「持続/切断」(小企画展) 東京国立近代美術館 7/22

東京国立近代美術館千代田区北の丸公園3-1
「持続/切断 - 毛利武士郎・村岡三郎・草間彌生・河原温」(常設展示ギャラリー4・小企画展)
5/30-7/30

東京国立近代美術館の小企画展は、いつも常設展の一角でひっそりと行われていますが、なかなか見逃せない作品が展示されています。今回のタイトルは「持続/切断」。何やら良く分からないネーミングですが、要は、村岡三郎(1928-)、草間彌生(1929-)、河原温(1933-)らの初期作(50年代)と近作(80-90年代)が合わせて並べられた展覧会でした。

 

村岡三郎は、先日、初台のギャラリーでも個展を拝見したところですが、今回もどこか痛々しく見えるオブジェが展示されていました。クシャッと折れ曲がった酸素ボンベや、ノコギリの歯のように尖った鉄の彫刻。ともにその素材の質感が無味乾燥に、そして何ら飾り立てないで迫ってくる。またトマソンのように佇んで見える点も特徴的です。かつては何らかの道具として使われていた。何やら廃墟中から掘り起こしてきたようなオブジェです。

 

初めに展示されている毛利武士郎の立体も印象的です。キャリア初期に手がけた「作品」(1956)と、近作の「彼の/地球への/置手紙 その1」(1998)。その不可解な名前はさて置いても、絡み合う人間のようなブロンズの力感と、その一方でのステンレスの冷たく静謐な質感に惹かれる作品です。ちなみにこの制作年代の時間差が、展示テーマの「持続/切断」の意味を示しているようです。一人の作家が長い過程を経てどのような境地へたどり着いたのか。そこに持続性と、その一方での切断、要は繋がりのなさを見る。こういう切り口も面白いかと思います。

 

とんでもなく閉塞的な空間を生み出した、草間彌生の「残骸のアキュミレイション」(1950)は強烈です。幾重にもねじれたその空間が、襞状になって狭いトンネルを作り出す。先に見える明るい出口には木が二本。微かに確認出来るほど弱々しく立っていました。そしてその一方での「天上よりの啓示」(1989)。こちらは空間が平面的に広がって、限りなくドットが拡散しています。前者がそのトンネルに閉じ込められそうだとすれば、後者はそのドットに浸食されてしまうような気配を感じます。そしてこの生々しさ。草間のドットを見ると思わず鳥肌が立ってしまいます。

思弁的な解説が書かれたパンフレットによらずとも、見て、感じて楽しめるような企画かと思いました。(どれも意外と感覚的です。)今月30日までの開催です。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
こんにちは (ak96)
2006-07-30 07:55:10
この小展覧会、まだ記事書いていませんが、一寸覗いてみました。

一人の作家が長い過程を経てどのような境地へたどり着いたのか、ということと、やはり同時代性というものがあるのだと感じました。
 
 
 
Unknown (はろるど)
2006-07-31 02:25:29
ak96さん、こんばんは。

コメントありがとうございます。



>一人の作家が長い過程を経てどのような境地へたどり着いたのか、ということと、やはり同時代性というものがあるのだと感じました。



同感です。

またどの方もさすがに力のある作家さんばかりですよね。

草間さんは以前にも近美で個展をおやりになられましたが、

他の方ももっと作品を見てみたいなと思いました。
 
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