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黙って野垂れ死ぬな やられたらやり返せ 万国のプレカリアート団結せよ!

暗潮からのメッセージ

2011年01月13日 16時02分20秒 | 職場人権レポートVol.1
帝国主義 (岩波文庫)
幸徳 秋水,山泉 進
岩波書店

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 正月明けに書いた「2011年 新年の鼓動」という記事の中で、幸徳秋水の下記の文章を紹介しました。

>武装平和、資本家制度、少数政治、賄賂公行の旧年は去れり、而して武装平和、資本家制度、少数政治、賄賂公行の新年は来れり、新年の新は猶旧年の旧の如し、吾人は少しも其の芽出度きを見ざる也。
 然れども、旧観依然、徒らに斯くの如き者は国家組織の表面也、少しく深く社会の裏面に入れば、別に暗潮の熱を帯びて大いに動くあり、・・・利を掠め色を漁するの外に一能事なき富豪の下に、其の衣食欠乏の無道に泣ける労働者あるを見ずや・・・、斯くの如きの暗潮が新年と共に更に新潮を加え来るべきは当然也。
 此意味よりすれば、吾人も亦新年の芽出度きを見ざるに非ず、吾人は此意味に於て新年の前途を祝しつつ、更に読者諸君に向って左の語を為す。
 曰くお芽出度う、曰くお芽出度う!

 原文が文語調でなかなか読みづらいですが、その意味する所は、「今年も去年と同様、軍拡や資本家の搾取や勝ち組の横暴や賄賂政治はますます酷くなる一方だ。年が明けたからといって何もめでたい事はないじゃないか。でも、それはあくまで社会の表面だけを見ているからであって、その底流では衣食にも事欠く労働者の怒りが益々強まっている。年を経ることに、その怒りは更に強まり、社会変革を求める潮流となって力を増してくるだろう。だから、やはり新年はめでたいのだ。」というものでしょうか。

 とても今から百年以上も前に書かれた文章だとは思えません。今でも充分に通用する内容です。明治維新からまだ40年位しか経っていない当時において、「武装平和、資本家制度」等々を擁護する、今で言う所の御用マスコミや石原・橋下・ネットウヨクらを敵に回して、戦争反対・財閥政治打破・民主主義・男女平等などの主張を堂々と展開した先人たちの勇気と先進性に、現代に生きる我々も大いに励まされます。

 しかし、その「暗潮の熱」は一体どこにあるのだろうか?それは案外身近な所にあったりして。私の勤め先は、年末年始はむしろ繁忙期で、お正月気分とは無縁の職場でしたが、そこでもこんな事がありました。
 正月明けの余韻も覚めやらぬある日の午後、冷蔵庫で商品の仕分け中に、あるアルバイトと二言三言、雑談を交わしていた時のこと。その中で、話題がPC積み替え作業の件に及び、私が「みんなも私と同じように順法闘争に立ち上がってくれたら、職場の環境改善も一挙に進むのになあ。それが、みんな黙っているもんだから、この調子では、今後もますます会社に好いようにあしらわれるだけやで」と言ったのに対して、「いや、あんたの言いたい事も、それが正論だという事も、とうにみんな分かっている。でも、みんな会社に睨まれるのが嫌だから、あんたと同じにはなれないだけなんだ。それじゃあ、会社にますます好いようにあしらわれるだけなのも分かっている。分かっているけど、どうして良いのか分からない」という話になりました。

 その時は作業中でもあり、それ以上の話にはなりませんでした。しかし、そのアルバイトは、どちらかというと組合とか運動とかには無縁のタイプで、私もその人には職場新聞を配るのを遠慮していました。一度配った事もあったのですが、その時もやんわりつき返されたりしたので。
 それどころか、私だけが順法闘争をする事で、「あいつだけ早く帰りやがって」という声すら上がりかねないと、実は内心危惧していたのですが、どうやら今の所は、その心配はなさそうです。読者以外のバイトにも、私のやっている事はどうやら人伝に伝わってようです。

 でも、そこから先が、なかなか見えて来ないのです。私自身も、順法闘争する事で、それまでも多くない給料が更に目減りしてしまい、Wワークのバイトを探さなければならなくなってしまいました。本業の減収補填になり、尚且つ健康や生活に破綻を来たさないような、そんな好条件のバイトなんて滅多にありません。
 派遣会社にも一応登録しましたが、派遣会社に支払われる千円を優に超える時給のうちで、実際にバイトが手にするのはせいぜい800円台で、残りは全てピンハネされる事や、安全教育どころか最低限の作業手順すらまともに教えられないのに、労災になれば派遣先とグルになってもみ消すような事もしかねないような派遣会社に、一日に何度も報告の電話を入れさせられてまで、日払いの仕事をする気にはもうなれません。現在、派遣でない副業の面接予約を一件ゲット中です。

 しかし、これも妥協して残業を再開すれば、どれだけ楽な事か。でも、それをやっちゃうと、会社の非を受け入れる事になってしまう。「無理しなくても良い」なんて言っているのも今のうちだけで、そのうちにまた元の木阿弥に戻ってしまうのは目に見えています。
 「あいつだけ早く帰りやがって」と孤立させられる恐れこそ、杞憂であると分かったものの、それも今後はどうなるか分かりません。「××さんはもう上がって良いよ」と定時退勤させられるのも、「あいつはウルサイから早く帰らせろと、上から言われているから、仕方なくそうさせている」というのが、もう見え見えで。「××さんは特別な人で、私には到底あんな真似は出来ない」というのが、他のバイトの大方の受け止め方です。
 これを更に一歩前へ進めていくには、果たしてどうしたら良いか。職場新聞の発行再開ぐらいしか思いつきません。何か妙案がないものでしょうか。

※職場新聞の読者向け質問:さて、上記「冷蔵庫で商品の仕分け中に、あるアルバイトと二言三言、雑談を交わしていた時のこと」云々の、「あるアルバイト」とは一体誰でしょう?
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