「名和晃平 FORCE」 SCAI THE BATHHOUSE

SCAI THE BATHHOUSE
「名和晃平 FORCE」
3/7-4/18



SCAI THE BATHHOUSEで開催中の「名和晃平 FORCE」を見てきました。

物体の表面をガラスビーズで覆った「PixCell」などでお馴染みの現代アーティスト、名和晃平。都内でのいわゆる新作の展示は、昨年秋の「THE MIRROR」以来のことかもしれません。

タイトルは「FORCE」。テーマは「液体と重力の関係性」(ギャラリーサイトより)です。会場は二部構成でした。手前のカウンターのあるスペースには平面の「Direction」シリーズなどが並び、奥の展示室には立体、インスタレーションの「Force」が設置されています。

さてメインの「Force」、これが思いの外に魅惑的でした。

天井高のあるホワイトキューブを効果的に活かしています。まず中に入ると、床には長方形の薄い水盤、つまり黒い液体で満たされたプールがあることが分かります。そして正面を見やればシャワーの如く滴るオイルの雨。かなり速いスピードです。天井付近から下のプールへ向かって黒いオイルがひたすらに流れ落ちていました。

プールの上では当然ながらオイルがぴちゃぴちゃと音をたてて跳ねています。ただし粘度が高いゆえでしょう。跳ねるというよりも、のめり込むようでもあります。視点を変えれば、下からふつふつと湧き出ているようにも見えました。

それにしてもオイルの雨、一筋一筋が驚くほど細い。天井を見上げてみました。吹き出し口がほぼ直列で何個も出ています。ただしオイルが出ていないものがあるのもポイントです。ギャラリーの方に伺うと、日によって出る位置が微妙に異なるとか。とするとプールに出来る波紋も日々違っているのかもしれません。

滴り落ちるオイルによってプールには波紋が出来ています。何らかの文字のようにも見えました。またシャワーのオイルと同様、波紋自体も液化した彫刻のようです。そして落下するオイルはプールから溢れることも、飛び出すこともありません。あくまでもプールの中のみで跳ねています。オイルの量や落下速度を綿密に計算したに違いありません。

オイルのシャワーカーテン、液体が空間を横切っては、無数の言わば線を描きます。少し離れて正面から眺めると、後ろの白い壁を背景に、細い線が縦に連なる絵画のようにも見えました。そしてそれに気づいた時、ふと手前の展示室に戻り、改めて「Direction」と向き合ってみました。

こちらは上のDMにあるような黒いストライプを描く絵画です。そしてその姿がいかにも「FORCE」のシャワー、ようはオイルの流れる様子と重なって見えるわけです。結論からすれば「Direction」もキャンバスを垂直に立てかけ、上から顔料を垂らしたもの。ともに重力なくしては成り立ち得ない作品とも言えます。


KOHEI NAWA NEW WEB SITE OPEN
http://kohei-nawa.net

三次元の「FORCE」と二次元の「Direction」。テーマの「重力」を軸に両面で楽しめる展示でした。

「美術手帖2011年8月号/特集:名和晃平/美術出版社」

4月18日まで開催されています。

「名和晃平 FORCE」 SCAI THE BATHHOUSE
会期:3月7日(土) ~4月18日(土)
休廊:日・月・祝。
時間:12:00~18:00
住所:台東区谷中6-1-23
交通:JR線・京成線日暮里駅南口より徒歩6分。東京メトロ千代田線根津駅より徒歩7分。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )