昨夜、TBSドラマの『レッドクロス〜女たちの赤紙〜』を途中まで観ていました。
「途中まで」というのは、もともとドラマを観ない私、更に主演と主演の相手役を務める俳優の演技、演出のまずさ(リアリティがない)についていけずに挫折した、ということなのです。
しかし、戦時中、「赤紙が来ない家が肩身が狭い」と思う人達がいたこと(これは戦時中、国民すべてがそうだったというわけではないですし、特に農村部では赤紙が来ることを歓迎しない村もあったと聞いたこともあります。ただし、私は知り合いから、「うちの母親は、召集令状が届かないと言って役所に文句を言いに行った」と聞いたこともありますので、そういう空気が蔓延していたのは事実だと思います。)、女性への赤紙があったという事、戦時下の満洲の様子を描き、軍部のお偉方の横暴、当時の日本人が中国や朝鮮の人に対する侮蔑的行為をすることが普通だった(もちろん、それをおかしいと思う日本人もいたことも)ことを描いたという点だけでも、このドラマは、多くの若い世代に観てもらいたいな、と思いました。
(そういう意味で、若者に人気がある、話題性がある俳優を使った点は良かったと思います。)
さて、ところでこのドラマの反響はどうであったのかとyahooの感想掲示板「みんなの感想」を観てみました。
そのなかにはドラマを評価する人、意見を書く人がほとんどですが、中には、「TBSのプロパガンダドラマ」という非難の声もちらほら。
「ドラマなので多少の誇張は仕方ないと思いますが、日本陸軍の描き方が酷すぎます。
まるで某国作成の反日ドラマのように感じます。先が思いやられ見る意欲をなくしました。」
「日本の軍隊を悪として描くのはやめてほしい。中国人が作った番組か?」
「うそばかり。
フィクションにしても、取材とか、なにもしていないんでしょうね。」
という感じです。
このドラマに「反日ドラマ」「捏造ドラマ」という人は、「日本帝国軍人はヒーローであり、横暴な態度をとることもなかった」と信じ、昔から日本人は中国、朝鮮の人を差別し、支配したこと」は良い事だと思っている様子です。
「日本軍、軍人の悪事」を描くと「捏造」「調べてもいないくせに」という彼ら、もし戦争を経験していないのであれば、彼らの意見が何を根拠にしているのかを、是非聞いてみたいです。
(彼らは、事実などには興味がなく、「僕(私)の理想の日本軍じゃない」という理由でごねている気がします。)
以前、
大きい事実と小さい事実
http://blog.goo.ne.jp/afternoon-tea-club-2/e/b6df2c9a5aeaf997a19f51e35dcf6c3a
に、
「「日本は戦争中満州で、中国人の為になることをやってやった。」と堂々と言い張る高齢者がいます。日本が中国にしてきたことを思えば、こういう人の主張は胡散臭く思っていたのですが、今回調べるにつけその言葉に誇張はあったとしても嘘ではなく、一つの事実だったのではないかと思えます。
そして「戦争をしていた」という意識が希薄な新京で戦時中過ごした彼らのこういう言葉が時として利用され、話をこじれさせるのではないかとも思えます。」
と書きましたが、私は戦争中の外地にいた人が、自分達のやったことを正当化することは、ある程度理解できます。
が、戦争も知らず、専門家でもないのに、「自分達の考えが正しい」という日本軍美化する人達の自信が、どこからでてくるのかと、とても不思議です。
追記:
このドラマは、中国残留孤児のことにもふれるようですが、中国残留孤児のドラマといえば、山埼豊子原作の『大地の子』をNHKが20年くらい前にドラマ化しています。(これは、上川隆也の出世作となったものです。)
『大地の子、Youtube』と検索すると動画が見つかります。
追記2:
第一部は挫折しましたが、第二部は観ることにしました。ドラマに向けられる反発が強いのを承知で作ったTBS、俳優、スタッフ、そしてスポンサーに敬意を表します。
(第一部の途中までと第二部を見ている限り、これは客観的な立場の脚本に仕上がっていると、私は思いますが、人によってはそうは見えないでしょう。)
これは中国でも放映されるのでしょうか。このドラマの視点で、日中共同で歴史を学べるようにすることが大切なのだと思います。
そもそも全体の描かれ方がステレオタイプ過ぎるということで、こうあって欲しいという願望であると決め付けるのはいかがなものでしょうか?
