ぜじろぐ

SAMBATOWN・ゼジの書くブラジル音楽やその他あれこれ

Leo Minaxに注目!

2008-05-19 15:42:50 | CD

こんにちは、なるべく16日に、といいながら結局記事アップが週明けの19日になるという、ホラやっぱりね的だらしなさを帯びてきたサンバタウン店主ですが、皆さんお元気でしょうか。

今回はミナスジェライスの出身ながらも現在スペイン・マドリードを拠点に活動するアーティスト、Leo Minax(レオ・ミナックス)にスポットを当てたいと思います。

この人は元々ミナスでドラマーとしてキャリアをスタートさせたようですが(80年代前半にロー・ボルジスの妹・ソランジとグループを組んでいたこともあるとか)、その後レオ自身最も得意なギターに回帰します。彼曰く、「当時はトニーニョ・オルタにとにかく影響を受けた」と述懐しています。87年に彼はミナスを去り、祖父がスペイン人であったことと、フラメンコギターを習得したいという思いから、スペインのマドリードへ移住します。

そこから6年後の1993年に彼自身初のソロアルバム"Bonito de escutar"をリリースしますが、いかにもミナスっぽい清々しさに満ちた音楽を展開しています。ちなみにこのアルバムは今となっては入手が不可能に近いようです。

その後2000年にセカンドアルバム"Sol no Bleu"を発表。このアルバムは更に美しさを増したアコースティック・ミナス・ジャズともいうべき内容(そんなジャンルないか)で、ここでの目玉はゲストにセルジオ・サントス(1曲)とトニーニョ・オルタ(2曲)が参加している点。ミナスの人脈がしっかり生きていることを示しています。

一気に彼の音楽性が開花したのが2003年発表の"STEREO 13"。それまでのミナスの清澄なイメージを重視した作風とは打って変わって、大胆にエレクトロニックなビートにノイジーなギターと、レオ自身の甘い歌声と柔らかいガットギターサウンドとを融合させ、これが見事に成功しています。目立ったゲストミュージシャンに頼っていないところがかえって彼のオリジナリティを際立たせ、良い結果につながったのかもしれません。ちなみにこのCDも今や廃盤寸前で、スペインからの調達が極めて難しい状況にあります。

この前後レオはホルヘ・ドレクスレルと交流を深め、曲を共作する等の足跡を残しているあたりに、彼の音楽的指向の変化がうかがえます。

そして2005年、目下最新作である"Aulanalua"をリリース、紛れもなく彼の作品中もっともクオリティの高いアルバムといえるでしょう。「月面教室」とでも訳せばよいのでしょうか、そのタイトルの通り、地球以外のどこかの惑星にいるような独特の浮遊感覚に満ちたサウンドが印象的です。驚くべきは、ゲスト陣にアルナルド・アントゥニスにモスカといった超個性派ミュージシャンを呼んでいること。その効果は抜群で、彼らのファンが泣いて喜びそうな(別に泣きはせんか)くらいにキャラの立ったトラックが収録されています。また昔からのミナス人脈として、才気溢れる女性アーティスト、マリーナ・マシャードが起用されているのもさすがと言えます(現在のミナス人脈として、彼はアフォンシーニョやヴァンデル・リーといった名前を挙げています)。レオの甘くセクシーな声にはいっそう磨きがかかり、そこへロック感覚溢れるバンドの演奏(エレキギターがとにかく最高)との絡みぶりが絶妙です。妙に変拍子の曲が多く(笑)、昔プログレが好きだったブラジル音楽ファンが大喜びしそうな気がするのはワタシだけでしょうか。それにしても、こうまで音楽性のベクトルが変わってもなおミナス音楽独特の浮遊感とセンチメンタリズムを見つけられるあたり、レオの中にミナス人としてのルーツが息づいているのだと思います。

今回、個人的にレオ・ミナックス本人とコンタクトを取る機会があり、その勢いで"Aulanalua"のCD+DVDパッケージと、僅かながら"Sol no Bleu"の入荷に成功しました。ご興味のある方はレオのMySpaceページで是非彼の音楽をチェックしてみて下さい。気に入ったらサンバタウン通販で買ってね(笑)。

現在製作中で、「もうちょいで終わるところ!!!」と毎回やたら感嘆符の多いメールを送ってくれるレオのニューアルバムの登場も待ち遠しいところです。

それにしてもMinaxという、いかにもミナスを意識した芸名についSHIDAXを連想してしまう不謹慎な店主を笑って許して。