函館市とどほっけ村

法華宗の日持上人にまつわる伝説のムラ・椴法華。
目の前の太平洋からのメッセージです。

慣れてしまうことの恐ろしさ

2017年11月06日 13時24分43秒 | えいこう語る

▼私が最も慣れ親しんでいるのは飲酒だ。酒害で入院したことはないので、人生の伴侶だと思っている。美味しい食事が出ると一杯、素晴らしい景色を見ればそれに乾杯。喜怒哀楽につき、酒は我が同胞だ。つまり、酒は妻と同様、そばにいてほしい、いや、いなければ、自分の人生が極めて寂しいものになるような存在なのだ。だから、両存在と決別することは、私の人生の終焉に値する。

▼こんな、五里霧中の世界に彷徨うような書きだしで始まったが、慣れすぎることにより、本筋を見極める目を失うものだという、自戒を込めての今日のブログだ。

▼先日、自動車関係の顔見知りのお客様が来店した。そこで話題は、N社やS社での、無資格者による車検についてだ。Aさんは50年ほど前に、N社の関東工場に勤めていたという。当時は、高度経済成長の真っただ中。工場内は、地方からの出稼ぎ者に頼っていたという。今のような、安全管理やコンプライアンスは緩やかなる時代だったのだろう。車検は、その頃から無資格者が行っていたという。

▼自動車産業も、戦後我が国の象徴的産業だ。お上に推奨されていたことで、知らず知らずのうちに「ヒューマン・エラー」を起こしたのではないか。そこに気が付いても、巨大な組織ゆえ、今に至ってしまったのだろう。この摘発は、どんなところから起ったのかは不明だが、戦後台頭してきた巨大会社は、自動車ばかりではなく、すべてのところで、ほころびが出始めてきたようだ。

▼その時代の流れに便乗し、立憲主義や民主主義の現憲法まで、現在にふさわしくないから改正しなければならないという解釈をしているのがアベ総理だ。この総理、時代の読みまでアベコベになっているようだ。正しい憲法まで、間違っていると言い出すのは、単に、リテラシー(識字能力)に欠けているからだ。

▼なぜか私の場合、どうしてもアベ総理と結び付けてしまう、文章癖があるようだ。避けられないのは、トランプ・アベ会談だ。北朝鮮に対し、強力な軍事同盟を約束したが、70数年前、地上最大の戦争の当事者が我が国だったというのを、アベ総理は忘れてしまったのではないだろうか。「地上最大のヒューマン・エラー」の持ち主のように思える。今の、日米両首脳の親密ぶりなど、地球にとって大迷惑になりかねない存在だからだ。

▼アベ総理を意識しすぎるのは、逆に、嫌いではないのではとの指摘も受けかねないので、アベ総理から離れることにする。私が学生時代、アルバイト先に大学出たての男性社員Bさんがいた。そのBさんが、N社の「青い鳥・スリーS?」という車を購入した。ガールフレンドのいないBさんは、休みの度、私をドライブに連れ出した。普段、物静かなBさんだが、首都高速を猛スピードで快走するのだ。

▼田舎者の私は、高速道路やスピードに馴染めなかったので、車が好きだという気分ではなかった。だが、まるで恋人同様、その車を愛していたBさんに、私は好感を抱いていたのだ。なぜかというと、その先輩の特技が「手品」で、千円札を一万円にするテクニックなど、貧乏学生だった私を、夢の世界に誘ってくれたからだ。

▼その「スリーS」の話から、Aさんがその意味を教えてくれたのだ。『スピード・スリル・サスペンス』の略だと。この車に乗っているだけで、当時は女性にもてたという。Aさんもお金を貯めて、あこがれのこの車を買ったと、懐かしそうに話していた。そういえば、首都高速を快走するBさん、いつも楽しそうに歌をうたっていたのを思い出した。

▼Aさんの言葉がぴったり過ぎたので、パソコンで検索したら「スーパー・スポーツ・セダン」という意味らしい。だが、Aさんの意味の方が、Bさんもぴったりだったに違いないと、私も思ってしまうのだ。

▼N社の車検不正問題。N社の車を愛する人々がいるということを忘れないで「慣れの中に魂を忘れてほしくない」という、私の自戒も含めた、エールです。

▼気持ちの優しく、洒落っ気の多かったいBさん。たぶん、3人の娘さんに「S」が頭文字の名前を付けているに違いないと、私は想像するが。