荒巻豊志の整理されないおもちゃ箱

日本一下手なドラマーです。仕事の話をすることはこのブログではめったにありません。

俺の仕事は(5)

2011-07-03 11:58:41 | お仕事
TKB48の話をもう少し。

1996年

歴史家は「過去」を叙述するが、それへの問いかけは常に「現在」に対するまなざしから生まれてくる。いかに挙げる5人の歴史家たちは、彼らが生きた「現代」をどのような時代とみなしていたか、年代順に説明しなさい。各歴史家の名前には下線を施し、それぞれの代表的な歴史書の名前を明記すること。

 アウグスティヌス  シュペングラー  タキトゥス  マキャヴェルリ  ランケ


とてもいい問題だと思う。ところが、これを400字にするということは、一人あたり80字しかない。それでは結局この5人がいつの時代の人かがわかっていれば、それぞれ
ローマ末期の混乱、第一次世界大戦後のヨーロッパの没落、ローマ帝国の繁栄に対する疑問(共和制への郷愁)、主権国家の形成期、国民国家の形成
ということになる。

たぶん、高校生レベルなら、この簡単なことすら書くことができないだろう。それは、この5人がいつの時代の人物かということさえ特定することができないからだ。それを考えたら入試問題としては、まずは及第点を与えられるのではないか、という意見には同意する。

ただ、少しもったいないと思うだけだ。こういう歴史学の基本ともいうべきことがほとんど出題されないから、こういった問題が奇をてらったような問題にみえてしまう。
歴史家がどのように歴史を眺めてきたかという歴史を理解するために、いろんな事象を覚えていかなきゃいけないことは確かだ。だから、こういったことは大学でやるべきだという見方がある。いっぽうでせっかく高校で世界史をやっているなら、こういった歴史学の面白さの一端に触れさせることは大事だという意見もある。

これはせんじつめていえば、結局、社会科学習は系統学習か問題解決学習か、という梅根悟と勝田守一の論争に戻っていく。


なんか、もう一度、社会科教育とは何かということを考えてみたくなった。大学のときに無理矢理読まされた本なんか全部捨ててしまったが、今になって読み返そうとすると廃版になっているものがほとんどだ。もったいないことをした。



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2 コメント

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Unknown (MM)
2011-09-26 22:06:16

はじめまして
どこにコメントをすればいいのかわからなかったのでここにさせていただきます…。

先生のベーシック世界史を受講して見取り図も読みました!
そしたら歴史を学ぶってすごい大切なことなんだなって気がつきました。
自分の生きていく根底にあるものを学べる歴史ってすごく面白いです。
「ナショナリズム」についての説明はわたしにとってすごく難しい話で本当によくわからないという感じでしたが、知りたくて理解したくて何度も授業を聞いてようやく「ぼんやり」ですがわかってきました。わたしは本当何も考えて生きていなかったのですが先生の授業を聞いて、見取り図を見て少しですがいろいろなことを考えるようになりました。
先生と出会えて本当に良かったです。(…直接出会ったわけではありませんが…)
本当にありがとうございます!
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Unknown (荒巻豊志)
2011-09-27 00:30:03
MMさん、こんばんは。
ありがとうございます。つたない授業ですみませんでした。いいわけですが、時間をかけずに伝えるというのは難しいもので。まぁ、時間をかければもっとわからなくなるかもしれませんが(笑)。
世の中にはわかりやすくて優れた書物がたくさんあります。俺なんかから学んだことは全部忘れてたくさん勉強してくださいね。この「忘れて」というのがすごく大事なところなんですよ。今の場所に立ち止まらないで前に進んでください。
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