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「君が代」不起立処分大阪府・市人事委員会不服申立ならびに裁判提訴当該15名によるブログです。

橋下市政で起こっている様々な事実~現職大阪市職員の告発~

2013-12-13 21:49:47 | 

橋下徹大阪市長が、府知事時代にまずやったことは府民の教育へ不安や期待感を煽り、「君が代」を使った教員への管理支配の強化だった。そして市長となり、今度は「入れ墨」を使い職員へ有無を言わさぬ支配を強化した。どちらも大阪都を実現するためには、大阪府市の教員や職員を支配下におき批判を許さぬためであろう。しかし、私たちが「君が代」強制に不服従を示したように、入れ墨調査を拒否し不服従を示した人たちがいる。橋下が市長として何をやったのか、入れ墨調査拒否被処分者矢野幸一さんが、「地域と労働」に投稿された原稿をご本人の了承を得て掲載します。

地域と労働運動投稿原稿

維新の会 橋下市長はただちに退場

入れ墨調査拒否被処分者 矢野幸一

はじめに

政治家橋下徹の言動に対しては、橋下イズム(主義)と言われ、多くの論評がなされている。そうした政治的評価については他に譲として、ここでの執筆は橋下市長の下で働く現職の大阪市職員として現在大阪市で起こっている様々な事実を全国の読者に伝えることを目的とした。

特に私は、橋下市長が行った入れ墨調査を拒否して懲戒処分を受けた当該として、自分が体験したことを述べたいと思っている。

1 市長就任から思想調査アンケート

橋下氏がダブル選挙で当選したのは、2011年11月。選挙が終わった直後、テレビ局の街頭取材で彼に批判的な意見を述べた二人の職員を探し出し、反省文を書かせるというできごとがあった。

テレビ局の取材に対して2人の職員が行った発言とは、(橋下氏の言う民意と)「自分の考える民意とは違う」という趣旨のものだった。ところが、橋下氏は「公務員の身分に甘えている」「民意を語れるのは選挙で当選した私だけだ」と激怒し、わざわざその職員を市の総務局に探させ、反省文を書かせたのである。これは選挙直後のことで、まだ橋下氏が市長に就任する前の話だ。

このできごとに、彼の思想性が現れている。つまり、「選挙で選ばれた政治家こそが民意の体現者、代弁者」であり「選挙では国民に大きな方向性を示して訴える。ある種の白紙委任」(朝日新聞 2012年2月12日)という考え方である。就任後に橋下市長が行ったすべての施策は、この考え方に基づいている。

橋下氏はこれまでもそうであったように、敵=悪者を作り、それをやっつける正義の味方=橋下徹を演出してきた。ここでの敵は組合であり大阪市職員となる。そのようにマスコミに公言してきた。

組合事務所の撤去

まず橋下市長が行ったことは、中之島の本庁舎地下にあった職員労働組合事務所の撤去であった。しかも、このことに対する組合からの団体交渉の申し入れをすべて拒否したのである。橋下市長の言い分は、(市長選挙で組合が前市長を支援したことをもって)「政治活動をする以上は公金でサポートできない」というものだった。その後、平松邦夫前市長の推薦人紹介カードの配布リストが発覚し、このことを維新の会議員が市議会で問題にしたことで、橋下市長の組合敵視はさらにエスカレートした。

それまでに橋下氏は、「市役所の職員が政治活動をしている。我々が勝った場合に、一族郎党がどうなるか覚悟を決めておけ。闘いの掟だ」(朝日新聞 2010年12月17日)と怒号していた。橋下イズムとは、「強い者が勝つ、勝った者が正しい、負けた者は従え、従わない者は切る」ということだと言える。橋下市長は、同じようなことを選挙直後にも発言している。組合も職員も報復を恐れてしまったのだ。

ところが、この推薦人紹介カードの配布リスト問題は、あっけない幕切れとなった。大阪市は「リストは30代の男性非常勤嘱託職員(非組合員)が選挙後に捏造(ねつぞう)したもの」だと発表(毎日新聞 2012年3月27日)したのである。しかもこの非常勤嘱託職員は、維新の会の政治塾に出入りしていた人物で、維新の会に得点を与えるために行ったことも分かっている。しかし、橋下市長はこの件に関して謝罪も訂正も行わず、組合敵視の姿勢を変えることはなかった。

思想調査アンケート

橋下市長は2012年2月9日に、大阪市の全職員35000人を対象に「政治・組合活動に関するアンケート」(思想調査アンケート)を実施した。このアンケートは、次のようなものだった。

