「MOTコレクション ポップ道」 東京都現代美術館(常設展示)

東京都現代美術館江東区三好4-1-1
「MOTコレクション ポップ道:1960s-2000s」
2007/10/20-2008/4/13



昨年秋より開催されている展示ですが、先日、川俣、アニュアル展を見た際、改めて楽しむことにしました。東京都現代美術館の常設展より、1階のスペースを用いて展開されているポップアートの特集です。



失礼ながらも以前はMOT常設展にあまり良いイメージがありませんでしたが、新収蔵品もお目見えした昨年度の第一期コレクション展より、打って変わっての見応えのある企画が続いているように思えます。今回のテーマは言うまでもなくポップアートです。同美術館オープンの際にその高額な購入費において物議を醸し出したというリキテンシュタインの名画、「ヘア・リボンの少女」(1965)から、新美オープニングの「美術探検」展のちらし表紙も飾った、トム・ウェッセルマンの「浴槽コラージュ#2」(1963)などの『古典』はもちろん、横尾、小沢剛、奈良、森村、それにこれをポップとして良いのかどうか悩んでもしまう会田の「戦争画」シリーズなど、近年の日本のアーティストらの作品もかなり揃っていました。藤本の「EARS WITH CHAIR」に腰をかけ、耳を傾けながら、スゥのレイヤーを通じた青い光を感じることは、宮島の圧倒的なカウンターと並び、この美術館の楽しみ方の定番の一つにもなったのではないでしょうか。その掴みは抜群です。

大回顧展ではその物量に圧倒されてしまい、逆にあまり印象に残らなかった大竹伸朗ですが、ここでは「ぬりどき日本列島」(1997)がなかなか面白い作品です。何と全64点にも及ぶという塗り絵がずらりと並んでいますが、そこにこめられたアイロニカルな視点と、それを体現するかのような安吾の絵に、思わずこちらもつられて笑ってしまいます。全く整理されていない、散らかった部屋で安吾が佇むデラックス塗り絵を仕上げるのは相当に大変そうです。

 

奈良美智の二点のポートレートと、アレックス・カッツの同じく二点のそれの組み合わせ(7室)が意外にもマッチしていていました。愛くるしさとどこか睨みつけるような相反する目で鑑賞者を見つめる奈良の「White Night」(2006)と、映画のワンシーンのような、言い換えればあたかもこの場に偶然居合わせて、またすぐに消え去ってしまうかのようなカッツの「リンダ」(1989)の存在が、お互いを意識せずとも確実に交差しています。またその裏手、8室でのリンゴに扮した森村の「批評とその愛人A」(1990)と、布の人形が本当に話しているように見えるアウスラーのオブジェ、「1.2.3」(1996)もこれまた奇妙に調和している作品です。布の人形の顔が話し出すイメージを、森村のリンゴに置き換えたらまた面白いのではないでしょうか。



これより続く常設展3階では、収蔵先の選定に難儀しているのか、岡本太郎の「明日の神話」が会期延長で公開中です。(6/29まで)こちらも必見です。

ポップ道(MOTコレクション第4期)は4月13日まで開催されています。
コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )
« 「ロートレッ... 「MOTアニュア... »
 
コメント
 
 
 
Unknown (panda)
2008-02-27 22:26:22
選定先は渋谷、吹田、広島の三候補があがり
慎重に決められるみたいです。
広島の応援ページ頑張っていますよね。
今回のPOP道は構成が面白いですね。
是非今後も変化球を期待しています。
 
 
 
Unknown (はろるど)
2008-02-27 23:22:15
pandaさんこんばんは。
選定はやはり財団の方がなされるのでしょうか。
それぞれ誘致運動も熱いようですし、決めるのにもなかなか時間がかかりそうですね。渋谷の誘致は一度、そのポスターを見たことがあります。確か駅構内に出すとかなにかで…。

ポップ道は見応えがありました。
いつも出ている作品でも、こうした切り口があるとまた新鮮に感じられます。
今後もMOTコレクションにも期待したいです。
 
 
 
行ってみたくなりました。 (kino)
2008-03-02 18:00:05
ブログを拝見したら、久々にMOTの常設見たくなりました。

スードーホーの作品、是非見てみたいです。
 
 
 
Unknown (はろるど)
2008-03-03 00:19:07
kinoさんこんばんは。コメントありがとうございます。
スーの作品はなかなか見事です。また写真撮影可というのも嬉しいですね。
それに階段上からは、海の底へ沈み込む地下神殿の入口のようにも見えます。是非どうぞ。
 
コメントを投稿する
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。