“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術ニュース●慶應義塾大学、自動運転用LiDARセンサーに対する網羅的セキュリティー調査を世界で初めて実施

2024-03-05 09:31:49 |    輸送機器工学
 慶應義塾大学 理工学部 電気情報工学科の吉岡 健太郎 専任講師らは、カルフォルニア大学 アーバイン校のアルフレッド・チェン 助教授、同校 博士課程学生の佐藤 貴海と共同で、自動運転用のセンサーが持つ脆弱性に焦点を当てた初めての網羅的セキュリティー調査を実施し、どのような対抗策が必要か明らかにした。

 自動運転技術は私たちの未来社会を大きく変革するポテンシャルを秘めているが、その安全性の向上が不可欠。早期段階で脆弱性を特定し、それらを解消することが求められている。

 同研究では、新旧あわせて9種類のLiDARセンサーに対する網羅的な脆弱性調査を行い、新たな攻撃手法「HFR(高周波レーザー除去)攻撃」の実用性を実証した。

 その結果、さまざまな種類のLiDARセンサーにおいて物体消失を起こすことが可能であることを明らかにした。

 この研究成果は、自動運転車両のセンサーセキュリティー問題に新たな警鐘を鳴らすとともに、その防御策の開発につながる大きな一歩として、自動運転の安全性向上が期待できる。<科学技術振興機構(JST)>
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「中国が日本に挑む自動車覇権」(高橋琢磨著/日本評論社)

2023-10-26 09:42:33 |    輸送機器工学



<新刊情報>



書名:中国が日本に挑む自動車覇権~トヨタはEV化を乗り切れるか~

著者:高橋琢磨

発行:日本評論社

 世界の自動車市場はEV(電気自動車)化へと急速に進んでいる。米中が先陣を切る中、大きく出遅れた日本企業の巻き返し策とは。【目次】 序 章 トヨタの社長交代に見る日本の自動車産業の危機 第1章 EV化への潮流:CASE呪縛の下でのドミナントデザイン 第2章 「中国製造2025」でハイライトされたEVへのシフト 第3章 戦略部品「EV電池」での経営:BYD 第4章 新規参入者テスラが果たした役割と自動運転への展望 第5章 新たなEV需要開拓の任になう小粒の諸侯経済 第6章 経済発展がもたらす新たな市場 第7章 真のゼロエミッション車を求めて 第8章 EVが拓く自動車市場の新たなジオテクノロジーの地平
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「なぜ世界はEVを選ぶのか」(大西 孝弘著/日経BP)

2023-09-13 09:33:20 |    輸送機器工学



<新刊情報>



書名:なぜ世界はEVを選ぶのか~最強トヨタへの警鐘~

著者:大西 孝弘

発行:日経BP

 これは正論の競争じゃない。雇用をめぐる国家間の戦いだ―。世界中で進むエンジン車からEV(電気自動車)へのシフト。欧州はエンジン車の販売を実質的に禁止する方針を打ち出し、米国は"国産"のEVの優遇を始めた。自動車メーカーを巻き込んだEVシフトは、各国政府の陰謀か、それとも世界全体の未来か。欧州を中心に駆け回って自動車メーカー幹部やEVユーザーを徹底取材した著者が分析する、EVシフトの本当の意味とは。そして、トヨタ自動車をはじめとする日本の自動車メーカーにどんな影響をもたらすのか。2050年の「カーボンニュートラル」実現に向けて大きく転換する巨大産業の行く末を占う。【目次】 第1章 攻めるテスラ、BYD どうするトヨタ、VW? 第2章 フォルクスワーゲン 〝地獄〟からのEVシフト 第3章 これはトヨタの未来か VWが直面する5つの課題 第4章 「欧州の陰謀」論から世界の潮流へ 第5章 EVユーザーの実像 もはや「ニッチ」ではない 第6章 高級車勢は「EV専業」 ボルボ・メルセデスの深謀遠慮 第7章 フェラーリとポルシェ 半端では生きられぬエンジン 第8章 テスラとBYDの野望 電池と充電が生む新ビジネス 第9章 EVリス
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●科学技術ニュース●日立、イタリア・ジェノバで画期的なスマートデジタル交通アプリの商用サービスを開始

2023-08-15 09:36:12 |    輸送機器工学
 日立製作所の鉄道システム事業におけるグループ会社である日立レール社は、このたび、イタリア・ジェノバ市の交通当局 AMT と新たな契約を締結した。これにより、日立が世界に先駆けてジェノバ市に導入した、同市の公共交通インフラ全体を結ぶ「360Pass アプリ」の利用が、60 万人のジェノバ市民と、同市を訪問する年間 350 万人の観光客に開放される。

 1年間のトライアルを成功させた 360Pass アプリは、ジェノバで「GoGoGe」として知られており、市内のマルチモーダル交通に変革をもたらす。同サービスは、市内の公共交通機関と民間交通機関を連携させることで、ジェノバに住んでいる人やジェノバを訪れるすべての人に、複数の交通機関を利用した旅程の計画、予約、最安値の運賃の支払いを可能にする。8月から利用可能で、ダウンロードは完全に無料。

 同サービスにより、ジェノバでは、バス(663 台)、バス停(2,500 カ所)、地下鉄(年間利用者数 1,500 万人)、ケーブルカー(2 基)、登山鉄道(1 路線)、公共エレベーター(10 基)、郊外バス(2 路線、全長 50km)がデジタルで接続されている。

 利用者は携帯電話のボタンを押すだけで、電気自動車のレンタルや、駐車場料金の支払い、電動スクーターがどこにあるかの確認などもできる。

 360Pass アプリは、乗客が最速で最も便利なマルチモーダルな旅程の候補やリアルタイムの交通情報を提供する。また、乗客はアプリを通じてバスの混雑状況を確認し、混雑していない交通バスを選択することができる。

 この技術の価値を明確に示すために、日立が実施した 「グローバルにおける公共交通機関に対する意識調査」 によると、混雑状況に関するリアルタイム情報を見ることができれば、73%の人が公共交通機関を利用する可能性が高いことが分かった。

 このアプリにより、従来の紙のチケットを購入するために並んだり、異なる交通サービスのために複数のアプリをダウンロードしたりする必要がなった。

 360Pass は、乗り物や街中の駅や停留所に設置された 5Gブルートゥースセンサーで、モバイルアプリを利用した乗客がいつ搭乗し、どのくらいの距離を移動し、いつ降りたかを識別する。これにより、利用者は異なる交通手段を使用している場合でも、最安値の運賃を支払うことができる。

 同サービスの開始に加えて、トレニタリア社(Trenitalia/Ferrovie dello Stato=イタリア鉄道グループ傘下の鉄道事業会社)との新たなパートナーシップにより、アプリ利用者はジェノバの公共交通機関だけでなく、ローカル電車やインターシティ電車でも移動できるようになる。また利用者は、一週間の最安値の運賃で支払うことができるようになる。<日立製作所>
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●科学技術ニュース●NEDOとジャパンエンジンコーポレーション、次世代船舶向け2ストロークエンジンでの世界初のアンモニア混焼運転を開始

2023-06-30 09:34:08 |    輸送機器工学
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、グリーンイノベーション基金事業「次世代船舶の開発」の一環として、低・脱炭素燃料エンジンの開発に取り組んでいるが、今回、舶用アンモニア燃料エンジンの開発で試験エンジンが完成し、世界初となる大型低速2ストロークエンジンでのアンモニア燃料の混焼運転を開始した。

 また、舶用水素燃料エンジンの開発では、水素燃料噴射装置が完成し、作動試験を開始した。

 これらの開発は(株)ジャパンエンジンコーポレーションが担当している。

 今後は、これらの試験機器を用いてさらなる技術開発を進め、フルスケール実証用エンジンの設計や製造、検証運転といった社会実装に向けた研究開発を進める。

 これにより、2050年カーボンニュートラルへの道筋を示し、船舶産業における温室効果ガスの排出量削減に貢献する。

 今後1年以上にわたって水素燃料噴射試験装置の試験を実施し、水素高圧噴射装置の構造や仕様などの設計細部の検証を進め、基礎データを蓄積する。

 その後、フルスケール実証用水素燃料エンジンの開発・設計・製造を進め、2026年から約1年間の実機検証運転を経た後、2027年3月の完成を予定している。

 そして2028年に、水素燃料2ストロークエンジンを搭載した船舶の竣工、商業運航開始を目指す。<新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)>
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「幻の国産旅客機 SpaceJetマニアックス」(青木謙知著/秀和システム)

2023-06-23 09:32:33 |    輸送機器工学



<新刊情報>



書名:幻の国産旅客機 SpaceJetマニアックス

著者:青木謙知

発行:秀和システム

 国産ジェット旅客機「SpaceJet」は、YS-11から数えて約半世紀ぶりの国産旅客機として内外から高い関心を集めた。しかし、繰り返された開発日程の見直しやコロナ禍の影響などにより、やむなく開発中止へと至る。同書は、幻の国産旅客機SpaceJetの機体各部の特徴から諸元表、設計、製造、組立、塗装、試験の全記録と、なぜ開発中止に至ったのかなどを豊富な写真や図版を添えてまとめたマニア向けの図鑑。疲労強度試験機の写真など貴重な資料が満載。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「燃料電池の原理と応用」(陣内 亮典編/朝倉書店)

2023-06-05 09:35:04 |    輸送機器工学



<新刊情報>



書名:燃料電池の原理と応用

編者:陣内 亮典

発行:朝倉書店(自動車工学シリーズ 5)

 水素エネルギーを利用する自動車用燃料電池(とくに固体高分子形燃料電池)の原理と,関連する技術・測定手法などを解説する。【内容】固体高分子形燃料電池の概要/自動車用燃料電池システム/燃料電池の発電原理とそのモデル/燃料電池の解析技術/電極物性の解析技術/電解質物性の解析技術/将来の燃料電池とその解析技術/他。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「EVショック」(高橋 優著/小学館)

2023-02-20 09:43:49 |    輸送機器工学



<新刊情報>



書名:EVショック~ガラパゴス化する自動車王国ニッポン~

著者:高橋 優

発行:小学館(小学館新書)

 これがEV後進国ニッポンのヤバイ現実!世界では今、ガソリン車から完全電気自動車への移行「EVシフト」が爆速で進行している。米国ではEV最大手テスラ社のセダン、モデル3の販売台数がドイツ車御三家のライバル車を抜き去りトップに。EV普及率は、EUでは15%、中国では22%、ノルウェーでは80%にものぼる。中国では続々と新規参入のEVスタートアップが誕生し個性的なEVを発売、2023年にはついに日本に上陸する。一方、2010年に日産が世界初のEV車リーフを発売し、チャデモという充電インフラを構築するなど、世界をリードしていた日本のEV普及率は、現在わずか1%。EVシフトは車単体の製造だけではなく、バッテリーの製造・性能、充電インフラの構築もふくめての「EVシフト」なのだが、残念ながら日本は現在、そのどれもが世界から大きく取り残されている。同書では、巻き返しを図る日本の課題と世界の現状をEVユーザー目線にたちながらわかりやすく解説。2023年、著者オススメの最新EV購入ガイドも紹介する。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「トコトンやさしい自動運転の本<第2版>」(クライソン トロンナムチャイ著/日刊工業新聞社)

2022-09-13 09:40:43 |    輸送機器工学



<新刊情報>



書名:トコトンやさしい自動運転の本<第2版>

著者:クライソン トロンナムチャイ

発行:日刊工業新聞社(今日からモノ知りシリーズ)

 自動運転に関する技術の基本的な知識を網羅した入門書。4年ぶりの改版に伴い、開発が進んだLiDARや5G、実用化に向けた法整備や安全性に関するガイドラインに加え、電気自動車の自動運転技術の内容を充実させた。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「自動運転のためのセンサフュージョン技術 原理と応用」(伊東 敏夫著/科学情報出版)

2022-07-04 09:31:51 |    輸送機器工学



<新刊情報>



書名:自動運転のためのセンサフュージョン技術 原理と応用

著者:伊東 敏夫

発行:科学情報出版(設計技術シリーズ)

 【目次】1.センサフュージョンとは 2.各センサ技術詳細 3.センサフュージョン 4.各センサフュージョン例 5.カルマンフィルタ 6.今後の技術動向

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする