極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

キラーアプリな微塵バブル

2010年09月20日 | 環境工学システム論



ベットとは 縁切れぬ母を見舞いて 帰る足重し敬老の日



【小さな泡の衝撃】



産総研の高橋正好は「この研究を始めたと
き、マイクロバブルという言葉はあったも
のの、その定義は非常に曖昧でした。ある
装置の開発者が他との差別化だけを目的に
使い出したり、また1mmよりも小さな気泡
をマイクロバブルと名付けたり。その様な
状況下で、私自身もマイクロバブルは気体
を水に溶け込ませるためには効果的だろう、
程度の認識でした」と自身のHPで吐露して
いる。




1989年に英国・サウサンプトン大学のマル
チン・フライシュマン教授と米国・ユタ大
学のスタン・ポンス教授が、この現象を発
見したと発表した。この発表においてマル
チン・フライシュマン教授とスタン・ポン
ス教授は、重水を満たした試験管(ガラス
容器)に、パラジウムとプラチナの電極を
入れ暫らく放置、電流を流したところ、電
解熱以上の発熱が得られ、核融合の際に生
じたと思われるトリチウム、中性子、ガン
マ線を検出したとしてブームとなり、その
後、再現できずに下火となった。

 

パラジウムとジルコニウムの合金を焼いて、
直径5ナノメートル(ナノは10億分の1)の
範囲にパラジウム原子約8千個を格子状に
集めた超微粒を用意し、この超微粒子に重
水素ガスを吸わせると、パラジウム原子1
個に対し、通常1個未満しか取り込まれな
い重水素が約3個取り込まれて凝集する。
これに、レーザー光を当てると核融合が起
こり、ヘリウムが通常の空気中の10
万倍発
生するという大阪大学名誉教授の荒田吉明
の実験で再び火がついている。この時のナ
ノバブルが重要になる。



直径が200nm(ナノメートル)に満たない超
微小気泡である。通常、マイクロバブルが
縮小過程において生成するものであるが、
その寿命は一般的に短い。微小気泡は表面
張力の作用により自己加圧されているため、
急速に完全溶解してしまうことがその原因
である。ところが界面活性剤による殻を被
った場合や、表面帯電による静電反発力を
受けた場合には、ナノレベルの気泡であっ
てもある程度の長時間、存在することが可
能である。特に帯電効果により安定化した
ナノバブルは、気泡としての特性を保持し
ており、生物の細胞レベルへの直接的な働
きかけなど、工学的な応用の可能性が高い 。



【常温核融合の空騒ぎ

「フリーエネルギーを開発している」と殺される
というのも欧米感覚では肯定できそうだが「常
温核融合」を「核効果」と呼び換えようが、イン
チキだと騒ごうが、持続しエネルギーを安定的
に取り出したデータが出てこない以上、この問
題へのコミットは不可能のように思える。ここで
は、微塵バブル(「微」=ミクロン、「塵」=ナノ)
の威力についてお復習いし、事業や産業への
影響予測を考える。



「21世紀物理学の新しい公理の提案」

通常の気泡とは、異なった性質が現れる理
由は、「水の中で浮遊する気泡を限りなく
小さくすると、その特性が大きく変化する
境界に出会う。気泡径が50µm程度を一つの
目安として、これよりも小さな気泡をマイ
クロバブルと呼んでいる。通常の気泡は水
の中を急速に浮上して表面でパンとはじけ
散る。これに対してマイクロバブルは、水
中を漂いながら気泡径をさらに小さくして
いき、ついには消滅する。

この現象特性は、(1)帯電作用→マイク
ロバブルを電場の中におくと電位勾配に従
って横方向に移動を始める。電位勾配を左
右で切り替えると、マイクロバブルも左右
に振られながら緩やかに上昇する。(2)
また、マイクロバブルは自己加圧効果を持
っている。直径が10µmのマイクロバブルで
は約0.3気圧、1µmでは約3気圧、環境圧
に対して内部の気体が加圧されている。
(3)また、物理的な刺激を与えることで
これを圧壊することができる。圧壊とは瞬
時に気泡がつぶれる現象であり、断熱圧縮
に近い変化が気泡内で起こる結果、超高圧
で超高温な領域(ホットスポット)を形成
する。このマイクロバブルの圧壊現象を利
用して、全体環境としては常温常圧であり
ながら多量のフリーラジカルを発生させる
ことが可能だ。





