ。さらに、比較的高い超伝導転移温度(Tc = 10.6 K)を観測している。

 今回、我々はビスマス(Bi)と硫黄(S)を主成分とした新しい層状超伝導物質系(Bi4O4S3およびLaO1-xFxBiS2)を発見した。粉末X線回折実験とリートベルト解析の結果、共通の特徴として、ビスマスと硫黄が二次元的に結合したBiS2層(超伝導状態が発現する層)とブロック層が交互に積層した結晶構造を持つことが明らかになった。

 このような層状構造は銅酸化物高温超伝導物質系や鉄系超伝導物質系と非常に類似しており、今後BiS2超伝導層を基本とした新たな物質が開拓され、高温超伝導機構解明の一つの鍵となることが期待される。

 今後、BiS2超伝導層を基本とした新超伝導物質が多く発見され、さらに高い超伝導転移温度を持つ物質の発見が期待される。また、BiS2層における超伝導発現メカニズムを解明することにより、今後の超伝導物質探索に新たな指針を与えるとともに、高温超伝導機構のさらなる解明が期待される。

 

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

■科学技術書<新刊情報>■現代素粒子物語~ヒッグス粒子から暗黒物質へ~

2012-10-22 10:40:14 | ●科学技術書・理工学書 <新刊情報>(2018年5月4日以前)●

 

<新刊情報>

 

書名:現代素粒子物語~ヒッグス粒子から暗黒物質へ~

著者: 中嶋彰

協力: KEK(高エネルギー加速器研究機構)

発行:講談社ブルーバックス

定価:1,029円(税込)

目次:第1章 神の粒子に挑むLHC
    第2章 素粒子物理ことはじめ
    第3章 ヒッグス粒子ことはじめ
    第4章 ヒッグス粒子を捕まえろ
    第5章 予言者、南部の物語
    第6章 宇宙を創った暗黒物質
    第7章 暗黒物質を捕まえろ

 ヒッグス粒子発見まで秒読み!“神の粒子”が覆す宇宙観と世界観。素粒子理論と超大型加速器が紡ぎだす「予言」と「発見」の物語。物質に質量を与えるという「ヒッグス粒子」。宇宙全体に広がる謎の「暗黒物質」。CERNの超大型加速器LHCを舞台に“世紀の捕り物劇”が開幕した。果たして理論が予言する粒子は見つかるのか? 素粒子物理学の最前線をやさしく語る。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

■科学技術ニュース■産総研、強磁性ナノコンタクト素子が5~140GHz発振可能を理論解明

2012-10-19 10:50:32 |    電気・電子工学

 産業技術総合研究所(産総研)ナノスピントロニクス研究センターの理論チーム 今村裕志研究チーム長、荒井礼子産総研特別研究員は、強磁性ナノコンタクト素子に直流電流を流すことにより5~140GHzの発振が可能であることを理論的に示した。

 従来の巨大磁気抵抗素子や強磁性トンネル接合素子を利用した発振では、発振周波数が低く、ミリ波(30GHz~300GHz)の発振が必要なレーダーなどへの応用は難しいとされていた。

 しかし、強磁性ナノコンタクト素子に電流を流すことで誘起されるスピンの歳差運動を、産総研が開発したシミュレーターを用いて解析したところ、強磁性ナノコンタクト素子に流れる電流を変化させると、マイクロ波からミリ波の領域で電流制御型発振素子として強磁性ナノコンタクト素子が振る舞うことが予測された。

 このような強磁性ナノコンタクト素子が実現できれば、次世代の無線通信技術やセンサー技術への応用が期待できる。

 今後は、今回の理論提案に基づいた高周波発振素子の試作・評価、受信素子の研究開発を行い、強磁性ナノコンタクトを用いた無線通信システムの実現に向けて研究を進めていくことにしている。

