“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「新説 宇宙生命学」(日下部展彦著/カンゼン)

2021-02-26 09:38:26 |    宇宙・地球

 

<新刊情報>

 

書名:新説 宇宙生命学  

監修:田村元秀 

著者:日下部展彦 

発行:カンゼン

 宇宙がどういったものかを知る術がない時代から、宇宙には地上と異なる世界があるのではないかと考えられてきた。私たち人類はそこに存在するかもしれない「異なる世界の住人」である神さまを思い描き、神さまにおける世界のはじまりなどを想像し、人類はおのおのの場所で宇宙に対しての思いを巡らせてきた。それでは、現代ではどうか?目覚ましい科学の発展により系外惑星を含む多くの発見がなされ、古代における想像から私たち人類は天文学と宇宙に対する考え方が徐々に変わっていきた。新しいことがわかるにつれ、地球以外にも本当に生命の存在はあるのではないか、そうした疑問と期待が入り交じる中で科学的な見地から宇宙における生物を研究している専門家がいる。同書では「宇宙における生命」をテーマに、アストロバイオロジー「宇宙生物学」を研究している専門家が、天文学や地球外生命研究における変遷や未来をわかりやすく解説。

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●科学技術ニュース●コマツ、NTTドコモと共同実験で商用5Gによる鉱山向け大型ICTブルドーザー遠隔操作の実証実験に成功 

2021-02-26 09:37:34 |    通信工学

 コマツは、NTTドコモと共同で、商用の第5世代移動通信方式による鉱山向け大型ICTブルドーザー「D375Ai-8」の遠隔操作の実証実験を公開した。

 同実証実験は、ドコモと共同で実施し、2020年11月に日本国内で初めて成功した商用5Gを用いた建設・鉱山機械の遠隔制御となる。

 オペレーターは東京都に設置された遠隔操作卓に座り、遠隔地(大分県)にあるブルドーザーからリアルタイムで送信される複数台のカメラ映像を見ながら、遠隔操作で土砂を掘削する。

 なお、同技術には高解像度カメラおよび低遅延映像圧縮装置を用いることで、遠隔操作による作業を可能としている。

 遠隔操作卓では、ブルドーザー車載カメラにて、前後左右、作業機を視認できることに加え、車両の運転席同様に、マルチモニターの車両情報及びマシンガイダンスモニター(ICT施工専用モニター)にてICT施工の状況を確認することができる。

 コマツは2017年よりドコモと5Gのモバイルネットワークを利用した建設・鉱山機械の遠隔制御システムの開発を目的とした実証実験の協業を開始しており、2018年には試験用の5G装置を利用した大型ブルドーザーの遠隔操作のデモンストレーションを実現した。

 今回の商用5Gを用いた遠隔操作の実証実験の成功は、鉱山機械の自動化・遠隔化の実用に向けて着実に開発を推進させたものと言える。(コマツ)

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●科学技術ニュース●理研、スパコン「富岳」を使い新型コロナウイルス感染の分子機構を解明

2021-02-26 09:36:59 |    生物・医学

 理化学研究所(理研)計算科学研究センター粒子系生物物理研究チームの杉田有治チームリーダー、小林千草技師、開拓研究本部杉田理論分子科学研究室の森貴治専任研究員、ジョン・ジェウン専任技師らの研究チームは、スーパーコンピュータ「富岳」と「Oakforest-PACS」を用いて新型コロナウイルスSARS-CoV-2の表面に存在する「スパイクタンパク質」のシミュレーションを行い、ウイルスがヒト細胞に侵入する際に起こるスパイクタンパク質の構造変化において、スパイクタンパク質表面を修飾している糖鎖が重要な役割を果たしていることを発見した。

 同研究成果は、新型コロナウイルス感染症 COVID-19に対する感染予防や治療に向けた医薬品の分子設計に貢献すると期待できる。

 新型コロナウイルスのスパイクタンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)には、「ダウン型構造」と「アップ型構造」が存在し、RBDがヒト細胞表面のACE2受容体に結合して感染する際はアップ型構造をとっていることが知られている。

