東日本大震災の「トモダチ作戦」に従事し、福島第一原発沖で被曝(ひばく)したとして、東京電力側を相手に集団訴訟を起こした米海軍の元兵士らが400人に達した。
「原発ゼロ」を唱える小泉純一郎元首相(74)が訪米して健康被害の訴えに耳を傾け、「見過ごせない」と涙を流した。

 

 小泉氏は訴訟支援者の求めに応じ、15日から原告の元兵士ら10人と面会。
窮状を聞き、17日(日本時間18日)に現地で記者会見を開いた。
「救援活動に全力を尽くしてくれた米国の兵士たちが重い病に苦しんでいる。見過ごすことはできない」。
感極まって泣き、訴えた。
「原発推進論者も反対論者も、何ができるか共同で考えることだ」

 また、オバマ米大統領の広島訪問の意義に触れ、
核兵器の削減、廃絶にどうつなげていくかが大事だ」と指摘。
「原発も原爆もゼロに」と呼びかけた。

 ログイン前の続き原子力空母ロナルド・レーガン艦載機の整備士だったセオドア・ホルコムさんは作戦中、放射線を浴びたヘリコプターの除染などにあたった。
その後、骨膜肉腫を発症し、2014年に35歳で死去。
退役軍人省による放射線と病気との因果関係の調査はその死後、打ち切られたという。
原告代理人を務める元海軍のマヌエル・レスリーさん(41)は「死んだ親友のために、真実を明らかにしたい」。

 甲板員だったロン・ライトさん(26)は作業後に船内へ戻る際、高線量の放射線が検出され、衣類を脱がされたという。
作戦の途中から睾丸(こうがん)が肥大して痛んだ。
帰国後、手術を4度受けたが鎮痛剤や睡眠薬が手放せない。
軍医からは「放射能とは無関係」と言われた。
「防護服や安定ヨウ素剤は与えられなかった。放射線について、まったく無知だった」と振り返る。

 航海日誌や元乗組員らの証言によると、作戦中に原発事故で発生した放射性プルーム(雲)の下で強い放射線を浴び、汚染された海水(脱塩水)を飲食やシャワーに使って内部被曝した可能性がある。
しかし、米国防総省は14年に公表した報告書で、被曝は「極めて低線量」として健康被害との因果関係を否定した。

 原告の多くは医療費の補償もない。
弁護団のポール・ガーナー弁護士は
「見捨てられたトモダチが米国にいることを日本のみなさんに知ってほしい」と話す。

 東京電力ホールディングス広報室は取材に
「訴訟に関しては回答を差し控える。手続きにのっとり適切に対処する」としている。
(カールスバッド〈米カリフォルニア州〉=田井中雅人、平山亜理)

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 〈トモダチ作戦と集団訴訟〉 東日本大震災を受け、米軍は西太平洋を航行中の原子力空母ロナルド・レーガン(乗組員約5千人)を東北沖へ急きょ派遣。
横須賀、佐世保基地の艦船や沖縄の海兵隊も参加し、救援活動「トモダチ作戦」を展開した。
レーガンの元乗組員ら8人は翌年、東電が正しい情報を出さなかったため被曝したとして米連邦地裁に提訴し、10億ドル(約1100億円)の救済基金設立を要求。
原告はその後400人に増え、これまでに6人ががんや白血病などで死亡。
東電側は「政治的問題。裁判になじまない」と訴えの却下を求めている。

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 《福島原発事故時に原子力委員会委員長代理を務めた鈴木達治郎・長崎大学核兵器廃絶研究センター長の話》 
被曝と健康被害の因果関係が認められなくても、避難や失業など原発事故がなければ起きなかったであろう被害は、福島でも一定の賠償が認められている。
科学的実証は難しいだろうが、東電は被害を訴える人に寄り添う姿勢を見せるのも大事ではないか。
精神的な負担も大きいと思う。

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【私のコメント】

誰が人を動かす言葉を語っているか。

小泉のこういう言葉は嘘。
彼は希代のペテン師。

首相を辞めてもそれは同じ。

小泉は、昨年3月にTBSが『報道特集』報道した空母ロナルド・レーガンの乗組員が洋上で原因不明の被爆被害にあっていることを、全くスルーしている。

小泉の言葉で日本人が動く時期は過ぎた。