平御幸(Miyuki.Taira)の鳥瞰図

古代史において夥しい新事実を公開する平御幸(Miyuki.Taira)が、独自の視点を日常に向けたものを書いています。

ソニー TA-4650 再修理

2014-07-02 22:13:06 | アンプ製作と修理
 風邪も良くなってきたので、アンプの修理。この忙しい時に、仙台のソニー TA-4650が壊れたと連絡が入りました。症状を読むと、フラットアンプのFETが壊れた所に、よせばいいのに素人作業で余計なクリーニングとかして症状悪化。とうとう、終段の貴重なパワーV-FETまで壊れたようです。 

 このアンプの修理は一度行っているのですが、片方のチャンネルにはオリジナルのV-FETが生き残っていました。今現在も若松通商で売っているのは、おそらく中国かどこかで再生産されたものだと思います。2SK60も2SJ18も、オリジナルは最下段の番号が28~32でバイアスが13V程度と浅く、若松のものは51~52で、バイアスが17V程度と深くなります。だから、回路がオリジナルのままでは使えないのです。


パワー部 回路図

 修理していて気がついたのですが、このアンプは指先の静電容量に敏感に反応します。静電容量はスマホのタッチパネルの入力に使われている電気的性質で、小学生には静電気といえば通じるものです。要するに、指先が電気を溜めるコンデンサーとなっているわけです。

 回路図でピンクの円で示した電解コンデンサー。ここに指を触れると、終段のバイアス電圧が極端に変化します。画像のように、対アースの電圧が-62.7Vから-38.3Vに低下しています。




こういうテストは終段のV-FETを外して、ゲート~ソース間に1KΩ程度の抵抗(3W型)を挿入して行うこと。怠れば終段のV-FETが一瞬で破壊されます。

 測定したのは電源電圧-46Vの方だから、「-62.7V-(-46V)」=マイナス16.7Vが正常。指で触れた方は、「-38.3V-(-46V)」=+6.7Vとなります。V-FET素子はバイアスが逆電圧で動作するので、プラス電源の2SK60には-バイアス、マイナス電源の2SJ18にはプラスバイアスが必要です。回路図のQ312とQ362がその2SK60で、バイアスが-54~-59Vと書かれています↓。電源電圧-43Vだから、-11Vから-16Vが適正という意味です。電源電圧が回路図より高いのは、今の整流ダイオードのロスが少ないからです。



 入力とNFBのコンデンサーに指を触れたただけで、デバイスがフル出力になってしまう。原因はよく分かりませんが、安定回路に検波用のバリスタ・ダイオードが使われているからかもしれません。動作中に指や静電容量を持つものを近付けなければ安定するので、このまま様子を見たいと思います。

 ということで、終段の石を交換するハメになるので、素人は(僕も電気は専門外ですが)初期症状が出たら、何も考えないで修理依頼すること。ただし、V-FETアンプをまともに修理できる人はほとんどいませんから、他所へは頼まないでください。全てのパーツはディスコンなので、代替パーツ撰択も含めて経験値だけが物を言うからです。

追加
若松通商のサイトを見たら売り切れですね。選別していたオジサンが老け込んで顔を見せなくなったので、とうとう店も縮小かもしれません。

    エフライム工房 平御幸
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする