ひょうきちの疑問

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2020年のアメリカ大統領選以後はムチャクチャ

イギリス流銀行資本主義とアメリカ流株式資本主義を掛け合わせた連立方程式 2

2017-08-21 05:46:05 | 旧世界史12 20C前半

月曜日

初の世界恐慌が起こったのが1857年、日本が貿易を開始する日米修好通商条約の前年である。震源地はアメリカである。
これは大したことなく収まったが、本格的な世界恐慌が1873年に始まる。これも震源地はアメリカである。この恐慌は20年にも及び、世界は不況のなかに落とし込まれた。
これは急速な工業化による世界経済の過剰生産力から起こったもので、デフレーション(物価下落)が進行した。
この時期に、イギリスは工業生産力世界1位の地位をアメリカに抜かれる。さらに1900年代にはドイツに抜かれる。
またこの時期は産業の発展が、軽工業から重工業に移る時期で、第二次産業革命の時期に当たる。
アメリカやドイツが、イギリスの工業生産力を追い抜いたのは、綿織物などの軽工業部門ではなく、鉄や鉄道などの重工業部門であった。(この時代はアメリカでは金ぴか時代といわれ、否定的なニュアンスで語られるところが時代の雰囲気を伝える。)
その新しく勃興する企業形態がアメリカから発展した株式会社であった。
鉄や鉄道などの重工業部門は、大きな資本を必要とし、その資本を集めるためには社会一般から資金を募る株式会社の形態が有効であった。
イギリスの銀行資本はこの株式会社という企業形態を好んで利用することはなかった。

産業構造の、
イギリス → アメリカ、の変化は、
軽工業  → 重工業、 への変化であると同時に、
個人企業 → 株式会社、への変化でもあった。
そしてそれは同時に、
イギリス流銀行資本主義 → アメリカ流株式資本主義、への変化であり、
それが混じり合う時期でもある。
そしてそれが、1914年の第1次世界大戦を経て、1929年の世界恐慌へとつながっていく。

この時期に通貨量は飛躍的に増大し、企業は大量の資金を借り入れ、経営規模を拡大すると同時に、莫大な利息の支払い義務を負った。いや一度お金を借りると、その莫大な利息支払いのために是が非でも企業規模を拡大しなければならなくなった。
そのためこの時期は、金(きん)という実態のある貨幣ではなく、紙幣という実態のない仮想通貨が、極端なまでに膨張していった時代である。それは経済発展の速度を超えて膨張していった。
それを可能にしたのが、銀行資本と株式資本の結びつきである。
経済発展の速度を超えて通貨量が膨張していった場合、それはいつの時代も資産バブルを生み出す。
通貨が、実体経済には流れず、金融経済のなかで投機を呼び、資産バブルを生み出すのである。
1929年の世界恐慌はこうやって引き起こされていく。