新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、エネルギーの供給過程で排出される未利用熱の革新的活用技術に関する研究開発に取り組んでいるが、今般、未利用熱エネルギー革新的活用技術研究組合(TherMAT)と、名古屋大学とともに、世界最大6.2kWの熱エネルギーを無電力で輸送できるループヒートパイプを開発した。
開発したループヒートパイプは、大量の熱輸送を可能にするため、蒸発器構造をボックス構造に改良したほか、凝縮器の最適化を図ることで安定した動作を可能にした。
今後、自動車のエンジンや工場からの排熱利用、電気自動車やデータセンターの機器類の熱マネジメント、大型発熱機器の冷却などへの適用を図り、抜本的な省エネルギー化を目指す。
今回開発したループヒートパイプは、大熱量を輸送するため、蒸発器構造をボックス構造に改良して熱伝達性の向上を図り、熱源と平面での高効率な接触を可能にしたほか、凝縮器内の気液二相流動モデルを構築し、管内の圧力損失増大を抑えつつも気液の分離が起きない環状流の領域が確保できるサイズになるように管径を最適化した。
この技術は、自動車分野においては、大量に放出されるエンジン排気熱の回収と利用、熱が不足する電気自動車でのモータ廃熱の空調活用といった熱マネジメントにより、省エネルギー化と燃費向上の効果が期待される。
また工場内の炉などで発生する大量排熱の輸送と熱利用設備での活用、蓄電設備やデータセンターなどの熱マネジメント、電動機や変圧器など大型発熱機器の冷却といった用途に適用することにより、設備機器の高効率化と抜本的な省エネルギー化が期待される。(新エネルギー・産業技術総合開発機構<NEDO>)