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アフガン・イラク・北朝鮮と日本

黙って野垂れ死ぬな やられたらやり返せ 万国のプレカリアート団結せよ!

ならぬものはならぬのです。

2013年10月13日 09時25分37秒 | 貧乏人搾取の上に胡坐をかくな
朝鮮学校をレイシストが襲撃


 ネオナチ集団「在特会」(在日特権を許さない市民の会)の朝鮮学校襲撃事件に対し、約1200万円もの高額賠償請求のついた有罪判決が京都地裁で出ました。賠償請求には仮執行宣言も付けられたので、たとえ「在特会」が判決に不服で控訴するにしても、賠償額に見合うだけの高額の供託金(恐らく1千万円弱になるであろう)を用意しなければならなくなりました。いい気味です。
 「在特会」側は今回の判決を「思想弾圧・言論弾圧を意図した不当なもの」と非難していますが、とんでもない。彼らの「言論」がどのようなものであるかは、上記の動画を見れば一目瞭然です。「朝鮮学校なぞ学校じゃない、ぶっ壊せ」「朝鮮人はスパイの子」「舐めとったらアカンぞ!」「キムチくさい」「お前らは黙って隅っこ歩いとればいいんじゃ!」「おおっ、喧嘩やるんか、やったろうやないか」・・・これの一体どこがまともな「言論」か。単にヤクザもどきがとぐろを巻いているだけじゃないですか。
 今回の判決が画期的なのは、「在特会」の前記行為に対して、単なる名誉毀損ではなく、朝鮮人差別に基づくヘイトスピーチ(憎悪犯罪)であり、日本も加入している人種差別撤廃条約に違反している事を明確に指摘している点です。既に多くの先進国がヘイトスピーチを犯罪とみなす中で、日本だけが規制に及び腰だっただけに、この判決でようやく日本も他の先進国と同じレベルで議論する事が出来るようになりました。

 そもそも彼らが廃止を求めている「在日特権」とは何か。日本政府は、かつて植民地として支配してきた朝鮮・韓国・台湾人に対して、終戦までは一方的に「日本人」とみなし、しかも「二等国民」として差別しておきながら、戦後は講和条約発効と共に、これまた一方的に「日本国籍」を剥奪しました。その結果、在日朝鮮・韓国人や在日台湾人は一瞬にして「どこの国の人間でもない」状態にされ、無権利状態に追いやられました。そこで「流石にこれでは拙(まず)い」という事で、これらの人々については、他の在日外国人とは別枠で「特別永住者」としての資格が認められるようになったのです。その資格を「在日特権」と攻撃しているのです。
 それを聞いて、「じゃあ、今は少なくとも韓国や台湾には自由に帰れるのだから、彼の国の人間として生きていけば良いじゃないか」と中には思う人がいるかも知れませんが、実際に母国語を奪われ、日本語しか喋れなくなった二世、三世の人間が今更韓国人や台湾人になれる訳がないじゃないですか。しかも、彼らの先祖は日本人に土地を奪われ、食う為に止む無く日本にやって来たのです。戦時中の強制徴用だけでなく、それ以前の形は自由意思による渡航や密航で渡ってきた人たちについても、事情は似たようなものです。この様に、元々は日本の植民地支配によって引き起こされた結果なのに、「在特会」はそれをさも「特権」や「不当利得」であるかのように言い募っているのです。


