都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「若冲展」(プレビュー) 相国寺承天閣美術館(その2・『第1会場、鹿苑寺障壁画など。』)
相国寺承天閣美術館(京都市上京区今出川通烏丸東入)
「若冲展 - 釈迦三尊像と動植綵絵120年ぶりの再会 - 」(先行プレビュー)」
5/13-6/3
「その1」より続きます。先行プレビューで拝見した、承天閣美術館での「若冲展」です。二階展示室の第一会場では、鹿苑寺の大書院に描かれた障壁画全50面をはじめ、お馴染みの鶴や龍をモチーフにした水墨画、さらには今回新発見された「厖児戯帚図(ぼうじぎほうず)」など、約40点強の作品が展示されていました。
第一会場展示室の一部。(*)
「鹿苑寺大書院障壁画(葡萄小禽図襖絵/竹図襖絵)」(*)
第一会場へ入ると、この展覧会の見所が話題の「動植綵絵」だけでないことが良く分かるかと思います。ガラスケースの中に堂々と並ぶ「鹿苑寺大書院障壁画」の襖絵はともかく圧巻です。大きな余白の元、若冲ならではの冴えた線による葡萄や松が、空間を力強く自由に泳いでいます。一部、展示室の通路に狭い部分があるので、作品から離れて眺めるように見ることが出来ないのが残念ですが、再現された床の間へおさまる「葡萄小禽図」も臨場感に溢れていました。
「障壁画」以外では、展覧会に先立つ調査において鹿苑寺の蔵より発見された「厖児戯帚図(ぼうじぎほうず)」が重要です。これは、比較的初期の頃の作品と推定されますが、学芸員の村田氏によれば、まさにこれこそが若冲の禅における直感の悟りを意味した「頓」に値するのものではないかということでした。実際、若冲はこの作品の5年後に「動植綵絵」の制作にとりかかり、その画業のピークを迎えています。(この作品に書かれた賛文を含む、禅の観点からの解釈は、展覧会の図録に掲載されています。)
展示作品の中で気に入った「龍図」が、てぬぐいになって販売(1200円)されていました。仏法を守る聖なる獣であるという龍が、筋目描の技法を用いて無駄なく描かれています。劇画的な趣きの顔の表情と、右へ左へとうねる流麗な体の動きが印象的です。ちなみにこの作品は、かの富岡鉄斎が所有していたとのことでした。
その他、こちらの会場では、相国寺にまつまる秘仏なども公開されています。それらはまたキャプションを一読してから鑑賞すると、意味もより深く感じ取ることが出来そうです。
次のエントリでは、第二会場の「動植綵絵+釈迦三尊像全33幅」について触れたいと思います。
*関連エントリ
「若冲展」(先行プレビュー) 相国寺承天閣美術館(その3・『第2会場、動植綵絵。』)
「若冲展」(先行プレビュー) 相国寺承天閣美術館(その1)
「若冲展」オープン!(相国寺承天閣美術館)
*展覧会基本情報(混雑情報)
「若冲展 - 釈迦三尊像と動植綵絵120年ぶりの再会 - 」
会期:5/13 - 6/3(無休)
場所:相国寺承天閣美術館(京都市上京区今出川通烏丸東入上る相国寺門前町701)
開館時間:10:00 - 17:00
入場料:一般1500円、大学生/高校生/65歳以上1200円、中学生/小学生1000円
写真については、撮影と掲載の許可をいただいています。また「*」マークの写真は、プレビュー主催者が提供したものです。
「若冲展 - 釈迦三尊像と動植綵絵120年ぶりの再会 - 」(先行プレビュー)」
5/13-6/3
「その1」より続きます。先行プレビューで拝見した、承天閣美術館での「若冲展」です。二階展示室の第一会場では、鹿苑寺の大書院に描かれた障壁画全50面をはじめ、お馴染みの鶴や龍をモチーフにした水墨画、さらには今回新発見された「厖児戯帚図(ぼうじぎほうず)」など、約40点強の作品が展示されていました。
第一会場展示室の一部。(*)
「鹿苑寺大書院障壁画(葡萄小禽図襖絵/竹図襖絵)」(*)
第一会場へ入ると、この展覧会の見所が話題の「動植綵絵」だけでないことが良く分かるかと思います。ガラスケースの中に堂々と並ぶ「鹿苑寺大書院障壁画」の襖絵はともかく圧巻です。大きな余白の元、若冲ならではの冴えた線による葡萄や松が、空間を力強く自由に泳いでいます。一部、展示室の通路に狭い部分があるので、作品から離れて眺めるように見ることが出来ないのが残念ですが、再現された床の間へおさまる「葡萄小禽図」も臨場感に溢れていました。
「障壁画」以外では、展覧会に先立つ調査において鹿苑寺の蔵より発見された「厖児戯帚図(ぼうじぎほうず)」が重要です。これは、比較的初期の頃の作品と推定されますが、学芸員の村田氏によれば、まさにこれこそが若冲の禅における直感の悟りを意味した「頓」に値するのものではないかということでした。実際、若冲はこの作品の5年後に「動植綵絵」の制作にとりかかり、その画業のピークを迎えています。(この作品に書かれた賛文を含む、禅の観点からの解釈は、展覧会の図録に掲載されています。)
