エジプトのムバラク政権の崩壊。
イスラエルとうまくやってくれていたムバラク政権、内情は腐敗していようと、米国政府などはそれをずっと支持していました。
また、情報も偏っていたのでしょう、エジプトの独裁という負の部分についての報道はほとんど外国に出ることがなく、ムバラク政権は中東においての優等生だと思っていた人も多かったと思います。
そこへきて、(これまた優等生扱いを受けていた)チュニジアからエジプトへ、群集の怒りの爆発が波及。
ところで、この動乱の前、エジプトはあることで注目を浴びていたのはご存知でしょうか?
それはエジプトが原子力発電ビジネスを加速させていたことで、日本も含めて、各国がこぞって押し寄せているころでした。(UAEやヨルダン初めとした中東諸国にも同様)
原子力発電といえば切っても切れないのが核開発。
日本の記事ではお目にかかれませんでしたが、実はムバラク元大統領は、エジプトの核武装についての考えも持っていたお方。
In 2007, Hosni Mubarak announced that the government planned to construct larger power reactors, but until very recently nothing was said about a weapons program. The prospect of Iran’s getting close to being able to produce nuclear weapons, however, changed everything. Last year, Mubarak said that Egypt would have to get nuclear weapons to defend itself. The Mubarak government claimed that since the Israelis have the bomb, Egypt too has the right to complete the nuclear fuel cycle, although no concrete steps seem to have been taken in that direction.
(ムバラクは、イランが核兵器を開発する可能性があるなら、エジプトも持つべきと昨年言及。そもそもイスラエルが(核)爆弾を持っているのだから、エジプトも核開発の権利があると主張していたということ。)
これを阻止しよう(そして原発ビジネスを進めよう?)と考えていたのが、今回エジプトに舞い戻って表舞台に立とうとしているエルバラダイ元国際原子力機関(IAEA)事務局長。
(http://www.nybooks.com/blogs/nyrblog/2011/feb/02/elbaradei-and-egypts-nuclear-future/参照)
このエルバラダイ氏が、今後エジプトのリーダーになれるとも、向いているとも思えませんが、原子力ビジネスを推し進める上では、「原発は売りたいけど、それを核開発に利用されると困る」という先進国側の願いが強いこともあるでしょうから、どうなることやら。
今後誰がリーダーになるにしろ『アンチ・ムバラク』というだけでその後の設計図が描けていないエジプト。
新しい政権がでてきたとて、民衆が職も選れず、パンも買えず・・というままであれば、また動乱が起こるでしょう。
追記:元外交官の野口雅昭氏のブログ『中東の窓』で、この動乱をきめ細かに追っています。