アフガン・イラク・北朝鮮と日本

黙って野垂れ死ぬな やられたらやり返せ 万国のプレカリアート団結せよ!

そこまでして人間を貶めたいか

2010年01月10日 23時05分28秒 | 貧乏人搾取の上に胡坐をかくな
 近年とみに劣化ぶりが目に付く産経新聞ですが、下記の記事もまた酷いものです。

・派遣村、所在不明200人 就活費2万円支給後に続出(1月8日)
>年末年始に住居がない失業者に宿泊場所や食事を提供する東京都の「公設派遣村」で多数の無断外泊者が出た問題で、当初の利用者562人のうち、7日午後8時現在で200人以上の所在が不明になっていることが同日、都の調査で分かった。所在不明者は都が就活費として現金2万円を支給した6日から続出。都は規則違反者は強制退所にするとしたうえで、18日朝をもって派遣村の閉所を決めた。
 http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100108/crm1001080946003-n1.htm

・【揺らぐ沖縄】児童の安全より反対運動優先か 基地隣接の小学校移転(1月9日)
>米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)に隣接し、ヘリ墜落など事故の危険にさらされてきた同市立普天間第二小学校(児童数708人)で、これまで2回、移転計画が持ち上がったが、基地反対運動を展開する市民団体などの抵抗で頓挫していたことが9日、当時の市関係者や地元住民への取材で分かった。市民団体などは反基地運動を展開するため、小学生を盾にしていたとの指摘もあり、反対運動のあり方が問われそうだ。
 http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100109/plc1001092327012-n1.htm

 最初は8日付の公設派遣村関連記事に対する反論だけを書こうと思っていたのですが、次の9日付の普天間関連の記事もまた酷いので、両方一緒くたにまとめて、産経新聞の報道姿勢自体を問う事にしました。

 まず前段の公設派遣村関連の記事から。やれ無断外泊だの就活費で飲酒・パチンコだのと、表層に現れた一部の現象だけをさも針小棒大に書き立てて(実際の行方不明者はもっと少なかった)、まるで派遣村全体がならず者集団であるかのように描き出しています。しかし、何故そのような事が起こったのか、どうすれば解決できるのかを探求しようとする姿勢や、社会の木鐸としての使命感が、そこには全く感じられない。あるのは、ただただ「売らんかな」のセンセーショナリズムと露骨な印象操作ばかりで。
 まずは一歩前進と評された公設派遣村も、その運営については様々な問題が指摘されていました。まず直接の設置主体たる東京都は、国から言われて嫌々やらされているのが、もう見え見えで。とりあえず開設期間中の衣食住だけは「確保してやった」ものの、碌な職業相談もせずに、入所者をまるで犯罪人みたいに隔離収容して。提供された食事も、トンカツやらビフテキやらが並ぶものの、真に入所者の健康や栄養バランスを考慮した(心がこもった)ものではなかったので、逆に余計に惨めな気持ちに陥った人が多かったというではないですか。

・政府が「派遣村封じ込め」、失業者増大にもかかわらず(田中龍作ジャーナル)
 http://tanakaryusaku.seesaa.net/article/136961705.html
・「派遣村は走るバス」~警察に咎められ(同上)
 http://tanakaryusaku.seesaa.net/article/137230293.html

 そうして、当初の希望がやがて失望に代わりつつあった時に、国から2万円ばかりをアリバイ的に渡されたものの、期間終了後は残額を全て返納しなければならない。しかし、肝心の自立支援策は何も無い。あるのは生活保護の斡旋だけで、それも、怠け者と罵られながら受け取らなければならない。今までも散々モノ扱いされてきた上に、今度は政府の点数稼ぎに利用されようとしている・・・としたら、自分ならどうしますか。「もう、やってられるか!」「貰う物さえ貰ったら、もうこんな所には用は無い」という方に流れる人が出てきても、一向におかしくはないと私は思いますね。
 そもそも、パチンコや飲酒をして一体何が悪いのか。嗜む程度なら別に構わないではないか。久しぶりに缶ビール1本口にする事も許されないのか。一般人なら単なる嗜みで済む事が、何故、派遣村住民だと犯罪扱いされるのか。それこそが派遣村に対する差別ではないか・・・という事も言える訳で。
 しかし、そうは言っても、言わば「保護観察」の身である以上は、余り褒められた事ではないとは私も思いますが、それも今まで散々、政治や社会が彼らにしてきた事に対する、彼らなりの消極的抵抗とは捉えられないのか。

 次に後段の普天間関連の記事について。一読して思ったのは、「当時の市関係者や地元住民への取材」しかしていないという事。それは同関係者の声しか載っていない事からも明らかです。しかし、それではもはや報道機関として失格でしょう。
 「基地反対運動を展開する市民団体」関係者の声が一切掲載されていないので、現時点では一般論としてのコメントしか出しようがありません。そして一般論としては、こうも言える訳で。「後から入居してきた暴力団組事務所(米軍基地)の為に、何故先に住んでいた住民が出て行かなければならないのか?」と。
 これは、あくまでも一般論としての意見です。でも、こういう意見もあっても、一向におかしくはないですよね。それを、全て一部「反米運動」関係者の特殊な意見であるかのように、最初から決め付けるのは如何なものかと思いますね。これも「先に結論ありき」の印象操作でしかない。
 かつて自民党の安倍晋三・中川昭一が、従軍慰安婦特集番組の件でNHKに圧力をかけた際に、産経は何と言って二人を擁護したか?「放送番組は、特定の立場に偏る事なく、中立的立場から編集されなくてはならない」と言って擁護したよな。私なぞは「最初から特定の立場に偏した人間が、何を白々しい事を」と笑って聞いていたが。それが何故、殆ど一方の立場からの言い分だけに終始している、今回のこの記事ならOKなのか。

 こういう露骨な情報操作や、ひたすら大勢順応を是とし、少数者(少数意見)や社会的弱者を頭から異常と決め付け、隔離・排除し嘲り笑うような作風、どこかで見た事あるなと思ったら、思い出しました。「カルデロン一家や在日朝鮮人は日本から出て行け!」と呼号する、ネオナチ「在特会」ブログでの大本営発表記事のスタンスと、全く同じです。よって今後は、産経新聞関連の記事も、「在特会」関連と同じカテゴリーで扱う事にします。

・関連記事:公設派遣村をめぐる記事比較
 http://blog.goo.ne.jp/afghan_iraq_nk/e/cdc7d035be95f3fac336e4dab21f4363
 こちらも是非ご一読をお願いします。
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