都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「近代の屏風絵」(前期) 泉屋博古館分館
泉屋博古館分館(港区六本木1-5-1)
「近代の屏風絵 煌めきの空間」(前期展示)
1/10-3/15(前期は~2/8)
主に明治以降の館蔵の屏風絵を概観します。泉屋博古館分館で開催中の「近代の屏風絵」へ行ってきました。
何しろ手狭な同館で大きな屏風絵を紹介する展覧会です。出品数は屏風のみでも僅か20点ほどに過ぎませんが、それでも殆どが一度の展示替えを挟んで入れかわります。いつもながらに注意が必要です。
現会期で最も数が多いのは、明治10年に京都で生まれ、帝展審査員などを務めた木島桜谷でした。彼の作品は主に琳派のイメージを借りたものが目立ちますが、中でも「秋草図」におけるリズミカルな秋草の細い線は、それこそ抱一の「秋草鶉図」を連想させる面があったのではないでしょうか。また構図こそ異なりながらも、光琳の燕子花をほぼそっくりに移し替えた「燕子花図」も、当然ながら琳派イメージに由来しています。率直なところ、その魅力を見出すには時間がかかりますが、もう一点、梅の紅と雪の白に、お目出度い紅白のモチーフをかけたという「雪中梅花」はなかなか美しく感じられました。手前から一気に跳ねるように梅の枝が空へ向かう様は、気品をたたえながらも独特な力強さがあります。時候にも合う梅のお花見を楽しめました。
展示の主題が明治大正期の屏風絵にも関わらず、特別出品と銘打たれた江戸時代の作品(前期二点)の方がメインをはっているのは不思議でなりません。前期会期中で最も見るべきは、ともに六曲一双の大作である、海北友雪の「日吉山王祭礼図屏風」と彭城百川「梅図屏風」ではないでしょうか。右上に大津坂本の日吉の社を描き、左下の琵琶湖へと神輿の下る様が事細かに描かれた前者を楽しむには、それこそ単眼鏡が必要です。神輿の賑わいに押されたのか、小さな子供が泣いてべそをかいて立ち止まってしまう姿までが表されています。また一転しての百川は、金地に墨線だけで示された梅が、まるで雲龍図さながらに対峙する迫力を生み出していました。先の木島の上品さとは何から何まで対照的です。
後期には真打ち、橋本雅邦の水墨の大作「春秋山水」の他、伊年印の「四季草花図屏風」などが出品されます。こちらも拝見してくるつもりです。
前期は明日日曜(8日)で終了します。また後期は10日より来月の15日までの開催です。
「近代の屏風絵 煌めきの空間」(前期展示)
1/10-3/15(前期は~2/8)
主に明治以降の館蔵の屏風絵を概観します。泉屋博古館分館で開催中の「近代の屏風絵」へ行ってきました。
何しろ手狭な同館で大きな屏風絵を紹介する展覧会です。出品数は屏風のみでも僅か20点ほどに過ぎませんが、それでも殆どが一度の展示替えを挟んで入れかわります。いつもながらに注意が必要です。
現会期で最も数が多いのは、明治10年に京都で生まれ、帝展審査員などを務めた木島桜谷でした。彼の作品は主に琳派のイメージを借りたものが目立ちますが、中でも「秋草図」におけるリズミカルな秋草の細い線は、それこそ抱一の「秋草鶉図」を連想させる面があったのではないでしょうか。また構図こそ異なりながらも、光琳の燕子花をほぼそっくりに移し替えた「燕子花図」も、当然ながら琳派イメージに由来しています。率直なところ、その魅力を見出すには時間がかかりますが、もう一点、梅の紅と雪の白に、お目出度い紅白のモチーフをかけたという「雪中梅花」はなかなか美しく感じられました。手前から一気に跳ねるように梅の枝が空へ向かう様は、気品をたたえながらも独特な力強さがあります。時候にも合う梅のお花見を楽しめました。
展示の主題が明治大正期の屏風絵にも関わらず、特別出品と銘打たれた江戸時代の作品(前期二点)の方がメインをはっているのは不思議でなりません。前期会期中で最も見るべきは、ともに六曲一双の大作である、海北友雪の「日吉山王祭礼図屏風」と彭城百川「梅図屏風」ではないでしょうか。右上に大津坂本の日吉の社を描き、左下の琵琶湖へと神輿の下る様が事細かに描かれた前者を楽しむには、それこそ単眼鏡が必要です。神輿の賑わいに押されたのか、小さな子供が泣いてべそをかいて立ち止まってしまう姿までが表されています。また一転しての百川は、金地に墨線だけで示された梅が、まるで雲龍図さながらに対峙する迫力を生み出していました。先の木島の上品さとは何から何まで対照的です。
後期には真打ち、橋本雅邦の水墨の大作「春秋山水」の他、伊年印の「四季草花図屏風」などが出品されます。こちらも拝見してくるつもりです。
前期は明日日曜(8日)で終了します。また後期は10日より来月の15日までの開催です。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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何とも無理のある企画ですね(笑)
以前、電球が切れかけてチカチカしていたのには、
驚きました
海北友雪の「日吉山王祭礼図屏風」はすごいですね!
>泉屋博古館で屏風
泉屋の雰囲気は大好きですが、何しろスペースだけは手狭ですからね。
20点弱とは言え、逆に屏風を良くこれほど器用に並べたと感心するほどでした。
>海北友雪の「日吉山王祭礼図屏風」
これ一点だけでもかなり楽しめました。
後期も行ってきます!