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

■科学技術ニュース■NEDO、東大など、光触媒での抗ウイルス効果の実証に成功

2012-10-18 10:53:34 |    化学

 NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が実施した「循環社会構築型光触媒産業創成プロジェクト」において、東京大学と助成先各社は、新しい原理に基づいた光触媒材料開発を実施。これにより、銅系化合物酸化チタン材料で従来よりもさらに優れた抗菌効果に加え、これまでは実現困難とされていた抗ウイルス性能に優れた新しい光触媒材料を開発した。

 開発した光触媒材料は、光が当たらない暗所でも抗ウイルス効果を発揮し、ウイルスの数は1時間で4桁減少、99.99%のウイルスを不活化することができ、可視光を照射したところ、1時間で7桁以上のウイルスを不活化することを確認した。

 また、同材料を適用した空港および病院での実証試験により、その効果の実証にも成功した。
 
 この成果により、住宅建材関連市場や医療関連市場をはじめ、環境対応素材を必要とする様々な製品市場等での事業展開が期待される。

 銅系化合物酸化チタン材料については、助成事業先である昭和タイタニウムにおいて今後量産化に向けた本格的な検討をスタートする。また、同材料を適用した製品化については、盛和工業(空気浄化システム)、積水樹脂技術研究所(内装材)、TOTO(タイル、塗料)、日本板硝子(ガラス)、パナソニック(フィルム材) 、太陽工業(テント材)各社において検討を進めている。
 
 今回の実証試験の結果により実用化の目途が得られたので、今後早期事業化を進め、新しい市場の開拓に挑戦することにしている。


 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

■科学技術書・理工学書ブックレビュー■「新しい物性物理」(伊達宗行著/講談社)

2012-10-15 10:38:11 |    物理

書名:新しい物性物理―物質の起源からナノ・極限物性まで―

著者:伊達宗行

発行所:講談社

発行日:2005年6月20日第1刷

目次:第1章 物性物理学の誕生
    第2章 物質の起源
    第3章 物性の出発点
            1.電子の素顔
      2.原子の構造 
    第4章 物質の構造
      1.原子の結合
      2.構造を決める
    第5章 電気伝導の世界
      1.半導体
      2.超伝導
    第6章 磁気の世界
      1.磁気学序説
      2.磁性体 ほか
   第7章 物性の新局面
      1.ナノ科学の展開
      2.カーボン科学の台頭 ほか
   第8章 極限科学
      1.温度の世界
      2.圧力の世界 ほか

 最近、「理化学研究所が、113番元素の3回目の確認の成功により、アジア初の命名権に一歩近づく」というニュースが飛び込んできた。既に理化学研究所は、113番元素の2回の確認をしてきたが、これまで国際的な認定を受けているまでには至っていない。しかし、今回3回目の確認ができたことで、周期表に日本発の名前を、アジアの国として初めて書き加えることができる可能性が出て来たのである。。1869年、ロシアのメンデレーエフが「元素周期表」を提唱して以来、自然界に存在する元素は、原子番号92番のウラン(U)まで発見されていた。93番以降は人工的に合成され、米国、ソ連、ドイツ、そして最近では114番と116番についてロシアと米国の共同研究グループが存在を報告、元素発見の優先権について国際的な認定を受けている。誰もが学校で学ぶメンデレーエフの「元素周期表」に、日本発の名前が付けば、あの覚えるのが大変で、試験の前に一夜漬けして覚えた名前も、比較的容易に覚えられるようになるかもしれない(?)と思うと、是非とも、メンデレーエフの「元素周期表」に日本発の名前が付けられることを祈るばかりだ。