 今回、同研究チームは「富岳」と「Oakforest-PACS」を用いて、スパイクタンパク質の分子動力学シミュレーションを行った。その結果、ダウン型構造とアップ型構造の両方において、スパイクタンパク質の表面を修飾している糖鎖が"補強役"となってRBDを安定化していることを発見し、RBD間の静電的な反発が駆動力となり、アップ型への構造変化が誘起されるという分子メカニズムを提案した。(理化学研究所<理研>)

 

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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「化学センサ・バイオセンサ」(矢嶋摂子、長岡 勉、椎木 弘著/共立出版)

2021-02-26 09:36:22 |    化学

 

<新刊情報>

 

書名:化学センサ・バイオセンサ

編者:日本分析化学会

著者:矢嶋摂子、長岡 勉、椎木 弘

発行:共立出版(分析化学実技シリーズ 全30巻 応用分析編 【2】巻)

 化学センサやバイオセンサは、目的物質を測るデバイスであり、環境、医療、食品など様々な分野で利用され、私たちは知らぬ間にセンサのお世話になっている。センサと一括りに呼ばれているにもかかわらず、目的物質や用途、環境に応じて機構が異なるため原理や構成は多岐にわたっており、まさにセンサ万別である。センサを取り扱う専門書は多くあるが、基礎と実用とのギャップの解説は他の専門書などに委ねられている場合が多く、センサを理解するためには独自に情報収集し、学習する必要があった。同書では、基礎から応用、実用技術に至るまでの多岐に渡る内容をできるだけ効率よく学習できるように工夫した。また、多くの読者が理解しにくいと感じる理論、技術に関しては図表を用いるなど、丁寧に解説することも心がけた。特に、イオンセンサ、血糖値センサや衛生管理用センサ、味覚センサについて実例を挙げて解説した。

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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「フォン・ノイマンの哲学」(高橋昌一郎著/講談社)

2021-02-25 09:53:10 |    情報工学

 

<新刊情報>

 

書名:フォン・ノイマンの哲学~人間のフリをした悪魔~

著者:高橋昌一郎

発行:講談社(講談社現代新書)

 21世紀の現代の善と悪の原点こそ、フォン・ノイマンである。彼の破天荒な生涯と哲学を知れば、今の便利な生活やAIの源流がよくわかる。「科学的に可能だとわかっていることは、やり遂げなければならない。それがどんなに恐ろしいことにしてもだ」 彼は、理想に邁進するためには、いかなる犠牲もやむを得ないと「人間性」を切り捨てた。

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●科学技術ニュース●第61回 「東レ科学技術賞」、松島綱治氏と野崎京子氏が受賞

2021-02-25 09:52:35 |    ◆受賞◆

東レ科学振興会は、第61回「東レ科学技術賞」を次のとおり決定した。

     東京大学名誉教授・東京理科大学生命医科学研究所教授   松島 綱治 氏
  
     東京大学大学院工学系研究科教授             野崎 京子 氏
  
 贈呈式は3月15日、東京・丸の内の日本工業倶楽部で行う。


    

松島 綱治氏  炎症制御因子研究を通した免疫難病治療への貢献
  
 炎症は生体組織の損傷に対する生体防御機構の一つである。氏は炎症制御因子 IL-8 を発見し、炎症時の白血球浸潤の機序を明らかにした。さらに、炎症制御因子の研究を基盤として、成人 T 細胞白血病の治療薬の開発をはじめ免疫難病の治療に貢献したことが高く評価された。
  
 野崎 京子氏  有機合成化学を基盤とする重合触媒の開発
  
 氏は、医農薬などの低分子の精密合成に用いられる触媒的有機合成の手法を高分子合成に適用し、官能基含有ポリオレフィンや二酸化炭素を原料とする高分子などの新規高分子合成に顕著な業績を挙げた。これらの新材料は環境負荷が低い材料として幅広い応用が期待される。 

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●科学技術ニュース●NEDOと神戸大学、目的物質の生産能力を大幅に高めた細胞「スマートセル」開発技術を集積したパイロットラボを設立

2021-02-25 09:52:14 |    生物・医学

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と神戸大学は、植物や微生物を用いた高機能品生産技術の開発(スマートセルプロジェクト)に取り組んでおり、目的物質の生産能力を大幅に高めた細胞である「スマートセル」を開発するプラットフォーム確立を目指すべく、同プロジェクトで開発してきた要素技術を集積したパイロットラボを、神戸大学先端融合研究環の統合研究拠点内に設立した。

