「植松琢麿展 crystal」 高島屋東京店 美術画廊X

高島屋東京店6階 美術画廊X(中央区日本橋2-4-1
「植松琢麿展 crystal」
2/20-3/11



主に動物の剥製などを素材とする造形作品によって、生命の新たな可能性を探るという、植松琢麿の個展です。妖し気な美感を放ちつつ、シュールな感覚を見る動物たちが半ば標本のように置かれています。

まず一際目立つのは、アメジストの結晶を腹の中にたくわえた、真っ白な牛の剥製、「Life is a crystal - cow」です。緑や白の蝶が羽を休めている白い牛が真っ二つに切り裂かれ、その露出する肉体から紫色のアメジストの結晶が爛れています。その他、頭から珊瑚を生やした鹿のオブジェや、五体の牛が輪を描きながら、別の小動物を頭に載せている立体作品なども展示されていました。これらは体が解体され、別の生き物と組み合わされることによって出来た、言わばクローン動物のようなイメージを持つ作品なのかもしれません。共通する無機的な白の感触が、各モチーフをまた不気味に照らし出しています。

作家本人が「生命への祝福を思いを込めた」ともいう、連作のラムダプリント(上部DM画像)にも独得な美しさが見られます。透明感のある鮮やかな色彩に包まれているのは、鹿や鴨、それに猿などのモチーフでした。それらにはあたかも骨格や筋肉までも透かしている、半ばレントゲンで対象を覗いたような体内が示されていますが、そこに浮かび上がっているのはマーガレットなどの華やかな花々、もしくは草などです。花と動物という異質なもの同士が、不思議にも冷めた美感を放っていました。

3月11日までの開催です。
コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
Unknown (oki)
2008-03-03 21:54:28
高島屋は山種美術館の記憶も新しい千住博さんの瀧の個展がはじまりますね。
日本橋三越は明日から、大丸は6日から展覧会が開かれていささかデパートの展覧会の風情。
さて、ギャラリーの展覧会情報満載の「月刊ギャラリー」、1/1にも発売したというのに今月はまだ出ませんね、どうしたのだろう。
展覧会チケットはあたった例がないので僕は立ち読みですがー。
 
 
 
Unknown (はろるど)
2008-03-03 22:27:13
okiさんこんばんは。
高島屋では千住さんの個展もはじまりましたか。こちらは画廊と違ったホールでの展示とのことで、また規模も大きなものなのでしょうね。混んでいそうです。

>「月刊ギャラリー」、1/1にも発売したというのに今月はまだ出ませんね、どうしたのだろう。

そうでしたか。変ですね…。明日、書店で確認してきたいと思います。
 
 
 
Unknown (秋映)
2008-03-04 00:35:09
そうだったんですか!
アメジストが詰まった白い動物が剥製だとは、全く気付きませんでした。
それにしても不思議な作品ばかりで、私の頭の中は「?」でいっぱい。
細い4本足の小さな鹿の頭に、一本足の大きな牛の頭が乗ってる。。。文字で書いても見ていない人には、絶対に想像できませんよね。

カラフルで可愛い平面作品、小鹿やアヒルの子が花模様でこれも不思議でした。
ラムダプリントって言うんですか。
はろるどさんのブログを読んで少し理解できました。(笑)
 
 
 
Unknown (はろるど)
2008-03-05 00:43:45
秋映さんこんばんは。

>アメジストが詰まった白い動物が剥製

確認したわけではないので定かではないのですが、(申し訳ありません。)おそらく氏の製作から言って剥製ではないかなと思います。本当に不思議な動物ばかりでしたよね。

>ラムダプリントって言うんですか

こちらはキャプションにあったので間違いありません。
あの鮮やかな色で透ける花々と、動物とのギャップがまた面白いなと思いました。
 
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