Q17 あなたは組合に加入することによるメリットをどのように感じていますか。

Q18 あなたは組合にどのような力があると思いますか。

Q19 あなたは組合に加入しない(脱退する)ことによる不利益は、どのようなものがあると思いますか。

また、Q6では、「あなたは、これまで大阪市役所の組合が行う労働条件に関する組合活動に参加したことがありますか」と尋ね、「誘われたので参加した」と答えた人には、「活動内容」「誘った人」「誘われた場所」「誘われた時間帯」を書かせたのである。

アンケートの表紙には橋下市長のサインが入った文章が付けられていた。そこには「このアンケート調査は、任意の調査ではありません。市長の業務命令として全職員に、真実を正確に回答していただくことを求めています。正確な回答がなされない場合には処分の対象となりえます」と書かれていた。

このアンケートは職員一人ひとりに直接メールで送られ、パソコンの画面に向かって回答していく仕組みとなっていた。そして、最後まで回答しないと「完了」とはならないため、22問にわたる設問にほとんどの職員は長時間かけて悩みながら回答したのである。私はこうした不当労働行為に相当する違法な業務命令に従う必要はないと考え、内容だけ見て回答はしなかった。50人程いる職場で回答しなかったのは私一人だったと思うが、この件での管理職からの催促はなかった。

このアンケートに対しては、日本弁護士連合会をはじめとした民主団体から批判が集中した。市労連(大阪市労働組合連合会)は不当労働行為に当たるとして、2月13日にアンケートの中止を大阪府労働委員会に申し立てた。これに対して府労委は、2月22日「不当労働行為の恐れがある」として、判断が出るまで中断するように勧告を出し、2013年3月25日には「不当労働行為に当たる」との命令を出した。しかし、橋下市長はこれに従わず、中央労働員会に再審査を申し立てた。

私は145名の支持者との連名で、このアンケートの実行責任者である野村修也弁護士(大阪市の特別顧問)に対して「率先して違法行為を行い、弁護士の品位を失う非行を行った」(弁護士法違反)として、所属する東京第2弁護士会に懲戒請求を行った。そのことを発表した記者会見の様子は、新聞・テレビで報道された。それが2012年2月24日のことだが、未だに裁定は出されていない。弁護士は身内には甘いとされているが、世論から多くの批判を受けた思想アンケートの実行責任者に対して「何のオトガメもない」では済まされないだろう。

かくしてこの思想調査アンケートは世論の批判に押され、開封されることなく2012年4月6日にマスコミが見守る中、野村修也弁護士の手でシュレッダーに掛けられ廃棄された。

厳罰による統治システム

橋下市長は職員を管理統制下に置くために処罰を執拗に使っている。民意で選ばれた市長の言うことは絶対であり、その命令を職員が無視することは許されない。職務命令を最優先にしたトップダウン型の規律・秩序、すなわち上意下達型の統治システムを目指しているのである。法律よりも職務命令が勝るとする考え方だ。

憲法第15条では、「すべての公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」と定められている。ここで言うところの「全体」とは、私たち地方公務員の場合には地域社会全体に対する奉仕者だと解釈できる。ところが橋下市長はこれまでにも「条例と職務命令のどちらが権力行使の度合いが強いかと言えば、職務命令の方です」(朝日新聞 2011年6月28日)と述べている。つまり、法律よりも職務命令の方が公務員を拘束・強制する度合いが高いと言うのだ。法律家(弁護士)であるはずの橋下市長が、捻じ曲げた法律解釈をもって自らの主張を正当化しようとしている。こうした主張を許せば、大阪市職員は法律で言うところの「公僕」から橋下市長の「下僕」に成り下がってしまう。公僕は何よりも法律に忠実でなければならないが、下僕はその主人、すなわち命令を下す支配者=橋下市長に忠実でなければならないのである。

ここで橋下市長の厳罰主義の実例をひとつ紹介しよう。大阪市は、勤務時間中は禁煙となっている。庁舎内に限らず、どこにいても勤務時間中はたばこを吸ってはならないのである。ところが、喫煙者にとってはこれがつらいようだ。毎月発表される懲戒処分の半数近くを喫煙による処分が占めている。

交通局の地下鉄運転手が地下鉄の回送列車を運行中に喫煙したことに対して、停職1年の処分を下した。地下鉄車内で喫煙禁止というルールは理解できる。しかし、人が乗っていない回送列車内での一服をもって停職1年の処分というのは、いくら何でも行き過ぎである。また、「平成24年10月に1回、学校付近の路上で喫煙を行った」として特別支援学校の教諭(59歳)が、停職1月の処分を受けた。さらには、家庭訪問先での話し中に一服したとして、停職1月の処分を受けた教諭もいる。このような職場以外での喫煙が何故見付かるのか?大阪市では職員同士の密告制度がある。江戸時代の5人組や第2次世界大戦中の隣組のように、住民(職員)をお互いに監視させる制度だ。この制度が、喫煙の摘発に役立っているようだ。

たばこ1本で停職1月というのは、労働者にとって酷である。停職だから当然給与はない。しかも生涯賃金への影響もある。大阪市服務規律刷新プロジェクトチーム事務局が出しているパンフレットによると、停職1月で140万円の減額となる(42歳の係長級職員の場合)となっている。

喫煙については、私は吸わないので横で吸われると迷惑だし、当該にとっても健康上良くないと思う。しかし、それはモラルの問題であったり本人の問題であって、その行為を行政が処分の対象にすること自体異常なことだと思う。

喫煙についての懲戒処分が一向に減らないので、大阪市は職場の管理職が喫煙者のたばこを預かって勤務時間中保管をするように指示を出した。指示された管理職は、誰が何時預かって何処に保管するかを真剣に論議している。笑い事ではない。

2 入れ墨調査拒否で懲戒処分

思想アンケートは、世論の強い批判を受けて廃棄に追い込まれた。次に橋下市長が目を付けたのが、入れ墨調査だった。

2012年5月の連休明けに「入れ墨に関する調査票」が配布され、調査が始まった。調査票には人体図が描かれており、首から下、腕の付け根から内側、膝から上の部分に斜線が引かれている。その範囲外の部分、つまり人目に付く所に入れ墨やタトゥーがあるかどうか、あるなら部位はどこか、大きさはどのくらいかを問う調査であった。そして任意だが、斜線の部分(見えない所)についても問うている。この調査も思想アンケートと同じく業務命令であった。これが大阪市職員35000人を対象とした、他に例を見ない入れ墨調査だ。

職場では「こんなアンケート、仕事と関係ない」という声が圧倒的だったが、「処分されるのは嫌」という意識から、全職員が提出した。私は、管理職に対して「入れ墨はしていないが、こういうプライバシーに触れるような調査に協力することはできない」と言って提出を拒否した。

5月22日には、「入れ墨調査で、橋下市長が回答しなかった職員のリストアップを市幹部にメールで指示し、これらの職員について『市長に在任中は昇進を認めない』と記していたことが分かった。市は10日までの回答を義務付けていたが、21日現在、長期休暇者を含む500人弱が回答していない。人事上の不利益を示して回答を迫る橋下市長の手法は、新たな波紋を呼びそうだ」(朝日新聞)と大々的に報道された。

同日、未提出の職員に対して調査票の提出を求める局長名の業務命令書が手渡された。その翌日には、管理職が未提出者の意思確認を行った。私は、「地方公務員法で言う業務命令は、業務に関する命令だと規定されている。業務に関係のない命令は無効だ」として、提出を拒否し続けた。私の職場の管理職は、私が若い頃から組合活動をしていることをよく知っているので、「矢野さんの気持ちは分かるが、業務命令として割り切ってもらえないか」という程度の説得であった。他の職場では、「提出しないと再就職に差し障るぞ」という脅しをかけられた定年前の職員もいた。

7月14日には、「大阪市が全職員に実施した入れ墨調査で、橋下市長が13日、調査を拒否している13人に、27日までに回答するよう改めて職務命令を出したことが分かった。『この命令に従わない場合は懲戒処分が行われることがある』としており、事実上の『最後通告』となる」(毎日新聞)と報道された。この業務命令を受けて、拒否者のいる部署の管理職は必死に説得に当たった。拒否者をそのままにするということは、管理職が責任を問われることになるからだ。

業務命令を拒否することは、橋下統治システムを否定することになる。橋下市長としては、絶対に許せないのだ。結局のところ入れ墨調査というのは、職員への管理統制のための手段であり、それに従わない不届きな職員をあぶり出すためのものだった。そして、「プライバシーとか表現の自由とかの主張は認められない。調査に従わないなら、さっさと辞めればいい」と言い放ったのである。

しかし、最終的に6人の職員(いずれも入れ墨はしていない)が拒否を貫き、7月28日に懲戒処分を受けた。6人のうち3人は、私と同じ組合(なかまユニオン)に所属する職員であった。私たちはその日に、「裁判も含めて徹底的に闘う」ことを宣言し、大阪市役所の記者クラブで記者会見を行った。この時も新聞・テレビが大きく報道した。

地方公務員法では、受けた処分が不服な場合には、まず人事委員会に審査請求して、その審査結果が出るか3か月経過した後にしか裁判に訴えることができない。しかし、3人の内ひとりは市立病院に勤務する看護師で、この人の場合には事業部局であることから地公法のその部分が適用除外されるので、12月27日に大阪地裁に処分取り消し裁判を起こした。私ともう一人の組合員は、市長部局であるために人事委員会に審査請求し、現在審査中である。

「入れ墨を入れた職員が児童を脅した」という誤報

2012年2月28日、「施設職員が虐待児を恫喝 入れ墨見せ暴言繰り返す」との見出しで「大阪市立の児童福祉施設に勤務する30代の男性職員が、子供たちに自分の入れ墨を見せたり、暴言を吐いたりしていたことが市側の調査で判明した」(産経新聞)と報道された。この記事を見た市民からは、多くの抗議の声が寄せられた。もしこの記事が事実ならば、けしからん話だ。

この記事を維新の会の市会議員が問題にし、市議会で追及した。そして、調査に当たった当該部署のこども青年局長が3月8日の文教経済委員会で次のように答弁した。「当該職員は、職場において職員間での言動に問題が見受けられ、入所児等に対して厳しい口調で注意をすることはあったものの、新聞報道にあるような入所児に対する恫喝及び入れ墨を見せびらかすような行為は確認できませんでした」。誤報だったのだ。

3月の時点で新聞報道が誤報だということが市議会で明らかにされたのだから、橋下市長がとるべき措置は、「新聞報道にあるような事実はありませんでした。大阪市職員を市民の皆さんは信頼してください」と、訂正し事実をマスコミに明らかにすることであった。しかし橋下市長は、入れ墨に対する市民の中にあるマイナスイメージを利用して、全職員を対象とした入れ墨調査へと突き進んだのである。

入れ墨をした職員を隔離

裁判や人事委員会審査で大阪市は、「市民から職員の入れ墨への批判が相当数あった。入れ墨をした職員を市民対応のない職場に異動させるために、入れ墨調査が必要だった」と繰り返し主張している。そして、過去3年間に寄せられた685件の市民の声を証拠として提出してきた。

しかし、その市民の声を分析してみると、2012年2月28日の施設職員が入れ墨を見せて児童を脅した、という誤報記事が出る前の3年間に寄せられた入れ墨に関する市民の声は、19件しかなかったことが分かった。しかも、そのすべてが「市民プールに入れ墨をした人が入っているが、何とかならないか」という類の意見で、職員の入れ墨を具体的に指摘した市民の声は、1件もなかった。

入れ墨に関する市民の声を月別にみると、誤報道から徐々に増え、入れ墨調査が始まった5月には368件(全体の54%)が寄せられている。その声の多くは、誤報道を前提とした意見で、橋下市長の入れ墨調査に賛成している。しかし、この比率は処分が出される8月になると賛成20件、反対53件と逆転している。「処分までやるのは行き過ぎ」という意見が多く寄せられている。全体を通してみても賛成が441件、反対が169件、その他は75件となっており、その他を除いた意見の内反対意見は28%を占めている。「入れ墨を見せて児童を脅すのはよくないが、その職員を指導すればよいことで、全職員を対象とする入れ墨調査をする理由にはならない」とする、誤報道を前提としているにもかかわらず、調査には反対するという意見も多く寄せられていた。

このように見てみると、市の「市民から職員の入れ墨への批判が相当数あった」とする主張はウソだということが分かる。相当数寄せられたのは、誤報道があったからであり、多くは入れ墨調査が始まって、橋下市長が頻繁にマスコミに露出した頃からなのである。

ウソから始まった入れ墨調査。その調査の結果、入れ墨をした職員を市民と接する部署から市民と接しない部署へと異動させるという。大阪市版アパルトヘイトだ。

撤回させる会から求める会へ

入れ墨調査拒否者への懲戒処分が出された翌月の2012年9月30日、なかまユニオン組合員3人への不当処分を撤回させるために、「橋下市長による入れ墨調査拒否者への不当処分を撤回させる会」が結成された。それ以降、多くの仲間が支援の拡大に奔走した。毎週1回の市役所前での朝ビラは現在でも続いている。1万筆以上の署名も提出した。しかし、処分された側は別々に運動していた。私たち以外の3人は、所属も弁護士も違っていた。