環境圧に対しての気泡内部の圧力上昇は理
論的に、Young-Laplace の式により求められ
るので、圧力と気泡サイズの想定が可能だ。

     ΔP = 4σ/D

ここでΔPは圧力上昇の程度であり、σは
表面張力、Dは気泡直径。

また、水中に浮遊しているコロイド粒子は
帯電しているが、マイクロバブルの表面電
位を電気泳動法で調べる。電場の中のマイ
クロバブルは表面電位に基づいて移動を始
める。この時の電場方向への移動速度から、
次式(Smoluchowski の式)により、ゼータ
電位を求めることが可能だ。

      ζ = η μ / ε

ここで ζはゼータ電位 (V)、η は水の粘
性 (kg m-1 s-1)、ε は水の誘電率 (kg-1 m-3
s2 coul2
)、μ は気泡の移動度 (m2 s-1 V-1) 。

 

 

さらに、気泡サイズと泡寿命の関係で行く
と上図のような傾向を持ち、サイズが極小
化するれば、無限に気泡は消滅しないとい
う(但し、有限である)特性を示す。この
気泡サイズ径測定は通常、光学的には50
μm以下になると原理的に測定できず 動的
光散乱光度計
電子スピン共鳴法などで測
定する。


特開2009-39600超微細気泡生成装置

 

【ナノバブルの製造】



特開:2009-131770「二酸化炭素ナノバブル
水の製造方法」


例えば、二酸化炭素ナノバブルの製造方法
は以下のようにしてつくることができる。

【課題】二酸化炭素ナノバブル水の製造方
法を開示するとともに、現時点で判明して
いる二酸化炭素ナノバブル水のメカニズム、
その物理化学的性質及び機能などを明らか
にすること。

【解決手段】 粒径が10~50μmの二
酸化炭素微小気泡に対して、電圧が200
0~3000Vの水中放電に伴う衝撃波や、
圧縮、膨張及び渦流などの物理的刺激とし
て加えることにより、微小気泡を強制的に
縮小させ、長期間安定な粒径が100nm
以下の二酸化炭素ナノバブルを含む二酸化
炭素ナノバブル水を得ることを特徴とする。
この発明の二酸化炭素ナノバブル水は、食
品製造などにおける発酵の抑制などの目的
で利用が可能である。


特開:2008-237950「水酸基ラジカルを含
む水の製造方法および水酸基ラジカルを含む水

これに対しナノオゾンバブルは上図のように
して製造するという。 

【課題】pH条件に依らずオゾンの促進酸
化によって簡易かつ効率的に水酸基ラジカ
ルを大量に含む水を製造する方法を提供す
ること。

【解決手段】粒径が50μm以下のオゾ
ンを含んだ微小気泡を水中に発生させるこ
とを特徴とする。

【実施例】自体公知の微小気泡発生装置
(必要であれば特開2003-265938号公報を
参照のこと)を使用して粒径分布が1μm
~50μmのオゾンを含む微小気泡を水中
に連続的に発生させ、これを繊維工場で発
生したポリビニルアルコール(PVA)を含
む排水を満たした30Lの反応容器に連続
的に供給し、排水中に含まれる全有機炭素
量(TOC)の変化を経時的に分析した。な
お、反応容器に供給された水中に発生させ
たオゾンを含む微小気泡は、その50%以
上が最低でも10秒間はポンプに再吸入さ
れることなく反応容器内で自然浮遊するよ
うにした。結果を図2に示す。上図から明
らかなように、排水中に含まれるTOC時間
の経過とともに減少し、PVAが効率的に分
解されたことがわかった。PVAはオゾンで
分解されないにもかかわらずこのような結
果が得られたのは、水中に生成した水酸基
ラジカルの優れた酸化能力によるものと考
えられた。


既に実用化段階に入っているものや実証試
験の最終段階に入っているものも出始めて
いる。医療関係についてはデリケートな部
分が多く、ナノバブルが主体として活躍す
るにはまだまだ年月が必要とされる。一方、
殺菌技術や脱臭技術などの産業利用技術分
野では、メカニズム的にも分かり易いもの
が多いため、既に実用化技術として導入が
進みつつあり、具体的には防腐剤無添加の
蒲鉾やカキの殺菌、葬儀関係を含めた産業
分野での効果的な脱臭などがあります。ま
た、カット野菜の洗浄や農薬無添加食品の
栽培、陸上養殖においても実務的な取り組
みに入っているという。

特許:「オゾン氷製造方法及びオゾン氷製造装置」


ところで、(1)バブルのサイズはどれ程
まで小さくできるのか?(2)電圧印加以
外にマイクロ波、超音波、或いは紫外線、
赤外線、レーザ照射などの併用の影響は?
(3)気泡サイズのバラツキ分布などの影
響は?など知りたいことが多いが今日のと
ころはここまでとしよう。

 

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