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「君が代」不起立処分大阪府・市人事委員会不服申立ならびに裁判提訴当該15名によるブログです。

国が進める原発「安全」教育―「教職員セミナー」と「出前授業」

2013-09-04 09:26:58 | 学校現場から

「君が代」強制に反対する運動は、卒業式や入学式における「日の丸」「君が代」強制反対にとどまりません。

いま、もう一つの「君が代」強制ともいえる「原発」安全教育が学校現場で進められようとしています。国は、国策として行なわれている「原子力発電」政策を推進するため教育を利用しようとしています。これは「君が代」を利用し国家への「愛国心」を教育によって植え込もうとすることと同根の問題です。

下記は、大阪ネットワークのなかまであり、大阪市立中学校理科教員の松田幹雄さんからの報告・問題提起です。是非、お読みください。私たちにできることをともに考えていきましょう。(T)

 文科省が進める原発「安全」教育

昨日(9月3日)学校(大阪市立中学校)で、大阪市教委から届いた、どちらも8月29日付の学校長あての2つの通知を見ました。

放射線教育に関する「教職員セミナー」「出前授業」の申し込みについての通知でした。
 
もともとの通知文は、文科省初等中等教育局が、「教職員セミナー」の方は7月19日付、「出前授業」の方は8月1日付で、各都道府県教育委員会指導事務主管課、各都道府県私立学校担当課、附属学校を置く国立大学法人事務主管課あてに出したもので、それが、大阪府教委市町村教育室小中学校課を経由して大阪市教委に届き、大阪市教委から、大阪市立の小・中・高校・特別支援学校に送られたものでした。すなわち、この2つ通知は、公立私立を問わず、日本のすべての小・中・高校・特別支援学校に送られているわけです。
 
「教職員セミナー」は、上限2560万円の文科省委託事業であり、東京学芸大学理科教員高度支援センター内に事務局がある「全国放射線教育推進会議」が受託して実施しているということです。「出前授業」は、同じく上限2520万円の文科省委託事業であり、「日本原子力文化振興財団」が受託して実施しています。
 
この2つの事業の実施理由は、文科省の公募要領によれば、「平成23年3月11日の東北地方太平洋沖地震に伴う東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故により、放射性物質が広範囲に放出・拡散され、国民の間に放射線に対する不安や社会的混乱が生じるとともに、被災者に対するいわれのない偏見や差別等が発生した。このことを受け、関係法令及び政府の方針等において、児童生徒等の放射線に関する理解を増進することが定められた」からだということです。
 
また、標題が『「正しく理解する放射線」教職員セミナー開催のご案内』となっている文書の『開催の趣旨』には、「平成23年3月11日の東日本大震災に伴って発生した東京電力福島原発事故により、食品への不安や被災地からの瓦礫受け入れ拒否等の社会問題があり、農水産物への風評被害は今も続いています。幼稚園・小学校・中学校・高等学校・特別支援学校で、子どもたちが、放射線について科学的根拠に基づいて正しく理解し、判断できる力を身につける環境を整備するため、教職員及び教育行政に関わる地方公共団体職員等を対象に、文部科学省の委託を受けて『正しく理解する放射線教育』教職員セミナーを下記の内容で開催いたしますので、ふるってご参加の程よろしくお願い申し上げます。」とあります。
 
すなわち、これらの事業は、現実の放射能汚染による健康被害の危険を認めず、その危険に対処するための人々の行動を「不安」「社会的混乱」「社会問題」「風評被害」として、放射線について「正しく理解」させ、安心させることを目的としたものです。この「教職員セミナー」「出前授業」でめざされる「正しく理解」とは、放射能汚染とその健康被害の現実を覆い隠すために国際原子力ムラがつくりあげた「100mSv以下の低線量被ばくでは健康影響はほとんどない」というような「知見」を刷り込むことです。放射線副読本の作成・配布に続き、文部科学省が原子力産業のための国策教育を学校現場に徹底させるための事業です。
 
どう反対していくか、知恵を出し合わなければならないと思います。
 
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3 コメント

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Unknown (nyaon)
2013-09-04 18:53:01
こんにちは。100ミリシーベルト以下の被ばくが影響をもたらさないかどうかは、専門家のあいだでも見解が分かれるところで、「唯一の正解」はないですね。もし、「正しく理解」の内容が、その「唯一の正解」を念頭に置くのであれば、それは科学的にも根拠のない見解を一方的に押しつけるだけのものだと思います。そのような<偏向教育>には断固反対すべきだと思います。
返信する
nyaonさんへ (zaza)
2013-09-04 21:27:05
コメントありがとうございます。
松田さんからコメントへの返信をいただきましたので、
お伝えします。

2011年秋に文科省が日本原子力文化振興財団に委託して制作した「放射線副読本」が、「放射線は元々自然界にたくさんあり、とても便利なもので、100mSv以下の低線量被ばくでのがんなどの健康影響は確かめられていない(健康影響はない)」ということを刷り込むことを目的としたものであることは御存じでしょうか。文科省はこの立場をまったく変えていません。事故前も原子力ムラと一体で、原発推進・「放射能怖くない」教育を進めてきた経過があります。今回の「教職員セミナー」と「出前授業」も同じ目的を持って進められています。この「放射能怖くない」宣伝、教育がチェルノブイリの現実等を知ることから、避難したり、被ばくに対して対策をとりたくても、声をあげることが困難な状況をつくっています。この事業が、原発事故による放射能汚染の影響を隠し、責任を逃れ、原発再稼動や原発輸出を進めたい原子力産業の意向を受けたもので、「偏向教育」だと強く批判していきたいと思います。
返信する
Unknown (nyaon)
2013-09-05 00:16:42
松田さん、返信ありがとうございます。科学の問題としては、健康影響が「ある」とも「ない」とも、断定できていないのではないかと思います。だから、「ない」という結論だけを教えることは問題です。それに加えて、社会的に合意されたルールとしては、一般市民の被爆許容線量は1ミリシーベルト以下にすることが定められていますが、文科省がこのルールの逸脱を奨励するような事業を進めているのであれば、それはさらに大きな問題ですね。それは、時速40㎞の速度制限がある公道で、事故さえなければ時速60㎞で走行しても構わないと教えているようなものですから。
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