“科学技術書・理工学書”読書室―SBR―  科学技術研究者  勝 未来

科学技術書・理工学書の新刊情報およびブックレビュー(書評)&科学技術ニュース   

●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「知ってるつもり」(西林克彦著/光文社)

2021-10-29 09:36:43 |    科学技術全般



<新刊情報>



書名:知ってるつもり~「問題発見力」を高める「知識システム」の作り方~

著者:西林克彦

発行:光文社(光文社新書)

 世の中には「知ってるつもり」があふれている。「知ってるつもり」はなぜまずいのか? 認知科学・認知心理学の知見によると、われわれは手持ちの知識を使うことでしか対象を見ることができない。システム化されていない断片的な“知識”だけでは、きちんとした疑問や推測が起きないのだ。虚心坦懐に対象を眺めれば疑問が湧いてくるということはあり得ない。ピンポイントの疑問を持てるように知識をシステマティックに整備し、ピンポイントにわからなくなるように知識を操作する必要がある。いわば知識を使ってわからなくなる、わからなくすることで問題を発見するのだ――。ロングセラー「わかったつもり」刊行から16年。今最も求められる「問題発見力」を身につけるための方法を解説。
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●科学技術ニュース●伊藤忠商事、周回衛星向け地上局ネットワークを提供するインフォステラ社と資本業務提携

2021-10-29 09:36:01 |    通信工学
 伊藤忠商事は、周回衛星向けGround Segment as a Service(GSaaS=地上局ネットワークをサービスとして提供する事業)を提供するスタートアップ企業のインフォステラと資本業務提携した。

 インフォステラ社は、衛星事業者向けに、世界中の地上局を仮想的に統一ネットワーク化するクラウドプラットフォーム「StellarStation(ステラステーション)」を提供するGSaaSのパイオニア。

 衛星事業者は、柔軟性と拡張性に優れたステラステーションを利用することで、地上局の接続における作業負荷と運用コストを低減することができ、地上局オーナーは、多くの衛星事業者が地上局アンテナを利用することで稼働率を向上させることができる。

 伊藤忠商事は、今回のインフォステラとの資本業務提携を通じて、これまで培ってきた宇宙・衛星分野における知見と伊藤忠グループのグローバルネットワークを活かし、衛星事業者向けの利用拡大や、地上局パートナーの開拓、地上局構築サポート等を進め、ステラステーションのサービス拡大を支援する。<伊藤忠商事>
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●科学技術ニュース●IoT機器を利用したサービスを安全に実現する「オープンコミュニティ powered by TRASIO」設立

2021-10-29 09:35:37 |    通信工学
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が進める「高効率・高速処理を可能とするAIチップ・次世代コンピューティングの技術開発」プロジェクトにおいて、「セキュアオープンアーキテクチャ基盤技術とそのAIエッジ応用研究開発」を担当している「セキュアオープンアーキテクチャ・エッジ基盤技術研究組合」(TRASIO)はこのたび、安全なIoT社会の実現に向けてオープンなセキュリティ技術の普及を図る「オープンコミュニティ powered by TRASIO」を設立した。

 このコミュニティでは、同プロジェクトが2020年に研究開発したオープンアーキテクチャであるRISC-V(リスク・ファイブ)をベースとしたセキュリティシステムの成果紹介や試使用、ハンズオン体験の場を提供する。ここでの活動を通して同プロジェクトの認知度を向上させるとともに、あらゆるユーザーの意見を取り入れることで研究開発成果の最大化を図る。

 IoT機器を利用したサービスを安全に実現しようとする場合、「サービスを提供する側が想定する正規のIoT機器」か「想定しないIoT機器や正規のIoT機器になりすました悪意のあるIoT機器」かを確実に判断し、正規の機器のみにサービスを提供する手段が必要となる。

 こうした中、同プロジェクトに取り組むセキュアオープンアーキテクチャ・エッジ基盤技術研究組合(TRASIO)は2020年にRISC-V(リスク・ファイブ)をベースとしたセキュリティシステムを開発した。

 「オープンコミュニティ powered by TRASIO」では、同プロジェクトでの研究開発内容を公開することにより、IoT機器のセキュリティ部分の内部構造がブラックボックス化されることなく、実際には何ができて何ができないのか、本当に正しく実装されているのか、といったことを確かめることが可能。

 同オープンコミュニティでの活動を通して、同プロジェクトの認知度を高めるとともに、ユーザーのあらゆる意見を取り入れることで研究開発成果の最大化を図る。これにより、安心安全なIoT社会の構築に貢献する。<新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)>
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「世界の宇宙ビジネス法」(小塚 荘一郎、笹岡 愛美編著/商事法務)

2021-10-29 09:34:48 |    宇宙・地球



<新刊情報>



書名:世界の宇宙ビジネス法

編著:小塚 荘一郎、笹岡 愛美

発行:商事法務 

 宇宙ビジネスや政策的な議論を進めるに際して、各国の法制や国際的な法ルールについての正しい理解が必須となる。米、仏から英、UAE、NZなど各国の法制はもちろん、周波数の割当て、ファイナンス、商業有人宇宙飛行、宇宙資源開発など重要トピックスを横断的に解説し、宇宙ビジネス法の全体像を示す。
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「味わう数学」(数理哲人著/技術評論社)

2021-10-28 09:56:11 |    数学



<新刊情報>



書名:味わう数学~世界は数学でできている~

著者:数理哲人

発行:技術評論社 

 数学の問題の中には、解くだけではもったいない、じっくり味わいながら解くことで問題のおもしろさを感じることができるものが数多く存在する。同書は著者が高校で行った講義の中から、「世界は数学に満ちている」「世界は数学でできている」ということを実感していただける5つのテーマを取り上げる。どの話題もきっと見聞きしたことがあるであろう。実際に式に表して値や形を変化させていくとどうなっていくのか、まるで実験をしているように数学を体感できる。数学の問題を解く醍醐味をぜひ存分に味わってみてほしい。各講義にはQRコードが付いているので、著者による講義も見れる。
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●科学技術ニュース●東芝、「量子暗号通信」機器を4分の1に小型化

2021-10-28 09:55:33 |    通信工学
 東芝は、次世代の暗号技術「量子暗号通信」で使う送受信機を、従来比約4分の1に小型化する技術を開発した。

 これまでよりも設置しやすくなり、工場内機器のデータ通信など利用シーンが広がるとみる。量子暗号通信は今後、社会実装が本格化するとみられており、2024年の実用化を目指す。

 量子暗号通信は盗聴などが理論上不可能とされる。東芝は送受信機のレーザーなどの光学部品を光集積回路に置き換えることで、体積を従来比約4分の1にする技術を開発した。具体的な寸法は明らかにしていないが、高さ約4センチのサーバーラックに収まるサイズにできたという。

 東芝は小型化により、大規模な通信システム構築が想定されていない領域でも量子暗号通信が使えるようになるとしている。量子暗号通信はまずは安全保障や金融、医療など高い機密性が求められる分野から普及が進むとみられている。小型の送受信機であればスペースが限られている工場などでも設置しやすくなり、機器監視や設計・製造データの通信などでの利用を見込む。

 小型化した送受信機では、通信距離50キロメートルを実証できた。これまでの製品での仕様(70~120キロメートル)と比べると短いものの、実用化までに性能改善を続けるとしている。小型化は消費電力の低減にもつながるといい、さらなる小型化も進めて拡大する市場を開拓する。<東芝>
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●科学技術ニュース●JAXAなど、ISS「きぼう」日本実験棟で世界初となる袋型培養槽技術による栽培実験を実施

2021-10-28 09:55:04 |    宇宙・地球
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)、竹中工務店、キリン、千葉大学、東京理科大学は、将来の月探査等での長期宇宙滞在時における食料生産に向けた技術実証を目的として、世界初となる宇宙での袋型培養槽技術の実証実験を、国際宇宙ステーション(ISS)「きぼう」日本実験棟内で実施した。

 近年、月や火星などの天体へ人類の活動領域の拡大を目指す機運が高まっている。そのための技術の一つとして、JAXAは、地球からの補給に頼らず、月面に農場を設営し長期滞在のための食料を生産するという構想を立てて研究を行っている。将来的に月面に農場を設置することになれば、作物を安定して生産するために病害虫防止と緊急時食料のバックアップの対応が必要となる。また、地球からの輸送にあたっては栽培システムの積載重量低減も求められる。

 そこで、JAXA、竹中工務店、キリン、千葉大、東京理科大は、JAXA宇宙探査イノベーションハブの共同研究提案公募の枠組みの下、2017年から宇宙での適用も想定した袋型培養槽技術の共同研究を行ってきた。

 袋型培養槽技術は、小型の袋の内部で植物を増殖させる点が特長的。この技術を用いた栽培方式は、密閉した袋内で植物を栽培するため、雑菌の混入を防ぎ、臭気発生がないコンパクトなシステム。また、設備も簡易でメンテナンスしやすく、省エネルギー性があり、人数に合わせた数量調整も容易。