 それは、今回の京都地裁判決の発端となった2009年12月の「在特会」による朝鮮学校襲撃事件についても言える事です。戦後も学校教育法の枠外に置かれ、在日朝鮮人の寄付によって運営されてきた朝鮮学校は、校舎を用意するだけで手一杯で、グラウンドを買う資金なぞ持てませんでした。左上の写真でも分かるように、校舎の間に挟まれた猫の額ほどの空地しか確保できませんでした。だから、京都市も経過措置として、学校の前にある児童公園のグラウンドを、右上写真のように運動場として体育の授業や朝礼に使用する事を認めてきたのです。勿論、朝鮮学校の方でも地域と共存を図る為に、住民とは何度も話し合いを持ってきました。そこに「在特会」が突然横やりを入れて来て、「グラウンドを日本人に返せ」と難癖を付けて来たのが、記事冒頭に掲げた動画です。
 勿論、朝鮮学校で行われている教育の在り方については、今も色々と議論があります。「北朝鮮指導者の肖像画を教室に掲げていたり、教育内容が北朝鮮政府や指導者への単なる賛美に終わり、民主的で自立した個人の育成を目指した教育になっていないではないか」という点については、私も疑問に思っています。
 でも、それを言いだしたら日本も同じでしょう。最初は「決して強制はしない、単に国のシンボルを決めておくだけ」とか言って、国旗・国歌法を成立させた途端に学校現場で思いっきり強制して、「君が代」を歌わない教師を大量に処分しているじゃないですか。それに対して朝鮮総連あたりが、「北朝鮮への敵対行為」だと日本の学校を襲撃して来たら、「在特会」だけでなくその他の日本人や日本政府も黙っていないでしょう。たとえ「君が代」が侵略戦争や帝国主義・軍国主義の象徴であっても。それと同じ事を「在特会」はやっているのです。

 しかも、こいつら「在特会」は、「在日特権」とは無関係な反原発運動や米軍基地問題、問題や、果ては堺市長選挙にまで難癖を付けて来ているじゃないですか。反原発デモに参加して御堂筋を行進していたら、難波の高速道路ガード下で、「在特会」の幟(のぼり)を持った輩が「生活保護貰いながら政治活動すんな」と息巻いていましたが、アホかと思いましたね。誰が「生活保護」貰って政治活動しているのか。何千人も集まったデモ隊の中には、「生活保護」貰っている人間も、貰っていない人間も当然います。勝手にレッテル張りすんな。本当は「在日特権」も「反原発」も関係なく、ただ単に弱い者虐めで自分たちの鬱憤を晴らしたいだけなくせに。
 そもそも「生活保護」貰って「政治活動」して一体何が悪いのでしょう。「生活保護」受給者にも憲法で認められた言論・表現の自由はあります。こんな「人権のイロハ」も弁(わきま)えない輩が、フリー・チベットの旗を掲げて拉致問題や北朝鮮・中国の人権問題を言い募っているのですから、お話になりません。ノーベル賞を受賞した知識人に対する中国政府の弾圧を非難しながら、同じ口で「シナ人出ていけ、外国人出ていけ、悪い韓国人も良い韓国人も皆殺しにしろ」と喚いているのですから、開いた口が塞がりません。もし、この知識人が日本に政治亡命してきても、「在特会」の事ですから「悪い中国人も良い中国人も」一緒くたにして皆殺しにしてしまうでしょう。非難され有罪判決が出て当然だと思います。

 但し、今回の「在特会」有罪判決については、ヘイトスピーチが犯罪行為として認められた事は素直に喜びながらも、過度に期待しない方が良いと思います。裁判所が「在特会」に有罪判決を下した裏には、日本国家の意志も多分に働いていると思います。一応、三権分立の法治国家が建前の日本ですが、実際には原発や米軍基地などの問題については、国側に立った判決が出るケースの方が圧倒的に多いのです。一般の刑事事件についても、裁判所はほとんど検察の言いなりです。
 その中で今回のような判決が出たのは、国も流石に「在特会」の蛮行を見過ごせなくなったからでしょう。今までは散々、労働運動や市民運動に対する弾圧の手駒として利用しておきながら、旗色が悪くなれば容赦なく切り捨てる。そうやって政府・自民党は「維新の会」や「在特会」のような存在を今まで散々利用してきた。今回も、都合が悪くなればトカゲの尻尾きりに出るが、本体部分はずっと「鉄砲玉」として温存しておくつもりでしょう。この後「在特会」がどんな巻き返しに出て来るか、今後の動きには充分注意が必要です。

(参考資料)

