平御幸(Miyuki.Taira)の鳥瞰図

古代史において夥しい新事実を公開する平御幸(Miyuki.Taira)が、独自の視点を日常に向けたものを書いています。

ディープインパクト総括~なぜ酷量牝馬に負けたか

2006-10-09 14:09:26 | 競馬
 凱旋門賞から一週間が過ぎ、各メディアによる敗因分析も出尽くしたようです。でも、本音を書いている、あるいは放送しているメディアはありません。

 日本という国は、本当の意味でのジャーナリズムが存在しない異様な国です。常に世間や特定団体の顔色をうかがって記事を書くという姿勢ですから、本音というものは滅多に表に出てきません。今回のディープインパクトの敗因も、本音の大半は武騎手の騎乗ミスで一致していると思います。ですが、閉鎖的で知られる競馬サークルで取材をする難しさを知っているメディアは、気を遣って正面からの騎手批判は出来ないのです。

 武騎手の騎乗ミスを端的に表しているのが、実は同業者のコメントです。海外ではペリエなどが、先行した事、速仕掛け、を敗因と挙げています。岡部元騎手は、実況放送の半ばに「マダ!マダ!」と連呼しています。福永騎手は渋谷のパブリック・ビューイングのゲストに招かれ、「日本の馬はスピードがあるから、スーッと行ってしまう。外に出して包まれたくないと思い、引っ張ってシロッコの後ろに入れましたよね。あそこでディープが怒ってしまった。ユタカさんがイメージしていた競馬とは違ったのではないかな(以上、サンスポ)」と冷静なコメントをしています。けれど、コメントとは別に、腹の中では先行策を批判しているのです。それは、スタート直後の画面で「ヤバイ(マズイ)!」と顔を顰(しか)めている事で分かります(テレビ東京土曜競馬)。

 福永騎手は顔だけでしたが、口で批判している騎手もいました。それは隣の池添騎手で、明らかに「バカ!バカ!バカ!…」と数え切れないほど連呼していました。池添騎手の発した言葉が何故「バカ」だと分かるのかというと、実は僕も「バカ!下げろ!」を連呼していたから分かるのです。また、読唇術では「バカ」が一番分かりやすいのです。それにしても、テレビを見ていて「バカ」と品の無い言葉を発したのは、本当に何年ぶりの出来事です。それだけ、ディープの先行は衝撃的な愚策だったのです。

 ディープの敗因に斤量の差を上げる人がいますが、それこそ馬鹿馬鹿しい視点です。そう言う人に訊きますが、ではなぜ、2着に入った牝馬プライドにも差されたのですか?プライドは、日本では2キロ差の古牝馬が、1.5キロ差までしか許されない酷量なのです。ところが、プライドに対する恵まれた斤量差を敗因分析中に語っている関係者は一人もいません。これが、日本における競馬ジャーナリズムの底の浅さなのです。ディープは、プライドと同じ最後方からレースを進めたら、プライド以上に伸びてこられたのです。

 武騎手は、自分の騎乗ミスを認めようとしません。それは、狭い日本で日本一だとする自負でしょうが、ミスを批判しない報道も問題にされるべきです。勝負の世界で批判されないという事は、プロではないと同意なのです。日本の競馬サークル全体が、過保護で世界的な競争力のない危うい存在である事を証明するものでしかありません。

 最後に、競馬ファンの中にも「ディープでもダメだった」とするマイナス思考の発言と、「日本の他の馬にもチャンスが見えた」とするプラス思考の分かれた見方があります。僕は当然後者ですが、日本人は劣等感に苛(さいな)まれている人が極めて多いですから、前者の意見が多くなるのです。ディープの敗戦によって、ダメな日本人は落ち込み、そうでない日本人は勇気付けられるのです。ディープインパクトは、今の日本を映し出す鏡として、この上ない存在かもしれません。

        エフライム工房 平御幸(Miyuki.Taira)

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自然体の難しさ~ディープインパクトの敗因

2006-10-02 16:46:50 | Weblog
 凱旋門賞でディープインパクトが負けた理由は、余所(よそ)行きの競馬に尽きます。調教師も含め、スタッフ全体がリラックスしていなかったので、それが賢いディープインパクトに伝わり、微妙にリズムが崩れていたのです。

 取材規制があっただけでなく、池江調教師が前夜祭のパーティを欠席し、レースに全てを注いでいると報道がありました。でもそれらの態度は、馬にとってはマイナスなのです。特にディープインパクトは、レース前半を遊びながら走った時の方が好結果なタイプの馬なのですから、周りが緊張すると気を遣って力を発揮できないのです。

 武騎手も、パドックでは緊張して青ざめていました。それで、レースでは血迷って先行し、しかも道中で無理に外に出すなど、いつものディープインパクトとは異なった騎乗をして、ディープインパクトのリズムを失わせてしまったのです。ディープインパクトは、レースのタイムが遅いと苦戦するタイプです。弥生賞、有馬記念、凱旋門賞、例年の勝ちタイムより2~4秒も遅いレースでは、負けるか勝っても辛勝です。これが、同じサンデーサイレンス産駒でも、スローペースに強かったマンハッタンカフェとの決定的な違いです。マンハッタンカフェが今年のレースに出ていたら勝てたでしょう。

 ディープインパクトは、ミスターシービーやダンシングブレーヴのように乗り方が難しい名馬なのです。ですから、小頭数になった今年の凱旋門賞では、前半は最後方からポツンと離れるくらいで遊ばせて、最後の600mだけレースをするというのがディープインパクトにとっての理想だったのです。

 武騎手は、日本では天才扱いされますが、世界的には普通の騎手です。本当の天才はデットーリ騎手クラスの事を言うのです。海外で長距離レースを勝った事のない武騎手には、凱旋門賞は荷が重いのが現状なのです。ですから、来年の凱旋門賞のディープインパクトの鞍上は、デットーリやペリエなどの外国人騎手に変えるのが理想ですが、それも出来ないでしょう。それは、日本の競馬がまだヌルマ湯の中にある事を意味するのですが。

 ディープインパクトの実力は、ハリケーンランとシロッコに先着したところで評価されるべきです。ですから、レースでは負けましたが彼らとの勝負では勝っていたのです。ディープインパクトがレースでも勝って真の世界チャンピオンになる道は、スタッフ全体がリラックスして自然体で臨む事。これ以外にありません。できたら、日本から3~4頭程度は一緒に出場し、ディープインパクトやハーツクライが孤立する環境を改めるべきです。世界の社台ファームがそれをしないのは、怠慢でしかありません。社台の兄弟は仲が悪いのかな?エルコンドルパサーが教えてくれた、凱旋門賞挑戦への理想的なステップも、今回は生かされませんでした。

 ディープインパクト以外にも、オペラハウスの最高傑作メイショウサムソン、フジキセキの最高傑作ドリームパスポートなど、ヨーロッパでも活躍できる馬はたくさんいます。少し前の、宝塚記念でシンボリクリスエスとネオユニヴァースを子供扱いしたヒシミラクルなどは、明らかにスタミナが要求されるヨーロッパ向きです。サッカーボーイの子供は、ヨーロッパの方が向いているのではないでしょうか。芝が深い洋芝だった頃の阪神を得意にした、メジロマックイーンやトウカイテイオーなども、絶対にヨーロッパ向きだったと思います。挑戦しないで能書きを垂れるのはやめて欲しいですね。という事で、来年以降に期待しましょう。気軽に挑戦すれば結果は自ずと付いてきます。心配するのは信仰心の欠如なのですから。

            エフライム工房 平御幸(Miyuki.Taira)

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