 これまでの共同研究の結果を踏まえ、さらに宇宙空間の微小重力環境下や閉鎖環境下における本栽培方式の有効性や、水耕栽培や土耕栽培と比較した際の優位性を確認するため、「きぼう」船内での袋型培養槽技術によるレタス生育の実証実験を実施した。

 今後は、生育したレタスと培養液、生育の様子を撮影した記録を回収し、宇宙での適用可能性や本栽培方式の優位性を評価する。また、育ったレタスに食品衛生上の問題がないかの確認や、栽培後の培養液を分析し環境制御・生命維持システムで再利用処理が可能かについての確認も実施する予定。<宇宙航空研究開発機構(JAXA)>
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●科学技術書・理工学書<新刊情報>●「きのこと動物」(相良直彦著/築地書館)

2021-10-27 09:33:52 |    生物・医学



<新刊情報>



書名:きのこと動物~森の生命連鎖と排泄物・死体のゆくえ~

著者:相良直彦

発行:築地書館

 動物と菌類の食う・食われる、動物の尿や肉のきのこへの変身、きのこから探るモグラの生態、鑑識菌学への先駆け、地べたを這う研究の意外性、菌類のおもしろさを生命連鎖と物質循環から描き、共生観の変革を説く。けものや昆虫と菌類、菌食と虫食、菌漬けの状態で育つハキリアリ、ヒトの放尿もきのこにとっては大事件、きのこの長い地中柄(ちちゅうへい)の秘密、動物・植物・菌類三者の共生、ようこそ森の循環の深相を探る旅へ。放尿跡、モグラのトイレ、死体や巣の分解跡に好んで生えるアンモニア菌を、地道な実験と観察によって、世界で初めて発見した菌類学者が、地中で繰り広げられる動物と菌類のドラマを描いた幻の名著を改訂復刊。
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●科学技術ニュース●トヨタ、今後約10年間で米国での車載用電池生産に約3,800億円を投資

2021-10-27 09:33:21 |    輸送機器工学
 トヨタは、カーボンニュートラルの実現に向けて、一層の電動化を推進するため、米国において2030年までにBEV用を含む車載用電池の現地生産に約3,800億円(約34億ドル)を投資する。なお、この投資は、2021年9月に公表した、2030年までにグローバルにおける電池供給体制の整備と研究開発を行うための投資約1.5兆円の一部となる。

 車載用電池の現地生産に向けた取り組みを推進する第一歩として、トヨタの北米事業体であるToyota Motor North America, Inc.(TMNA)が、豊田通商とともに米国で新会社を設立し、2025年からの稼働を目指す。

 なお、同プロジェクトでは、2031年までに約12億9,000万ドル(約1,430億円)の投資と、現地での新規雇用1,750人を見込んでいる。(トヨタ)

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●科学技術ニュース●理研、有機分子におけるマイクロ波効果の観測に成功

2021-10-27 09:32:58 |    化学
 理化学研究所(理研)環境資源科学研究センターグリーンナノ触媒研究チームの山田陽一チームリーダー、松川裕太特別研究員、分子構造解析ユニットの村中厚哉専任研究員らの共同研究グループは、光とマイクロ波の協働的な触媒的化学合成反応系の開発に成功した。

 同研究成果は、省エネルギーな合成法として注目されているマイクロ波化学反応の機構解明や、新たなカーボンニュートラル合成法の開発に貢献すると期待できる。

 マイクロ波照射によって起こる化学反応や反応速度の向上のうち、加熱効果とは異なる原理によるものは「(非熱的)マイクロ波効果」と呼ばれ、マイクロ波化学という新たな研究分野において研究されている。しかし、マイクロ波化学では主に固体表面上の反応を扱うため、有機単分子におけるマイクロ波効果についてはほとんど知られていない。

 今回、同共同研究グループは、有機分子であるフェニルアセチレンを光触媒とするジメチルスルホキシドの酸素酸化系を構築し、ここにマイクロ波を照射することで、有機分子におけるマイクロ波効果の観測に成功した。

 同研究により、光・マイクロ波協働効果による合成反応系が提示された。この協働効果により、低出力のマイクロ波で効率的に光触媒反応を促進させ、必要エネルギーを大幅に低く抑えることができる。そのため、全体として省エネルギー下で合成可能な新たなカーボンニュートラル合成法の開発につながると期待できる。

 また、同研究成果は、国際連合が2016年に定めた17項目の「持続可能な開発目標(SDGs)」のうち「12 .つくる責任 使う責任」と「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」に大きく貢献するもの。<理化学研究所(理研)>
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