函館市とどほっけ村

法華宗の日持上人にまつわる伝説のムラ・椴法華。
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町会活動の政治的中立について

2017年11月16日 11時44分54秒 | えいこう語る

▼町会の歴史をたどれば、戦時中は国家総動員体制に組み込まれ、地域で戦争推進に加担させられた事実がある。「隣組制度」などは、反政府分子を監視するもので、現在の北朝鮮同様、国家体制を維持するための監視制度としての役割だった。そのため、戦後GHQにより廃止されたが、まもなく復活している。

▼敗戦からの我が国の発展に、町会活動が役所の下請け機関の役割を担ってきたのは事実だ。役所からの情報は、町会を通して住民に周知されるからだ。それゆえ、町会活動には役所から補助金が出ている。役所と町会が連携を密にするのは、まちの発展に欠かせないものがある。そこで、市レベルの規模になれば、町会連合会の事務局に、天下りを引き受けることで、お互いの連携が保たれるという利便性もあるというのは、否めない事実だ。

▼先日、苫小牧市の町会連合会が、函館市町連との交流研修に訪れた。苫小牧市町連は、今年から事務局を役所の住民課に置いたという。担当の課長は、町会との距離がなくなり仕事がスムーズに行われていると、成果を強調していた。

▼そこでこんな質問をしてみた。「町会活動の目的は、安全・安心なまちづくりだが、苫小牧市は、現在、IR法案(統合型リゾート=別名トバク法案ともいわれる)を、推進しているが、子供たちの健全育成に反する環境になりはしないか」という内容だ。

▼苫小牧市と言えば、製紙工場のまちというイメージがあり、以前は、白煙が街中にたなびいている光景が目に浮かぶまちだ。1973年(昭和48年)に「苫小牧市人間環境都市宣言」を行っている。そこには「快適な生活環境を次の世代を担う子供たちに引き継ぐため」とある。このことも引き合いに出しての質問だった。

▼「想定外」の質問に困惑した苫小牧の連合町会長は「私はドライな性格なので、その件はあまり関わりないようにしています」というような答えが返ってきた。事務局が役所にあり、ふんだんに補助金をもらっていれば、町会の自主性は少なからず放棄なければならないという心境のようだ。

▼その夜、苫小牧町会連合会は、湯の川温泉に泊まったようだが、たぶんこの質問が心に突き刺さり、今後、討議の対象となるだろう。そうでなければこの町会連合会は、市民の最大組織としての存在意義を失うことになるかもしれない。

▼とはいうものの、函館市町会連合会も、来年度の事務局長を、市の天下りを受けようとしている。長く続いていた天下りをやめさせて5年になる。天下りは絶対ダメ派の私と、人物が良く仕事が有能なら、それを差別するのは「排除」ではないかと、私を人権無視者のように貶める賛成派がいる。

▼もし、函館市長が原発賛成者なら、事務局長に天下りを受けていたら、私たちは原発反対など自由な行動は制限されるはずだ。事務局長は市長に忖度し、私たちの行動を制限する動きに出るからだ。さらに、IR法案を函館市が受け入れようとしたら、市町連の自主活動などかなり制限されるからだ。

▼天下りでも優秀な人材であればいいということではない。天下りは優秀なら優秀なほど、町会活動の役所の下請け化に拍車がかかるからだ。私は市民最大の組織である町会連合会は、アベ総理のような市長なら、首にするぐらいの矜持を持った組織であればいいと思っている。それが、立憲主義の精神につながる行動だと考えているからだ。

▼昨日の、市町連常任理事会は「天下り」について、是か非かの大バトルが展開された。ここ数年の会議は、熱戦が繰り返されるようになった。それは町会活動の矛盾をさらけ出す、効果にもなるようだ。そろそろ「憲法改正と町会の在り方について」などという議論も、飛び出してきそうな気がする。函館市町連の会議風景だ。

▼町会活動には、政治的なものは持ち込まないという不文律が、いまだに存在している。アベ総理が憲法改正を視野に入れた現在、いま私たちが問われているのは『政治性を排除する政治性』であり『中立性・公平性という名の政治性』だと、東京工業大学の中島岳志教授が断定している。

▼私もそれには賛成だ。

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