展示作品の中で気に入った「龍図」が、てぬぐいになって販売(1200円)されていました。仏法を守る聖なる獣であるという龍が、筋目描の技法を用いて無駄なく描かれています。劇画的な趣きの顔の表情と、右へ左へとうねる流麗な体の動きが印象的です。ちなみにこの作品は、かの富岡鉄斎が所有していたとのことでした。
その他、こちらの会場では、相国寺にまつまる秘仏なども公開されています。それらはまたキャプションを一読してから鑑賞すると、意味もより深く感じ取ることが出来そうです。
次のエントリでは、第二会場の「動植綵絵+釈迦三尊像全33幅」について触れたいと思います。
*関連エントリ
「若冲展」(先行プレビュー) 相国寺承天閣美術館(その3・『第2会場、動植綵絵。』)
「若冲展」(先行プレビュー) 相国寺承天閣美術館(その1)
「若冲展」オープン!(相国寺承天閣美術館)
*展覧会基本情報(混雑情報)
「若冲展 - 釈迦三尊像と動植綵絵120年ぶりの再会 - 」
会期:5/13 - 6/3(無休)
場所:相国寺承天閣美術館(京都市上京区今出川通烏丸東入上る相国寺門前町701)
開館時間:10:00 - 17:00
入場料:一般1500円、大学生/高校生/65歳以上1200円、中学生/小学生1000円
写真については、撮影と掲載の許可をいただいています。また「*」マークの写真は、プレビュー主催者が提供したものです。
コメント ( 9 ) | Trackback ( 0 )
« 「若冲展」(... | 「若冲展」(... » |
私には京都は遠くて・・・^^(哀)。
記事を楽しく拝読させていただいております。
第一会場のほうもすばらしいですね!
ほんとに!!!
>第一会場のほうもすばらしいですね!
こちらだけでお腹いっぱいになるのも事実ですが、
綵絵の第二会場もまた凄まじいです。
もし観覧時間が自由にとれるのなら、
何日も何日も通うことになると思うくらいでした。
どうやら見に行かれない様です。
はろるどさんの文章を読ませて頂くと、やはり行かないと一生後悔しそうですね~(T_T)
ちょっと意識が違って、そそられました。
26日にでも行こうと思います。
はろるどさんもTakさんも、行かれた方みなさんが歓喜されているのが、すっごく伝わります。
混んでてもとりあえずがんばろーと思いました。
プレビューに参加していたものです。
以前よりこちらのブログは私のブログでお気に入り登録していまして、参加されているとは存じませんでした。
「龍図」のてぬぐいは葡萄図のハンカチの次に気になってました。
やはり今画像で見て「いいな~」と思いました。
ちょっと死にそうですよね
入場制限とかされちゃいそうだし。
平日はちょっと無理そうなのですが、
やっぱり観ておかないと後悔しそうなので、
がんばって行きます
はろるどさんは美術館以外はどちらへ行かれました?
おすすめあったら教えて下さい
こんばんは。
>関西方面旅行がボツになり、 どうやら見に行かれない様
それは残念です…。
京都は修学旅行シーズンということもあって、
宿もなかなか混んでいるようですが、
ぶらっと日帰りなんていうのは如何でしょう。
新幹線を使ったお安いツアーもあるようですし…。
@遊行さん
こんばんは。障壁画も素敵でした。
竹の描写が個性的で印象に残っています。
あのように竹を表現するのは、若冲くらいしかいないかもしれませんね。
レビューが楽しみです!
@memeさん
はじめまして。コメントありがとうございます。
ブックマークに登録していただいて嬉しいです!
>「龍図」のてぬぐいは葡萄図のハンカチの次
てぬぐいやハンカチもどれも良かったですよね。
龍は一番縁起がよさそうな気がしたので買ってみました。
今でも部屋を力強く駆けています。
また後ほどブログを拝見させていただきますね。
今後とも宜しくお願いします。
@グリシーヌさん
こんばんは。27日ですか!
混雑はどうなのでしょう。
他の方のブログを拝見する限りでは、
今のところ「それほどではない。」という状況のようですが…。
終盤になるにつれて混雑してくるかもしれませんね。
>はろるどさんは美術館以外
殆ど関西の美術館ばかりめぐっておりました。
京博、京近美、それに奈良博など…。
若冲にゆかりのある石峯寺を訪ねるのもまた良いかもしれません。深草です。
若冲の龍も良いですね。
障壁画も。
今回の展示で、若冲のイメージがガラリと変わりました。
小林さんの「画遊人」は名言だと思います。
>今回の展示で、若冲のイメージがガラリと変わりました。
小林さんの「画遊人」
障壁画だけでも見事な内容でした。
あの作品を全部、「綵絵」のように空間展示すると、
また凄いことになりそうですね。
画遊人。全く同感です。