ZEVEX~行動する自動車環境問題NGO~

手造りPHEVで、そしてプリウスPHVで二度の日本列島縦断を達成し、世界初EV南極点到達を目指し活動する冒険チームです。

日本EVフェスティバル2010

2010年11月27日 15時29分40秒 | ZEVEXの活動

16回目を迎える「日本EVフェスティバル」(日本EVクラブ主催)。JARIから大磯プリンスホテル駐車場を挟んで、筑波サーキットに舞台を移したのが2002年のことだったから、筑波も今年で9回目だ。日本国内は言うまでも無く、恐らく世界最大の電 気自動車の祭典なんだと思う。
今ではJARI時代の「EVフェスティバル」を知っているチームは少なくなってしまって、ZEVEXも気が付けば充分古参な チームになってしまった。でも「古い」というだけでエバっていると、「京都人みたい」だと嫌われるので、20世紀から生き残 った古参チームとして、主要メンバーはスタッフとしてフェスティバルの下働きをする一方、残ったメンバーで傘下の「ZEVEX Racing Team」から、今年はバージョンアップしたERKでチームを組んで参戦した。

(ERKに参加したZEVEX隊員、左から高木・田邊・藤井。監督の大津はヤニ補給中)

11月2日の夕方、日暮れが迫る筑波サーキットに前日入りのスタッフが集まり始める。コースの設営や企業ブース/環境EXPO用テント設置等、当日朝が早いEVフェスティバルでは、主だった準備作業は前日夜の間に済ませてしまう必要が有る。ZEV EXスタッフチームが舘内代表から依頼された主な任務は、今年も美走選手権に使うトンネルの製作&設置だった。

(ZEVEX製作のトンネル。トンネル造って今年で3年目だ。見えない部分で年々進化している・笑)

このトンネル 、製作者自身が言うのもなんだが結構凝った造りをしていて、前日入りするとしても、A/B2コースに2m強のトンネルを2つずつ、計4個のトンネルを現場で造るのはとても不可能な構造をしていた。そんな訳で、10月の内にZEVEXのEV製作ガレ ージに(フェス当日は用事で来られない仲間達も含めて)メンバーが集まって事前にトンネルを完成させておき、

(10月吉日、ZEVEX川崎PITでトンネルの製作に当たるZEVEX隊員の斉藤と大津)

当日はパーツに バラしたトンネルを筑波サーキットに運び込み、美走選手権のコース設営と同時に、位置を確認しながら筑波のメインストレート 上で組み立てて設置するという段取りで対応した。
今回スタッフとしてEVフェスティバルの運営に参加したZEVEXの隊員は 8名。内3名は当日しか休暇が取れなかったので、前日入りして設営準備から参加したのは5名だった。09年は夜半に突風が吹いて大騒ぎになったのだが、今年は天候も穏やかで、遅い夕食を兼ねたミーティング終了後、10時過ぎには宿に入ることができ た。EVフェスティバルのお手伝いをして、前日夜こんなに早く宿に入ったのは、思えば初めての経験だ。

(前日入りして準備を進める。コンバートEVレースで速度を落とさせる為に、最終コーナーに古タイヤでシケインを設置するZEVEX隊員)

明けてEVフェス当日。4時起床の5時前には会場に入る。5時の開門を過ぎると、参加者が続々と入場して来る。参加者の半数 が初参加ということで、運営側も色々心配していたが、初めてで勝手が分からないことが逆に幸いしたのか?スタッフの指示にも レスポンス良く反応して頂き、正直去年より今年の方が現場スタッフ的にはやり易いくらいだった。自チームの例を考えても、慣れて来ると横着をするようになるので、その分運営側は梃子摺らされることになる。
競技プログラムの第1は「全日本電動美走選手権」だ。言ってしまえばERKを使ったフィギュア競技で、速さではなくて美しさを競う。主観に頼った採点方法なので公平性が心配になるところだが、ジャッジの性別や年齢層にバランスを取ったりと、細やかな配慮もされていて、今のところ充分妥当なリザルトになっていると感じる。特に、現状ではチーム毎の水準や練習量に大きな差が有り、私がスタッフ受け持ち位置から遠目で見ても、上手い下手がはっきりわかるくらいなので問題は無いと感じた。もちろ ん将来的に実力が伯仲してくれば難しい局面も出て来るかもしれないが、その時はその時で工夫するのだ。電気自動車が年々進化 して行くのだから、EVフェスティバルの競技だって、年々進化して対応する。
この美走選手権で得たポイントは、30分耐久の結果と合算されてERKの総合順位が決まる。我がZEVEX Racing Teamはチーム 監督の大津志伸がドライブしたが、途中でバックをしたりと、身内が見ても駄目駄目な走りだった。そもそも美しさとは無縁な冒 険チームには無理な競技にも思えるが、この「全日本電動美走選手権」の初代チャンピオンは、私鈴木とZEVEX強化チーム隊員勝股康平コンビなので、選手の選択ミス・・・と、ここでは言っておこう(笑)。
「全日本電動美走選手権」のトンネルが撤去されると、ERKの30分耐久レースが開始される。