そして、私が批判しているのは、物事を単純化して「自分の信じることが事実」と思って騒いでいる人達に対してです。
(私自身は、「軍人にも横暴な人から人間味あふれる人まで様々、中国人も日本人もいろいろな人がいた」と思っています。)
なお、これは私のブログで、誰かを説得するために書いているわけではありません。
ですので、話はこれで終わらせてもらいますね。
そもそも、ある集団や国の構成員全員が善、あるいは悪などありえません。
にも関わらず、一方的な視点で物語が進行していたから「ん?」となる方が多いのでしょう。
加えて、軍人はあの時代において「普通の人々」であったはずです。
戦争=悪という価値観は戦後の価値観であり、あの時代を舞台にした物語で軍人をただの悪と描写するのは、戦争を美化することと同等の違和感を覚えます。
歴史を扱った物語であるなら、当時の価値観を持つ普通の人たちが、その時代の中を一生懸命生き抜く姿を描写するのがあるべき形だと思います。
当時の人々に現代人の価値観をおしつけるのは、傲慢な行いではないでしょうか。
歴史上には、例えば父殺しが英雄の資質だった国や時代もありますが、その時代の英雄を「野蛮な人殺し」と罵るような不見識には陥りたくないものです。
また、今、多くの日本人があまり注目しない朝鮮戦争にまで触れていた点も評価しました。
「戦争=悪」という価値観についてですが、最近、『スペインと日本の戦後〜』にも書いたんですが、現在戦争をしていない国でも、価値観はさまざまだと思います。(もちろん、国によって、というより、個々人によって違う。)
今までも私はルワンダ紛争に医療団として現地に行った女性、ユーゴ戦争を体験した男性などとも意見交換をしてきましたが、そこで思ったのは、「太平洋戦争の時の人だけでなく、現代の紛争に関わった人にも、自分の価値観を押し付けられない。(私は、もともと人に自分の価値観を押し付ける気はありませんが。)」ということです。
戦争ですが、太平洋戦争以前は、国民は反対しようにも反対できなかった。
今は、「戦争反対!」と大きな声で言えるようになった。
だから、私は(デモや何かの活動はしていませんが、)そう言い続ける、それだけです。
メッセージ欄だと書きづらくて、答えとずれてしまっていると思いますが、ごめんなさい。
ともかくも、私は黒戸さんのような見方、考え方も大切だと思います。
(黒戸さんは、「通州事件」というものはご存じですか?この事件は、中国人が日本人民間人を虐殺した事件ですが、あまり表に出ません。この事件の恨みが、南京大虐殺につながったというところもあると思います。しかし、やはり通州事件を起こすに至ったのは日本人が原因だと思います。
私個人は、「どちらがどれだけ悪いというより、殺された日本人、中国人が無念だった」ということを重点に、この事件も観ていますが、「なぜ通商事件が表にでないのか」などの視点で考えたり、多方面から見ることが、とても必要に思えます。)
最後に、もし気が向いたら、こちらをお読みください。
「消された『大東亜戦争』という名称、本当の教育とは」
http://blog.goo.ne.jp/afternoon-tea-club-2/e/f290cb75262f550e814b49f15d0e0e43
この文章はいかがなものかと思います。
決めつけもいいとこです。
失礼ですが、狭量さと偏見を持っていると感じました。
私は、中国を支配した事を良い事とも思ってませんし
日本軍がヒーローとも思ってません。
でも、あのドラマには、大分「反日っぽさ」を感じました。
前半の日本軍が横暴な振る舞いをするシーンは
まぁ、ドラマですし誇張と戦争中独特の暴走も
あり、「無かった」とは言いません。
ですが、後半の中国共産党がまるで全く横暴な事はせず、窮地から救いだした英雄の様に描かれていますよね。(洗脳、利用したとはいえ)
あれは、いかがなものかと思います。
まるで、日本=悪
中国共産党=正義
と、言わんばかりに。
その辺が偏っているため「反日ドラマ」と言われてしまう
のだと思います。まぁ、日本の立場は弱いので
ある程度仕方ないのかもしれませんが。
残虐シーンを誇張するならもっと公平にすべきかと思います。中国共産党の残虐さは有名ですよ。
このドラマの受け取り方は、さまざまな意見があるでしょうね。自分と違う受取方には反発を覚える人もいるでしょう。
しかし、このブログは私個人のもので、私は自分の感想を書いたまでです。ドラマの批判はTBSにどうぞ。
ところで、先日日本TVの『池上彰&櫻井翔の教科書で学べない戦争』を観ました。
これは良い番組だと思いましたが、一方で米国の都合の悪い事には矛先を向けない番組という意味では、若干片寄りがあったな、という印象を受けました。
この番組にも「反日」とコメントを寄せている人もいるみたいですが、『女たちの赤紙』に寄せられるのとは、その数は非常に少ないようですね。
戦時中でも結構良いエピソードがあるんですよ。中国人に予防接種させたりね。
ところで、ドラマの方ですが、主人公夫婦等、赤十字、医師が中国人を助けた場面がありませんでしたか?
(主人公はだから中国人に助けられたわけだったと思ったんですが・・。)
80年代に、深田祐介が『炎熱商人』という小説を書きました。
そこには、フィリピンで住民に対して礼を尽くした日本人軍人が出てきました。
しかし、彼は襲撃にあって、現地のゲリラ(住民にとってはレジスタンス)に残酷な殺され方をされてしまいます。
小説の内容はあまり良く覚えていないのですが、当時それを読んで、「これが戦争の悲劇だな」と強く思ったのだけは覚えています。
相手国より、日本兵が一番怖かったらしい。
「お国を守るはずのお方が、横暴だった。誰と戦ってるか、何を守ってるかも麻痺させる。それが戦争」そう言ってた。
そして、このドラマは「日本軍の方が残酷だった」ということを描いたのではなく、「戦争というものが(日本人に限らず)多くの人を麻痺させ、憎しみを抱かせ、翻弄する」という事だったと、私は思っています。