 「新しい物性物理―物質の起源からナノ・極限物性まで―」(伊達宗行著/ブルーバックス)は、固体、液体、気体からなる物質の世界を知るには最適な書である。百種類を超える元素を組み合わされて、数百万種といわれる物質が生まれるわけであるが、これらを体系だって理解することは並大抵のことではできない。しかし、それは物性物理と呼ばれる新しい学問体系が成立したことによって、比較的容易に理解することが可能となったのだ。この書は、そんな物性物理学の最新成果に基づいて書かれたものだけに、初心者から専門技術者までに至るまで、物質とは何ぞやということが、適切な図表を交え、分りやすく解説してある。難しい数式は最小限に止められているので、科学の教養書としても読みこなすことが可能だ。物性物理自体、20世紀の革命児である量子論と相対論の成立を受けて始まった新しい学問体系である。つまり、量子論と相対論の登場で初めて物質の理解が深まったのである。

 ところで、物性物理という言葉は、日本発の言葉であることが同書の冒頭で紹介されており、少々驚く。科学技術の用語は、そのほとんどが欧米で生まれたものが多く、日本発と言われると戸惑うことも事実である。「英語では物性物理学は、固体物理学、または凝縮体物理学と言う。しかし、英語は実体を完全に表していない。固体に限らず、液体も研究対象であるから固体物理学では不十分である。また凝縮していなくても、例えば気体も重要な研究対象である。結局、英語は実体を表せない、ということになる」と筆者の伊達宗行氏は言う。何故、そうなったのか。西欧は、根本物質を求め続け、その結果として固体とか凝縮体などの物質の行き着く。これに対して東洋はあくまで物質の「性質」を求める。この2つの捉え方の違いが、固体物理学または凝縮体物理学、そして物性物理学という言葉の相違になったという。日本で物性という言葉が使われたのは明治5年というからびっくりする。しかし、物性と言う言葉は、その後一時忘れ去られていたが、量子論と相対論の登場で、永宮健夫阪大教授と久保亮五東大教授の二人が「物性論」という言葉を再び復活させたのだという。

 同書の第8章は、極限科学の話が紹介され、これからの物性物理学の進む方向が示唆され興味深い。例えば、レーザー冷却が紹介されている。レーザーで原子を超低温まで冷却する。そんな破天荒なことが、と思われる研究が現れ、固体では実現できていないナノK領域に初めて到達することに成功した。また、圧力の世界では、瞬間的な超高圧については、上手につくられたテトラアンビルによる圧縮装置で、数十万気圧の発生が可能となっている。超高圧研究最大の目標は、水素の金属化、そして超伝導の発見という。一方、超高真空については、総合技術の集約によって10のマイナス10乗気圧以下に達している。強磁場についても研究が続けられている。オーステナイトに強磁場をかけると、マルテンサイトと呼ばれる結晶に構造が変わる。YbB12という化合物は半導体であるが、これに磁場をかけるとバンドギャップが消失して、約50テスラで金属となるという。これからも物性物理での飽くなき探求の旅は、続いていくことになる。(勝 未来)

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

■科学技術ニュース■NEC、エネルギー密度を30%向上した次世代マンガン系リチウムイオン二次電池を開発

2012-10-12 10:44:09 |    エネルギー

 NECは、マンガン系リチウムイオン二次電池の高電圧動作を実現する正極と、高電圧動作時の安定性を向上した電解液を開発し、電池を試作した。これにより、将来の電気自動車の航続距離延伸や、電池の軽量化を実現させることができる。

 同社は現在、埋蔵量が豊富で安価なマンガンを正極に採用したリチウムイオン二次電池を開発・生産し、電気自動車や家庭用などの大容量蓄電池に搭載されている。しかし、重量当たりの容量(エネルギー密度)の向上が課題となっている。

 同社は、この課題の解決に向けて、電池の高電圧化や、それにより正極の表面で発生する電解液の酸化分解を抑制する電解液の開発を進めてきた。

 今回開発した正極と電解液により、電池の安全性を維持しながら、エネルギー密度を約30%向上し、同時に大容量化・軽量化を実現したもの。これにより、電気自動車の航続距離の延伸、蓄電システムの軽量化、セル数の低減によるバッテリーシステム管理の簡易化などを実現。

 また、高電圧駆動ながら、従来の4V系リチウムイオン二次電池と同等の長寿命も実現した。

 

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする