“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「量子と非可換のエピステモロジー」(原田雅樹著/東京大学出版会)

2024-04-11 09:32:21 |    物理



<新刊情報>



書名:量子と非可換のエピステモロジー~数学と物理学における概念と実在~

著者:原田雅樹

発行:東京大学出版会

 20世紀の数学や物理学における概念の生成を、エピステモロジーすなわち科学認識論の系譜にある哲学者の議論から読み解き、場の量子論や非可換幾何学にまで通じる〈科学作品の解釈学的現象学〉を提唱する。科学的対象における概念と実在性の関係を問う大著。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「量子力学の100年」(佐藤文隆著/青土社)

2024-04-09 09:41:38 |    物理



<新刊情報>



書名:量子力学の100年

著者:佐藤文隆

発行:青土社

 第一人者がみた量子力学の軌跡。その魅力と不思議。1920年代、ド・ブロイ、ボーア、ハイゼンベルク、シュレーディンガー、ディラックなどが現在の量子力学の礎となる成果を続々と発表した。そして1926年、ボーアの手によって「コペンハーゲン解釈」がなる。ユネスコは2025年に量子力学百年を記念する取り組みを行うことを決議した。この間の量子力学の道のりは、アインシュタインの反対などに代表されるように紆余曲折ありつつも、不思議と魅力にみちたものだった。しかしいまや量子コンピュータから生成AIまで、あらゆるところに量子力学は存在している。はたしてそれは何故か、そもそも量子力学とは何で、そしていまどのような姿をしているのか。日本を代表する物理学者が、自らの目でみてきた量子力学の歴史を詳述する。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「学び直し高校物理」(田口善弘著/講談社)

2024-03-21 10:19:37 |    物理



<新刊情報>



書名:学び直し高校物理~挫折者のための超入門~

著者:田口善弘

発行:講談社(講談社現代新書)

 【プロローグより】「この本は、高校物理の挫折者や、履修はしなかったが、あらためて学び直したいという初学者を想定して書かれたものだ。基本コンセプトは天下りにしない、ということに尽きる。高校の物理の教科書はややもすると「世界はこうなってる」という法則や公式が「どん!」と与えられて「信じる者は救われる」とばかりに話が進んでいく。疑問を提示すると「じゃあ、実験で実際にそうなっていることを確認しなさい」といなされてしまう。しかし、実際に実験で確認できたからといって納得感があるかというとそれは別問題だろう(実際のところ、高校物理の教科書の立て付けでは実験をすることが推奨されているが、現実は教育の現場で実験が多用されることは稀である)。(中略)」【著者】田口善弘1961年、東京生まれ。中央大学理工学部教授。1995年に執筆した『砂時計の七不思議―粉粒体の動力学』 (中公新書)で第12回(1996年) 講談社科学出版賞受賞。その後、機械学習などを応用したバイオインフォマティクスの研究を行う。スタンフォード大学とエルゼビア社による「世界で最も影響力のある研究者トップ2%」に2021年度から2023年度まで3年連続で選ばれた(分野はバイオインフォマティクス)。最近はテンソル分解の研究に嵌まっており、その成果を2019年9月にシュプリンガー社から英語の専門書(単著)として出版した。最新作は『生命はデジタルでできている』『はじめての機械学習』(講談社ブルーバックス)
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「光の物理<新装版>」(小林浩一著/東京大学出版会)

2024-02-09 09:33:42 |    物理



<新刊情報>



書名:光の物理<新装版>~光はなぜ屈折、反射、散乱するのか~

著者:小林浩一

発行:東京大学出版会

 なぜ夕日に照らされた窓は輝いて見えるのか? なぜ空は青いのか? ――量子力学の世界から、屈折、反射、散乱といった光の原理について、大学初年度の物理学の知識で理解できるよう解説した、理工系学生、光学関係の技術者の基本書。栗田進(横浜国立大学名誉教授)氏による「新装版刊行にあたって」を加えた待望の名著復刊。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「流体力学超入門」(エリック・ラウガ著/岩波書店)

2024-01-15 09:32:08 |    物理



<新刊情報>



書名:流体力学超入門

著者:エリック・ラウガ

訳者:石本 健太

発行:岩波書店(岩波科学ライブラリー)

 水や空気はどのように流れるのか。その運動をいかに制御するか。流体力学は自然現象の理解から、飛行機などの産業的応用まで幅広い場面や目的と関わっている。粘性、渦、乱流、レイノルズ数、不安定性といった重要な概念を高校数学レベルで解説。物理的なアイデアに焦点をあてて、現代的な視点で書かれた本格的入門書。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「相対性理論」(河辺哲次著/裳華房)

2024-01-12 09:33:36 |    物理



<新刊情報>



書名:相対性理論

著者:河辺哲次

発行:裳華房(物理学レクチャーコース)

 同書は、物理学の教育・学びの双方に役立つ21世紀の新たなガイドとなることを目指し、多様化する“大学の講義と学生のニーズ”に応えるものとして刊行された、『物理学レクチャーコース』の一冊。同シリーズでは、講義する先生の目線で内容を吟味する編集委員に加え、国立科学博物館認定サイエンスコミュニケーターの須貝駿貴さんと予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」講師のヨビノリたくみさんに編集サポーターとして加わっていただき、学習する読者の目線で、テキストの内容がよりわかりやすく、より魅力的なものになるように内容を吟味していただいていることも、大きな特徴の一つとなっている。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「熱力学~Thermodynamics~」(岸根順一郎著/裳華房)

2024-01-11 09:38:05 |    物理



<新刊情報>



書名:熱力学~Thermodynamics~

著者:岸根順一郎

発行:裳華房(物理学レクチャーコース)

 同書は、物理学の教育・学びの双方に役立つ21世紀の新たなガイドとなることを目指し、多様化する“大学の講義と学生のニーズ”に応えるものとして刊行された、「物理学レクチャーコース」の一冊。同シリーズでは、講義する先生の目線で内容を吟味する編集委員に加え、国立科学博物館認定サイエンスコミュニケーターの須貝駿貴さんと予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」講師のヨビノリたくみさんに編集サポーターとして加わっていただき、学習する読者の目線で、テキストの内容がよりわかりやすく、より魅力的なものになるように内容を吟味していることも、大きな特徴の一つとなっている。物理学では、自然現象を「保存の法則」と「変化の法則」という2段構えで捉えるのが基本である。同書では、熱力学における保存の法則が「エネルギー保存則」(熱力学第1法則)であり、「変化の法則」に対応するのが「エントロピーの法則」(熱力学第2法則)であるという立場を明確にし、特に熱力学がマクロな力学を土台とする理論体系である点を強調した。また、熱力学の最大の難所ともいわれる「エントロピー」については、エリオット・リーブとヤコブ・イングヴァソンによって1999年に提唱された考え方をわかりやすく噛み砕いて解説した。これは、「ある平衡状態から別の平衡状態への断熱遷移が可能か否か」という観点で2つの平衡状態を比較し、この比較に用いる数値が「エントロピー」であるという考え方である。この考え方を通してエントロピーの意味が明確になり、あいまいになりがちな熱力学の理解が明瞭になる。緻密な論理展開の雰囲気は極力避け、熱力学の本質をできるだけわかりやすく“料理し直した”。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「量子力学は、本当は量子の話ではない」(フィリップ・ボール著/化学同人)

2024-01-04 08:33:38 |    物理



<新刊情報>



書名:量子力学は、本当は量子の話ではない  ~「奇妙な」解釈からの脱却を探る~

著者:フィリップ・ボール

訳者:松井信彦

発行:化学同人

 ファインマンの「量子力学を理解している人は誰もいないと思う」という言葉を出発点に、量子論は実験結果に合い、計算は技術にも応用されているが、その意味について、まだ誰も確定的なことを言っておらず、多くの考え方に分かれているという内容を解説する。量子力学の解釈は、多くの人を引きつけ続ける魅力的な難問である。その難問を、フィリップ・ボールというサイエンスライターが、わかりやく解説し、最先端の状況を伝えてくれる。量子論を量子の物理学の理論だと考えると、これまで指摘され議論されてきたような答えのない落とし穴に落ちてしまうが、情報の理論だと考えると、矛盾なく意味付けられる可能性がありそうというところに結論づけている。その流れは現在かなり有力でありそう。数式はほとんど出てこない、あくまで概念的解釈を説明している。そう言う意味でも価値がある。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「アト秒科学で波動関数をみる」(新倉弘倫著/共立出版)

2024-01-04 08:31:45 |    物理



<新刊情報>



書名:アト秒科学で波動関数をみる

編者:日本化学会

著者:新倉弘倫

発行:共立出版

 2023年ノーベル物理学賞受賞「アト秒科学」最新解説。21世紀はアト秒の時代。様々な物質や生物などを構成している原子・分子・電子の性質は、ニュートン以来の古典力学では説明ができず、20世紀初頭に発展した量子力学により明らかにされてきた。特に、電子や分子などの波としての性質をあらわす波動関数は、量子力学・量子化学の中心的な概念であり、また分子の構造や化学反応を説明するために重要である。しかし、波動関数は一般に複素数であらわされるために、その理解が難しい。一方、21世紀になり「アト秒科学」が新たに構築された。アト秒とは時間の単位で、1アト秒は10のマイナス18乗秒に相当する。アト秒時間領域での測定が可能になることで、量子力学による計算でしかわからなかった電子のダイナミクスや、電子の波動関数を可視化できるようになった。アト秒科学は従来のレーザー分光とは異なる方法が用いられており、化学反応の研究だけではなく、現在、アト秒科学を用いた新たな量子テクノロジーの開発が進展している。同書では、初めに量子力学・量子化学の基礎と波動関数とは何かについて解説し、次に、アト秒科学の基礎的な概念や測定法と、それを用いた波動関数の可視化について、実際にアト秒科学の構築に貢献した筆者が歴史的な経緯をもとに解説する。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「宇宙に質量を与えた男 ピーター・ヒッグス」(フランク・クローズ著/早川書房)

2023-10-13 09:41:23 |    物理



<新刊情報>



書名:宇宙に質量を与えた男 ピーター・ヒッグス

著者:フランク・クローズ

訳者:松井信彦

発行:早川書房

 万物の質量の起源「ヒッグス粒子」発見の立役者の半生を描くノンフィクション。1964年、宇宙に質量が生まれた理由を6人の研究者が独自に推定した。だが、その鍵となる粒子の存在を予言していたのは、ただ1人だけだった―ノーベル賞の受賞から10周年、ピーター・ヒッグスの半生とヒッグス粒子の発見にまつわるドラマを精緻に描き出す。
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