京橋の画廊をぐるっと一周。「京橋界隈2006」

つい先日のエントリでもご紹介した「京橋界隈」に参加してきました。東京・京橋に点在する14軒の画廊が共同で開催した企画です。と言っても、特段のイベントが予定されているわけではありません。一人で京橋一帯を粛々と歩き、静かに作品と対話していく。殆どいつもの画廊巡りと変わりませんでした。



502a8d15.jpgこの日の東京都心の最高気温は36度です。当然ながら暑く、少し歩いているとすぐに顔から汗が噴き出してきます。しかも私が廻ろうとした矢先、激しい雷雲がこの一帯に襲いかかりました。とても外をのんびり歩けるような状態でありません。京橋の喫茶店でアイスコーヒーをすすりながら雷雨が過ぎ去るのをしばらく待ちました。雨がやんでいざ出発です。まずは、銀座線京橋駅すぐそばの「かねこ・あーとギャラリー」でパンフレットをいただきます。そこから2、3の画廊を経由して首都高を潜り銀座一丁目方向へ。「柴田悦子画廊」からは、中央通りを横切って銀座松屋裏の「ギャラリーアートもりもと」へと歩きます。この辺も大分手慣れてきました。そこからは例の奥野ビルを通過して再び首都高を潜って北へ。昭和通り近くの浅草線宝町駅の方へと向かいます。半分を超えました。もう少しです。以前にも拝見したことのある「四季彩舎」や「金井画廊」を経由し、最後は「ギャルリー東京ユマニテ」で締めました。この日は全般的に不安定な天気でしたが、歩いている間は幸いにも雨にたたられることがありません。正味2時間半程度だったでしょうか。何故か閉まっていた「シルバーシェル」を除けば、どこもじっくり拝見出来たと思います。

   

   

   

 

(各画廊外観。どれがどの画廊かもう自分でも分かりません…。)

どの画廊にもイベントのパンフレットが置かれていました。ただ、展覧会自体がこの「京橋界隈」を意識してのものなのかは全く分かりません。しかも私が廻っている間、そのパンフを持っておられる方は一人か二人程度…。もちろん回を重ねていくことも重要なのでしょうか、これではイベントとしてあまりにも寂し過ぎるようにも思いました。また、初めにも少し触れましたが、テーマ設定もなく、後日開催されるオークションを除けば特段のイベントもない。この「京橋界隈」によって初めて足を伸した画廊があったのも事実ですが、もう一歩、いや二歩、参加者に何か楽しさを与えるような企画があればとも思います。

14軒の画廊を連続して訪ねると、さすがに印象深い展示とそうでない展示に分かれてしまいます。取りあえずは、各画廊についての大まかな印象を一言で記録しておきます。

「平子真理展@いつき美術画廊」
 颯爽とした、優しい雰囲気の日本画数点。可愛らしいきつねが印象的。
「菅木志雄展@かねこ・あーとギャラリー」*
 重厚な片倉ビルの一室にある画廊。思いの外多く並んでいた菅のオブジェは見応えあり。
「森嘉一展@金井画廊」
 キャンバスを削り、さらには絵具を塗り重ねた油彩風景画。静物画の温もり。マチエールはソフトタッチなビュフェのよう。
「寺田政明展@昭和画廊」
 瑞々しい油彩画。オレンジや赤の交じる椿の美しさ。色のにじみの妙。
「服部知佳展@ギャラリー椿」*
 驚くほど立体感のある美しい植物や花々。見応え満点。
「宮永匡和展@柴田悦子画廊」
 テンペラの技法で描かれた静物や動物。金箔と闇の対比が特徴的。
「川島清展@ギャルリー東京ユマニテ」
 電話しないと入口(ビル)の鍵が開かないという驚きの画廊。コラージュのような版画の豊かな味わい。黒い線が風に靡くかのよう。
「石山かずひこ展@ギャラリーアートもりもと」
 ほのぼのとした景色。淡い彩色。模型のような鉄道。懐かしい印象の作品。
「堀本恵美子展@東邦画廊」
 光の織りなす世界をキャンバスで表現。映える金の帯。小品の方が印象深い。
「奈良千秋展@森田画廊」
 陶器の展示。花瓶から湯呑みまで。白磁の温もりと角の取れた造形が美しい。
「小嶋悠司展@戸村美術」
 苦手な印象…。
「根開きの穴@文京アート」
 河原温、小山田二郎、鶴岡政男などの、50、60年代の作品が並ぶ。さすがに壮観。
「笹井史恵展@シルバーシェル」
 何故か閉まっていた画廊。土曜日はお休み??
「彩旬会展-京-@四季彩舎」*
 若手作家4名のグループ展。どれも非常に力のある作品ばかり。

「*」印の付けた展覧会については、また後日、改めて記事にアップ出来ればと思います。来年は、さてどうしましょう??
コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
おおー! (あおひー)
2006-07-16 00:20:58
はろるどさん、熱中症とか気をつけてくださいな。

すごいですよ、この炎天下の中、京橋を歩き回るなんて!

確かにもうひとひねりすると楽しい企画になりそうですね。
 
 
 
こんばんは (lysander)
2006-07-16 01:40:02
> 電話しないと入口(ビル)の鍵が開かないという驚きの画廊。

あはは。

ここの入り口は分かりにくいですよね。

先日、宮崎進さんの展覧会に行ったのですが、私は住所しかメモしてい

なかったので、間違えて手前のオフィス・デポに入ってしまいました。

その瞬間はいらいらしていたのですが、今、思い出すと久しぶりの迷子、

少しだけスリリングでした...
 
 
 
おはようございます。 (Honey)
2006-07-16 07:56:38
すごい、すごい!



私も少し余裕ができたら・・・
 
 
 
Unknown (はろるど)
2006-07-17 00:08:28
@あおひーさん



こんばんは。コメントありがとうございます!



>熱中症とか気をつけてくださいな。

すごいですよ、この炎天下の中、京橋を歩き回るなんて!



ありがとうございます。

幸いにもあまり日差しが強くなかったもので助かりました。

それに、各画廊のクーラーが凍えるように寒くて…。

その意味で寒暖の差が激しい一日でした!





@lysanderさん



こんばんは。



>あはは。

ここの入り口は分かりにくいですよね。



そうなのです。一瞬、もういいやなどと思ってしまったのですが、

何しろこの画廊が最後の場所だったので、

頑張って(?)電話しました。

もちろん、電話してみると何のことはありません。

すぐ係の方がいらしてご丁寧に開けて下さいました。



>思い出すと久しぶりの迷子



デポは表通りのところですね。あそこは目立ちます。



京橋のあたりはどの通りを歩いても似たような雰囲気です。

手慣れてきたなどと書いてしまいましたが、

まだ迷いそうです…。





@Honeyさん



こんばんは。



>私も少し余裕ができたら



是非どうぞ!ともおすすめしたいのですが、

あまり数だけこなすような廻り方はよくありませんよね…。

ちょっと反省しております。
 
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