『マリー・ローランサン —時代をうつす眼』 アーティゾン美術館

アーティゾン美術館
『マリー・ローランサン —時代をうつす眼』
2023/12/9~2024/3/3


マリー・ローランサン『女と犬』 1923年頃 石橋財団アーティゾン美術館

20世紀前半に活躍したマリー・ローランサンは、柔らかな曲線やパステルカラーによる独自の画風を確立すると、自作詩や舞台装置や衣裳のデザインなども幅広く手がけました。

そのローランサンの制作を紹介するのが『マリー・ローランサン —時代をうつす眼』で、会場にはローランサンの作品(約40点)をはじめ挿絵本等の資料(約25点)、また同時代の画家の作品(約25点)など、計約90点が公開されていました。

1883年にパリにて生まれたローランサンは、画家を志してアカデミー・アンベールに通うも、のちにモンマルトルの集合アトリエ兼住居の「洗濯船(バトー・ラヴォワール)」に出入りし、若い新進芸術家と交流を深めました。

そしてジョルジュ・ブラックやパブロ・ピカソと親交し、キュビスムの画家として活動をはじめ、1912年には初めての個展を成功させるなどして注目を集めました。


マリー・ローランサン『ブルドッグを抱いた女』 1914年 群馬県立近代美術館

1914年にドイツ人男爵のオットー・フォン・ヴェッチェンと結婚したものの、第一次世界大戦がはじまり、ドイツがフランスに宣戦布告したことを受け、フランス国外への亡命を余儀なくされました。


マリー・ローランサン『牡鹿と二人の女』 1923年 ひろしま美術館

そしてスペインやイタリアなどを経由し、終戦後は夫の実家のあるドイツ・デュッセルドルフに移り住むものの、1921年には離婚してパリへと戻り、華やかな画風の作品を手がけて人気を博しました。


マリー・ローランサン『女優たち』 1927年 ポーラ美術館

その後は上流階級の女性たちがローランサンの肖像画を注文するなど社交界にも受け入れられ、第二次世界大戦中も画風を守り抜き、1956年に72歳にて亡くなりました。


マリー・ローランサン『花束』 1939年 マリー・ローランサン美術館

今回の回顧展では名の知れた優美な肖像画だけでなく、生涯を通じて描いた静物画も展示されていて、とりわけ多くを占めるという花の絵画に目を引かれました。


マリー・ローランサン『自画像』 1908年 マリー・ローランサン美術館

1908年の『自画像』はローランサンが25歳の時の作品で、早くも画家として自信を感じさせるような眼差しを向ける自らのすがたを、単純化された形態や輪郭線、平面的な色面を用いて描いていました。



マリー・ローランサン『三人の若い女』 1953年 マリー・ローランサン美術館

後年の『三人の若い女』はローランサンが実に10年をかけて制作したとされる大作で、画家に特徴的な淡い色彩によって三人の女性がゆるやかに集う光景を表していました。


ケース・ヴァン・ドンゲン『シャンゼリゼ大通り』 1924〜25年 石橋財団アーティゾン美術館

自らの画風を貫いたローランサンの制作をさまざまな観点より俯瞰する展示といえるかもしれません。このほか、ドンゲンや藤田など同時代の画家の作品にも見応えがありました。


3月3日まで開催されています。

『マリー・ローランサン —時代をうつす眼』 アーティゾン美術館@artizonmuseumJP
会期:2023年12月9日(土)~2024年3月3日(日)
休館:月曜日(1月8日、2月12日は開館)、12月28日-1月3日、1月9日、2月13日。
時間:10:00~18:00
 *2月23日を除く毎週金曜日は20時まで。
 *入館は閉館の30分前まで。
料金:【ウェブ予約チケット】一般1800円、大学・高校生無料(要予約)、中学生以下無料(予約不要)。
 *日時指定予約制。
 *ウェブ予約チケットが完売していない場合のみ当日チケット(2000円)も販売。
住所:中央区京橋1-7-2
交通:JR線東京駅八重洲中央口、東京メトロ銀座線京橋駅6番、7番出口、東京メトロ銀座線・東西線・都営浅草線日本橋駅B1出口よりそれぞれ徒歩約5分。
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