被処分者のひとりに交通局のバスの運転手がいる。その人を支援している交通局のOBから「処分された6人が一致団結して闘うことが大事だ。6人の処分を撤回させるための会を作ろう」との呼びかけがなされた。被処分者当該と支援者が集まり、議論を繰り返し、2013年11月20日に「橋下市長による入れ墨調査拒否者への不当処分撤回を求める会」が多くの支援者を集めて結成された。参加者からは「反橋下の1点で結集した良い集会だった」との感想が多く寄せられた。不当処分撤回を求める闘いは、新たな段階を迎えた。

3 橋下市長にレッドカード

2013年11月7日、大阪府労働委員会は、教職員に君が代の起立斉唱を義務付ける大阪市の条例を巡り、「労働組合が求めた団体交渉に市が応じなかったのは、労働組合法が禁じる不当労働行為に当たると認定し、交渉に応じるよう市に命令した」(毎日新聞)。

これは、2013年3月25日の思想調査アンケート、そして2013年9月26日の労組事務所撤去での団交拒否に対する不当労働行為の認定に続いて3回目の不当労働行為の認定である。しかし、いずれも橋下市長は中央労働委員会に再審査を申し立てている。さすが、法律よりも業務命令を優先させる弁護士である。

破綻した大阪都構想

2013年9月29日に投開票が行われた堺市長選挙で、大阪維新の会公認候補が大阪都構想に反対する現職市長に敗北した。橋下市長は、この選挙を「党の浮沈を握る重要選挙」と位置付けていた。そのために63人の国会議員に「3日間は堺に来い」と指示を出し、堺駅近くのホテルを押さえていた。堺市長選挙に負ければ都構想はなくなる、という危機感に溢れていた。しかし、橋下維新の会は敗北。これで都構想から堺市の離脱が決まったため、都構想はただ単に大阪市を5つの特別区に分割するだけの構想となってしまった。

堺市長選挙前に橋下市長は、都構想の財政効果を最大1000億円とする試算を発表した。しかし、その内容は「一部の職員らは疑問を感じながらも、市民サービスを廃止した市政改革プラン(237億円)や、市営地下鉄の民営化(275億円)、ごみ収集の民営化(79億円)などを効果額に加えていったという」(毎日新聞 2013年8月10日)。発表した財政効果のほとんどが、都構想とは関係のない大阪市の民営化などで浮くと想定した額だったのである。堺市民が都構想にNOを突き付けたのは、当然の選択だ。

しかし、これで橋下市長は諦めたわけではない。大阪都実現に向けて2014年秋までに大阪府・大阪市の議会での決議を経て、大阪市民を対象とした住民投票で過半数の賛成を得る、としている。次の焦点は、2014年秋の住民投票となっている。今度は、大阪市民が頑張る番だ。

橋下市長の掲げる大阪都構想というのは、大阪府と大阪市の二重行政(水道事業など)を解消し、大阪市と堺市を統合・分割して特別区を作る。そして、大阪市・堺市の財源は大阪都に吸い上げて高速道路などの関西財界が要望するインフラ整備事業に充てる。残ったお金を特別区に分配し、福祉などの金のかかる行政を切り詰めてやらせるというものだった。

橋下市長は退場!

橋下市長は就任以来、公約に掲げたことを何ひとつ実現できていない。府と市の二重行政の象徴として掲げていた水道事業の統合は既に市議会で否決されている。また、大阪市の地下鉄の民営化は、2013年12月市議会で3度目の継続審議となっており、実現の目途は立っていない。頼みの支持率も退潮傾向にある。2013年5月15日の「従軍慰安婦制度は必要だった」とする発言で大きく支持を下げ、その後も激しく上下しながらも全体としては低迷している。

3回の不当労働行為認定を受け、従軍慰安婦制度は必要だったと発言する人権感覚のない市長。大阪都構想は行き詰まり、公約は何ひとつ実現できない(その方が良いが)市長。これだけレッドカードをもらえば、退場しかないでしょう。しかし、どれだけ叩かれても自分からは辞めようとしないのが、橋下徹という人物だ。

入れ墨調査拒否者への不当処分撤回の闘いが、橋下市長を退場に追い込むための力となるよう、今後も努力していきたいと思っている。 (2013年12月13日)


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