「大神社展」 東京国立博物館

東京国立博物館
「大神社展」
4/9-6/2



東京国立博物館で開催中の「大神社展」へ行ってきました。

日本全国津々浦々、古くから人々の生活や文化の拠点ともなっている神社。何も有名な社だけでなく、地元の小さな神社も地域の人に親しまれているもの。私も初もうでは欠かさず地元の氏神さまへ。しかしながらお寺同様、神社を一つの文化財として捉え、どのような歴史や神宝があるのか。なかなか普段そこまで意識することはありません。

そこを補って余りあるのが今回の東博大神社展。日本全国の神社から集められた神宝などが一堂に。かつてないスケールにて神社に関する様々な文物を見ることが出来ます。

第1章 古神宝
第2章 祀りのはじまり
第3章 神社の風景
第4章 祭りのにぎわい
第5章 伝世の名品
第6章 神々の姿


さて展示替えをあわせると全240点超の出品。鏡に刀、古文書に織物に絵巻に曼荼羅。そして屏風絵と能面、さらには鎧に経典に神像と多種多様。とてもその全てをブログで細かく追っていくことは出来ません。というわけで、ここはごくごく簡単に強く印象に残った神宝をいくつかピックアップ。まずは刀から。


「国宝 七支刀」古墳時代・4世紀 奈良・石上神宮 展示期間:~5月12日(日)

まずはともかく石上神宮伝来の「七支刀」(古墳時代・4世紀)。おそらくは4世紀頃、百済から日本の王へ贈られたという宝剣です。それにしてもまるで木の枝のような出立ち。図版で見知っていただけに何となくイメージはあったものの、実際に見ると非常に特異。一体何のためにこのような形になったのかさっぱり分かりません。不思議です。

また刀では柄頭を鳥の頸部で表した「金銀装鳥頸太刀」(南北朝時代・1390年)も見物。銀の透かし彫りも極めて繊細です。

さらには鹿島神宮の「直刀 黒漆平文大刀」(平安時代・9世紀)もインパクトが。長さは何と2メートル20センチ。古代の直刀では最大とのこと。ともかく真っすぐにのびる刀の力強さには圧倒されます。

なお先の「七支刀」は期間限定での展示。5月12日までの出品です。お見逃しなきようご注意下さい。


「国宝 海獣葡萄鏡」唐または奈良時代・8世紀 千葉・香取神宮

さて続いては鏡から。「海獣葡萄鏡」(唐または奈良時代・8世紀)。千葉は香取神宮に伝来する品。唐草文に獅子や馬、それに鳳凰などが実に精緻に象られています。

また神社といえばお祭り。神輿も展示されています。「沃懸地螺鈿金銅装神輿」(平安時代・12世紀)は装飾も華麗。それでいて屋根の部分の曲線などには躍動感も。臨場感のある露出展示で楽しむことが出来ました。

絵巻では「誉田宗ビョウ縁起絵巻」(室町時代・1433年)も興味深い品ではないでしょうか。こちらは欽明天皇によって誉田八幡の宗廟を応神天皇の御陵前に作ったという由来を描いたもの。彩色は鮮やか。鳥居の朱はもちろん、橋の欄干には金も。従者を引き連れて進む天皇の車も壮麗です。(*展示は5/6まで。)

ラストを飾るのは日本全国の神像。その数何と40体。男神に女神、それに童形神に武装神、僧形神などがずらり。シンプルながらも実に様々な神像を拝むことが出来ます。


「重要文化財 男神坐像」平安時代・9世紀 京都・松尾大社

中でも現存する最初期の神像、「男神坐像・女神坐像・男神坐像」(平安時代・9世紀)のうち、老年像の凄みは並大抵ではありません。眉間に皺を寄せ、睨みつけるような表情からは強い威厳が。意志漲る神像です。


「重要文化財 春日神鹿御正体」南北朝時代・14世紀 京都・細見美術館

細見美術館ではお馴染みの「春日神鹿御正体」(南北朝時代・14世紀)もお出まし。神の使いである鹿に榊。下部に白い雲の造形もまた迫力があります。

大雑把な感想で恐縮ですが、その他では山の神と海の神から沖の島遺跡、さらには沖縄の神様についての言及があったのも興味深いポイント。神の在り方も様々です。


「国宝 平家納経 願文・観普賢経」平安時代・長寛2年(1164) 広島・嚴島神社 展示期間:~5月6日(月・休)

GW中の祝日での鑑賞でしたが、館内は思いの外に混雑していました。会期も残り一ヶ月を切ったこともあり、後半はさらに賑わってくるかもしれません。

「大神社展出品(展示替え)リスト」
前期:4月9日(火)~5月6日(月・休)
後期:5月8日(水)~6月2日(日)


6月2日まで開催されています。

「入門 日本の神社/洋泉社MOOK」

「国宝 大神社展」 東京国立博物館
会期:4月9日(火)~6月2日(日)
休館:月曜日。但し4月29日(月・祝)、5月6日(月・休)は開館。5月7日(火)は休館。
料金:一般1500円(1200円)、大学生1200円(1000円)、高校生900円(600円)、中学生以下無料
 * ( )内は20名以上の団体料金。
時間:9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで) *毎週金曜日は20時、土・日・祝・休日は18時まで開館。
住所:台東区上野公園13-9
交通:JR上野駅公園口より徒歩10分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、京成電鉄上野駅より徒歩15分。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
« 「アートアワ... 長沢蘆雪「群... »
 
コメント
 
 
 
大神社展 (iina)
2013-05-18 20:28:39
大神社展は、とてもよかったですね。
 
遺跡を呑む樹でも、お邪魔していました。 m(_ _)m

 
 
 
Unknown (はろるど)
2013-06-05 21:19:28
@linaさん

こんばんは。

>とてもよかった

これほど神社関連の文物が揃うこともないかもしれませんね。
壮観でした。
 
コメントを投稿する
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。