「林靖子展」 ギャラリー悠玄 7/8

ギャラリー悠玄中央区銀座6-3-17
「林靖子展 - "vento dell' ovest" - (ピエモンテの小さな町にて)」
7/4-8(会期終了)

イタリア北西部、ピエモンテ州のとある小さな町で描かれた美しい日本画が展示されていました。日本画家、林靖子の新作展です。ゆったりとした空間に、質感に長けた大小約15点の風景画が並んでいます。



圧巻なのは縦74センチ、横273センチにも及ぶ「La quiete」です。雄大に連なる山々と白い水をたたえた大きな湖。それがまさに日本画ならではの瑞々しい質感によって表現されています。湖面から立ち上がっているのは水蒸気でしょうか。水面近くには白い顔料がたっぷりと配され、それが黒い山の深みへと溶け込んでいきます。また湖畔からは、所々に描かれた建物がぼんやりと浮かび上がってきました。しっとりと体にまとわりつくような湿り気と静寂。あたかも自分がその場に立っているかのような気持ちにさせられます。

一枚の大きなキャンバスに描かれているのではなく、五枚合わさって画面が構成されているのも良いかと思いました。キャンバス毎の切れ目が、まるで屏風画の折り目のような役割を果たしています。一枚の絵画ではこうはいかないでしょう。縦に伸びる黒い筋が、横への広がりと奥行き感を与えている。ちょうど、雄大な大自然を目の当たりにした時の圧倒感。そのスケールの大きさがジワジワと伝わってきました。



現地の趣きある建物を描いた作品も素敵です。どれも寂し気で、何やら孤独感も漂っていますが、それが作品の質感と良く合っています。丁寧に描かれた細い線による建物はクレーのようでもありました。儚く、脆いその瞬間が画面に閉じ込められてます。

一人でじっくりと見入りたいような重みのある日本画でした。またこれからの作品も拝見してみたいです。
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