 このパイロットラボでは、独自に開発した長鎖DNA合成技術やハイスループット組み換え技術、高速・高精度の細胞代謝物測定技術を組み合わせることで、スマートセルを従来の5分の1以下の期間で開発できる。

 今後、実際に企業などがパイロットラボを「スマートセル開発プラットフォーム」のプロトタイプとして広く活用することにより、ターゲットとする特定の物質に対するスマートセルを高速で構築し、高機能な化学品や医薬品原料などをバイオプロセスにより効率よく生産する次世代産業「スマートセルインダストリー」の創出を目指す。(新エネルギー・産業技術総合開発機構<NEDO>))

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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「離散群の幾何学 」(藤原耕二著/朝倉書店)

2021-02-25 09:51:13 |    数学

 

<新刊情報>

 

書名:離散群の幾何学 

著者:藤原耕二

発行:朝倉書店(シリーズ: 現代基礎数学 05 )
 
 群論の初歩を知っている読者に向けた、離散群論の入門書。幾何学的群論の紹介を兼ねる。〔内容〕群の例/群のケイレイグラフ/自由積と群の表示/群のエンド/双曲平面の幾何/ツリーの幾何と群作用/融合積とHNN拡大/双曲群

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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「レンブラントの身震い」(マーカス・デュ・ソートイ著/新潮社)

2021-02-24 09:34:22 |    人工知能(AI)

 

<新刊情報>

 

書名:レンブラントの身震い

著者:マーカス・デュ・ソートイ

訳者:冨永星

発行:新潮社

 あのレンブラントが「新作」を発表!? AIは創造性を獲得できるのか。人工知能は、アートや音楽、文学、そして数学などの分野で「創造性」を発揮しつつある。何世紀も前の巨匠たちの作品を学習したAIが「新作」をつくり、数学の証明を代行するようになったいま、機械は私たちを感動させることができるのか? 「素数の音楽」で知られる数学者による知的好奇心に満ちたサイエンス・エッセイ。

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●科学技術ニュース●日本鉄鋼連盟、「我が国の 2050 年カーボンニュートラルに関する日本鉄鋼業の基本方針」を発表

2021-02-24 09:33:58 |    ★炭素ニュース★

 日本鉄鋼連盟は、次の趣旨からなる「我が国の 2050 年カーボンニュートラルに関する日本鉄鋼業の基本方針」を発表した。

 ①我が国の 2050 年カーボンニュートラルという野心的な方針に賛同し、これに貢献すべく、日本鉄鋼業としてもゼロカーボン・スチールの実現に向けて、果敢に挑戦する。鉄鋼業としては、①技術、商品で貢献するとともに、②鉄鋼業自らの生産プロセスにおける CO2排出削減に取り組んでいく(ゼロカーボン・スチール)。

 ② ゼロカーボン・スチールの実現は、一直線で実用化に至ることが見通せない極めてハードルの高い挑戦であることから、現在鋭意推進中の「COURSE50 やフェロコークス等を利用した高炉の CO2 抜本的削減+CCUS」、更には「水素還元製鉄」といった超革新的技術開発への挑戦に加え、スクラップ利用拡大や中低温等未利用廃熱、バイオマス活用などあらゆる手段を組み合わせ、複線的に推進する。

 ③我々が挑戦する超革新的技術開発

  製鉄プロセスの脱炭素化、ゼロカーボン・スチール実現には、水素還元比率を高めた高炉法(炭素による還元)の下で CCUS 等の高度な技術開発にもチャレンジし、更に多額のコストをかけて不可避的に発生する CO2 の処理を行うか、CO2 を発生しない水素還元製鉄を行う以外の解決策はない。

 特に水素還元製鉄は、有史以来数千年の歳月をかけて人類が辿り着いた高炉法とは全く異なる製鉄プロセスであり、まだ姿形すらない人類に立ちはだかる高いハードルである。各国も開発の途についたばかりの極めて野心度の高い挑戦となる。

 また、実装段階では現行プロセスの入れ替えに伴う多大な設備投資による資本コストや、オペレーションコストが発生するが、これらの追加コストは専ら脱炭素のためだけのコストで、素材性能の向上にも生産性の向上にも寄与しない。(一般社団法人日本鉄鋼連盟)

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