「写真はものの見方をどのように変えてきたか 第2部 -創造- 」 東京都写真美術館 7/17

東京都写真美術館(目黒区三田)
「写真はものの見方をどのように変えてきたか 第2部 -創造- 」
5/28~7/18(会期終了)

東京都写真美術館が「開館10周年記念特別企画」として開催している「写真はものの見方をどのように変えてきたか」シリーズ。先日、その第二部である「創造」を見てきました。第一部の「誕生」では、写真の黎明期を、博物館的な展示を交えながら概観していましたが、「創造」では、19世紀末から20世紀初頭にかけて、写真がいよいよ「芸術」としての地位を確立する経過を辿ります。写真表現の可能性の原点を探る展覧会でした。

興味深かったのは、写真をまるで絵画のように見せようとする「ピクトリアリズム」(絵画主義)です。まるで、印象派の画風を思わせるような写真は、今見るとかなり奇妙に感じられます。わざとピントを外して朧げな雰囲気を醸し出した作品や、人物や事物を出来るだけ絵画風に配置した作品などは、まさに絵画そのものとも言えるでしょう。セピア色が美しいロビンソンの「夜明けと日没」(1885年)では、赤ん坊を抱いた女性と、半ば背中を向けるように座る老人の対比の構図がとても作為的で、暖炉を後景とした全体の構図も含めて、これほど「写真離れした写真」はありません。写真を芸術の地位へ引き揚げようとする時、既に芸術の地位にあった絵画へ近付こうとするのは、至極真っ当なことかもしれませんが、それはあくまでも「絵画への模倣」として終わってしまったようにも思いました。

「ピクトリアリズム」の後は一転してストレートな写真が目立ってきます。客船の中の雑踏を大胆な構図で捉えたスティーグリッツの「三等船室」(1907年)や、戦前の沖縄の市場を有り体に構えないで写し出した木村伊兵衛の「那覇の市場」(1935年)などは、写真でしかあり得ない表現を美しく見せてくれます。物を見るだけでは気がつかない光と影の交錯や、瞬間を切り取った時の構図としての面白さなど、その後に登場したいわゆるシュルレアリスムの作品よりも楽しく見ることができました。(もちろん、「芸術となった写真」の面白さを否定する訳ではありませんが…。)

次回、7月23日から開催される「再生」では、「12人の写真家たちと戦争」をキーワードにして、写真家の生き様を巡りながら、その表現の方向性を探るそうです。こちらも楽しみです。(第一部の感想はこちらです。)
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
今朝のニュースで (Honey)
2005-07-22 21:28:40
天井が落ちてきたとか、びっくりしました。

怪我人はなかったようで、よかったですが、

比較的新しい建物なのになぜ???

次回レポートも楽しみにしているのですが、

どうぞお気をつけて。



 
 
 
Re.今朝のニュースで (はろるど)
2005-07-22 22:38:40
Honeyさん、こんばんは。



>今朝のニュースで天井が落ちてきた



本当ですか!

それは知りませんでした。

ケガ人された方がおられなかったのは幸いですが、

確かにあんなに新しい施設なのに、何故でしょうねえ。

写真美術館、頑張って欲しいです!?
 
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