さんぽ道から

散歩中の雑感・モノローグを書いてみました

ラズボーン氏考…

2015-09-10 04:49:22 | 抜き書き

<間違っている。中世の人々の考える自然はヒエラルキーだった。存在の連鎖だった。底辺に多くがひしめき、頂上に唯一絶対のものが存在するピラミッドだった。・・・・・しかし、自然の真の姿とはどんなだろう。相互に影響しあうもの、依存しあうものたちが、網のように果てしなく不可解にからまりあって、そのなかでは、個々を合計したものより全体を一個としてみたもののほうがはるかに価値があって、何かひとつの部分がほかのより本質的に重要ということはぜったいにない。それが自然の真の姿ではないだろうか。>ジュリアン・ラズボーン「グリーンフィンガー」P324~325より

この人の世は、神が支配するもの、階級社会や全体主義ではなく、個を大切に 相互に影響しあい、助け、依存しあい、また、集団間に軽重はないのが真の姿だと、ラズボーン氏はいっているのでしょう。

確か欧州中世を変えたルネサンスは、

教会・教職者の腐敗、宗教改革、印刷術の発明、医療や科学的な思考の社会的なニーズの高まり、イスラムの文献(古代ギリシャ・ローマ文献の継承母体だった)へのアクセスが可能となったこと、東ローマ帝国の古代ギリシャ・ローマの研究者らが帝国の崩壊とともにイタリアへ移動してきたこと、地中海貿易や織物業の発達による商業・経済環境の変化ら によって引き起こされたもので、ギリシャ・ローマの思想文芸が新たに見直された結果、人間の持つ広い可能性、多様性の自覚を経て、信仰にも縛られない人の生き方が新たな文芸作品を生んだ運動です。

ただこの真の人間の生き方は、

人の、個の可能性や 多様性の重視から、欲の世界に結びつきやすくなり、同士が釣るんでより大きな欲に向かうようになり、結果として ルネサンス以降に 大きな戦争へと向かっわせてしまったもの。

ということは、

欲を制御する博愛が 絶対者の出現を許さない 真に自然な人間の社会を 実現する鍵なのでしょう。
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