・街宣は人種差別と賠償命令、京都  在特会ヘイトスピーチ、初判決(47NEWS)
 http://www.47news.jp/CN/201310/CN2013100701001598.html
・在特会街宣は人種差別 京都地裁、「ヘイトスピーチ」に賠償命令(京都新聞)
 http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20131007000060
・京都地裁がヘイトスピーチに賠償を命ずる初の画期的判決を出した(五十嵐仁の転成仁語)
 http://igajin.blog.so-net.ne.jp/2013-10-08
・在特会・京都朝鮮学校襲撃事件、民事判決概要(Counter-Racist Action Collective)
 http://cracjpn.tumblr.com/post/63355194052
・百聞は一見に如かず(拙ブログ)
 http://blog.goo.ne.jp/afghan_iraq_nk/e/b5a0b62f8c91b3bedd957411853a26fe
・もはや他人事では済まされない(同上)
 http://blog.goo.ne.jp/afghan_iraq_nk/e/bba4fe729c5ed2830c16d95069b63836
・特別永住者(ウィキペディア)
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%B9%E5%88%A5%E6%B0%B8%E4%BD%8F%E8%80%85
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2 コメント

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Unknown (バッジ@ネオ・トロツキスト)
2013-10-13 12:06:21
今回の判決といい、ケリーとヘーゲルの千鳥ヶ淵参拝(=靖国行き拒絶)といい、歴史問題から派生している諸事態での国際常識はもう、覆しようが無いんですよね。人類社会の審判はとうに下っている。
シマグニウヨがえるたちは、もういい加減眼を覚ますべきです。自分たちが住む狭い井戸から首を突き出して、広い世間をよく見回してみるべきでしょう。

ところで、今日の排外主義問題では、やはり特殊日本的な歴史問題の未清算と共にグローバル資本主義による破壊が影を落としていることをもっと強調すべきでしょうね。移民労働者排斥運動や排外右翼の台頭はナチスやファシズムを断罪したヨーロッパ諸国でも起きていますからね。

近年の排外主義は、日本のような特殊事情(=過去の悪行の未総括)だけでなく、マルクス的国際主義を知らない下層民衆の低賃金・生活困窮要因への恐怖や拒絶感情も土壌にしている。資本のグローバル運動の産物です。
移民労働者やアジア諸国の低賃金が、先進国勤労者にとっての賃金・生活水準下落要因にもなっていることについての朧気な認識とその事実に対する敵意が排外気分の土壌になっているのです。

近年日本のデフレスパイラルも、その原因は安倍達が固執するマネーサプライや規制の問題などではありません。企業や富裕層のカネは、投機やタックスヘイブンに向かうほど有り余っているし、規制がではなく、その過度の緩和こそが今日の事態を招いている。
今日のデフレスパイラルは、アジアの低賃金構造が一部の日本企業によって超過利潤の獲得やその一部放棄による価格破壊に利用され、それによって国内労働者の再生産費の下落・圧縮が可能になり、賃金コスト削減から価格競争、全般的物価下落と賃金下落の悪循環を招いているためです。
だからこそ、経済の仕組みを理解しない下層労働者層においては自分たちの賃金・生活水準下落の直接要因であり「死重」である低賃金国(低価格製品輸出国)や低賃金労働者全般に対する憎悪が生まれる。中韓や生活保護受給者を自分たちの生活悪化の原因視するだけの視野狭窄が起こる。

「万国の労働者、団結せよ!」で自分達の賃金・生活下落要因を国際的に改善し、諸国労働者全体の生活を底上げする方向に眼が向くのではなく、「死重」要因が存在することへの情緒的反感や憎悪だけに終始してしまう。中韓の経済的台頭も、自分たちの雇用不安や生活悪化要因としてしか映らず憎悪の対象でしかなくなる。
ヨーロッパでも日本でも排外主義の土壌は同様なのだと思いますよ。

やはり21世紀には、「国民が主人公」ではなく「万国の労働者、団結せよ!」の立場が不可欠なのですね。
韓国や中国が日本に追い付き並んだとしても、中韓の後にはまだ東南アジア諸国もインドも、南米やアフリカ大陸も続いていますから、世界規模の病状改善・原因克服運動無くしては国内事態の解消さえままならないと思います。
返信する
Unknown (Unknown)
2019-07-12 12:35:35
完全に言論の自由の範囲外ですね。
返信する

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