都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「斉藤邦彦個展 『現像中』」 ヴァイスフェルト
ヴァイスフェルト(港区六本木6-8-14 コンプレックス北館3階)
「斉藤邦彦個展 『現像中』」
11/2-25
マクロな展望とミクロな世界が同居しています。印画紙上の化学反応によって作り出された(HPより。)というパターンが、見ているうちに様々なイメージを広げてくれました。見応え十分です。
作品へ限りなく近づくと、まるで地図上の等高線のような曲がりくねった線が、画面を縦横無尽に駆け巡っていることに気がつきます。そしてそれは、ある一定の秩序をとっているように見えながらも、その奥にてまるで生きているかのように動き、またひしめき合っていました。要は、この線によって出来た模様が、フィルムの現像中に発見されたという抽象パターンなのです。種明かしがないと、これが何に由来するのかは到底分からないと思います。
それにしてもこのパターンからわいているイメージは無限大です。ちりちりとした線の集合体が、時に布地を手で切り裂いた跡の裂け目のようにも見え、また木の表面の模様、さらには砂紋、はたまた衛星写真で撮影した大地のようにも見えてくる。展示されていた作品の中で一番大きかった「Other1」は、堂々たる杉が迫力満点にうねっている狩野派の屏風絵を連想させました。ところがそれを近づいて見ると、大波に洗われている崖や岸辺が事細かに描かれているようにも思えてくるのです。マクロ的な展望にたった時のイメージと、ミクロな視点で見たそれが殆ど奇異なほど違って見えてきます。まるで一種の騙し絵です。
作者のとった技法云々よりも、結果生じた世界にこそ惹かれる作品だと思いました。今月25日までの開催です。(11/11鑑賞)
「斉藤邦彦個展 『現像中』」
11/2-25
マクロな展望とミクロな世界が同居しています。印画紙上の化学反応によって作り出された(HPより。)というパターンが、見ているうちに様々なイメージを広げてくれました。見応え十分です。
作品へ限りなく近づくと、まるで地図上の等高線のような曲がりくねった線が、画面を縦横無尽に駆け巡っていることに気がつきます。そしてそれは、ある一定の秩序をとっているように見えながらも、その奥にてまるで生きているかのように動き、またひしめき合っていました。要は、この線によって出来た模様が、フィルムの現像中に発見されたという抽象パターンなのです。種明かしがないと、これが何に由来するのかは到底分からないと思います。
それにしてもこのパターンからわいているイメージは無限大です。ちりちりとした線の集合体が、時に布地を手で切り裂いた跡の裂け目のようにも見え、また木の表面の模様、さらには砂紋、はたまた衛星写真で撮影した大地のようにも見えてくる。展示されていた作品の中で一番大きかった「Other1」は、堂々たる杉が迫力満点にうねっている狩野派の屏風絵を連想させました。ところがそれを近づいて見ると、大波に洗われている崖や岸辺が事細かに描かれているようにも思えてくるのです。マクロ的な展望にたった時のイメージと、ミクロな視点で見たそれが殆ど奇異なほど違って見えてきます。まるで一種の騙し絵です。
作者のとった技法云々よりも、結果生じた世界にこそ惹かれる作品だと思いました。今月25日までの開催です。(11/11鑑賞)
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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不思議な感じですね~
上記の絵は狛犬さんの毛のちりちりにも見えますかね?!
ロールシャッハテストみたいな気分?!
>生で見てみないとなんとも分かりませんが、
不思議な感じ
そうなのです。一体これは何なのだろうという感じでして…。
近づいてみたり、遠ざかってみたり、
何度かそれを繰り返しているうちに、
何やら様々なイメージがわいてくるのです。
>ロールシャッハテスト
なるほど、確かにそうかもしれませんね!
見る方の心象世界が投影されそうです。