(後ろに見えるのはSANYO有志チームのENERACER(スペシャルクラス)。ツインモーターで左右輪を駆動するので、プッシングアンダーとは無縁)

08年までは「デュアルジムカ ーナ」として、メインストレート上でERKを走らせるだけだったが、昨年からはコンバートEVと同じように、筑波コース20 00のフルコースを走れるようになった。5回の強制ピットインが課される他、バッテリーを交換する場合には過剰に急いでミス が発生することが無いように、最低2分間のピット停止が義務付けされている以外は、基本的には全員がレーシングスピードで攻 めるので、全プログラム中最もスポーツ性が高いのがこのERK30分耐久だ。無差別級の「スペシャルクラス」になると、1分30秒前後で周回しているチームもあった。今年は「ミツバ・ダイハツ有志・横浜ゴム有志」チームなど複数の強豪チームが揃っ て不参加だったので、トップの総周回数は下がるかと思われたが、スペシャルクラスの「ハッスルおくぬき」チームの周回数は昨 年と同じ15周だった。02クラスでも、優勝の「エナーシスレーシング」チームの周回数は15周だったし、また、ミツバチー ムは不参加だったが、コンバートEVの強豪「Sanoh」チームがミツバ製のSRモーターを積んで、02クラスの2位(約半周遅 れ)に食い込んだことを思えば、来年のERKは更に激戦になることが予想される。

我がZEVEX Racing Teamも、今年は02クラスに上げての参戦だったが、準備不足に戦略ミスも重なり競技以前の部分で既に敗退 していた。でも参加者は「筑波のフルコースを思いっきり走れて楽しかった」と言っていたので、参加者に最低限の満足感 は有ったようなので、チームとしてはそれで良いのだ。我々は四駆電気自動車の冒険チームであり、サーキットが活躍の場ではないのだから。
手造りEVのデモンストレーションが終わると、いよいよEVフェスティバルのメイン競技と言える「コンバートEV74分ディ スタンスチャレンジ」が開始される。

(多くのメディアに注目される中、コンバートEVレースのスタート時刻が近づく)

例年だと1時間なのだが、今年は74分だ。74分というのはレース中に流すBGM「ベートーベン第9」の長さなのだが、BGMの長さにレースを合わせる自動車競技も珍しい。実はこの74分というのは初めての試み ではなくて、2003年にも行われたことがあった。但し、この時は乗車人員数で周回数が加算される特別ルールがあった時代で 、我々ZEVEX Racing Teamは、同じ京都のEVメルテックチームと共同作戦を取って、メルテックEVミゼットⅡで優勝させても らった思い出がある。もっとも2回目と言っても、03年当時のノウハウを持っていそうなチームは、カーナンバー1・2の「コ スモウエーブ」、カーナンバー25の「トヨタ東京自動車大学校」、カーナンバー11「慶応電気自動車研究室」の3チームと、 徳島工業短大時代の経験を引き継いでいると思われるカーナンバー6「愛媛県EV開発センター」くらいなものなので、ほとんど のチームにとっては、例年の60分から伸びた14分間のバッテリーマネージメントをどうするか?が、競技の大きなポイントになることが予想された。
やはりと言うか、レースが始まると「コスモウエーブ」チームが猛然とスパートして行った。特にカーナンバー1「EVマイティー」は2 6.5kWhものリチウムイオンバッテリー(三菱アイミーブが16kWh)を積んでいるので、ブリブリ走ってハンディキャッ プの4周を取り戻そうとうい作戦のようだった。

(優勝したカーナンバー1EVマイティー。JARI・筑波と両会場での優勝経験を持つのは、恐らくこのマシンだけ)

EVフェスティバルのレギュレーションには、アホ程バッテリーを積み過ぎない ようにと、「車重はオリジナルの1.5倍まで」に制限されているのだが、軽いリチウムイオンを使えばこういうマシン製作も可 能になるわけだ。もっとも、「コスモウエーブ」もう1台のカーナンバー2「EVカプチ」は、「EVマイティー」よりは少ない リチウムイオンを積んで同じ作戦を取ったが、最後の1周で電力が尽き「チェッカー優先」によって、実周回30周したものの1 5位に沈んだ。実周回30周できたのはリチウム勢だけではない。この競技2位になり、今年のEVフェス総合賞「あんたが大賞 」を受賞したカーナンバー3「TEAMいそずみ」は、鉛バッテリーに直流直巻モーターという昔ながらの組み合わせで、実周回 30周を達成している。

(「TEAMいそずみ」のEV-TOMORROW。同じ京都人の私は街中でちょくちょく見かける、京都では有名な電気自動車だ)

チーム代表の五十棲克己氏は、EVで10万km超を走ったツワモノで、バッテリーと会話しながら走れ るベテランの強みを実証するリザルトだった。
来年のEVフェスティバルも11月3日(文化の日)筑波サーキットだ。昨今の急激な電気自動車コンバートブームで参加車両は 増えているが、EVフェスティバルの競技車検も厳しくなっているので、特に安全面では手を抜かない造りでマシン製作に当たって頂きたいと 、末席のいち運営スタッフとして、自戒を含めてお願いしておこう。

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