※多くの高校生や大学生、そして働くもしくは働くことができない若者たちが、「声をあげる」ことをあきらめている現状があります。それは若者たちのせいではなく、日本社会特有の「声をあげさせない」構造に起因していると思われます。あきらめざるを得ないと思っている若者のみなさんへ、是非このニュースを読んでください。「レイバーネット日本」の記事から一部改編して掲載します。辻谷博子
http://www.labornetjp.org/news/2012/1356100504760staff01
http://www.labornetjp.org/news/2012/1221akutu
2000年からキヤノン宇都宮光学機器事業所で働いていた非正規労働者が、新聞報道で自らの働き方が偽装請負と知って、組合に加盟して2006年10月に栃木労働局に偽装請負を告発してから6年、この間、キヤノンは雇用政策を大きく転換し、派遣・請負から期間社員への切り替えを数千人規模で進め、更に期間社員から正社員を数多く登用してきました。
しかし、組合の求めた従来の勤続を踏まえた正社員としての採用はなく、キヤノンとキヤノン非正規労働者組合の間では都労委(2008年12月22日不当労働行為救済命令申し立て)、組合員5名との間では東京地裁(2009年6月3日地位確認、損害賠償請求提訴)にて係争が続いていました。
今回、両者による和解が成立しました。大企業で偽装請負という形で働かされていた労働者が、請負先に責任を認めさせ2名の正社員雇用を勝ち取り、会社の意見表明を得るという内容で勝利和解したことは、違法行為を告発し闘った者が救済されるという多くの非正規争議を励ますものであり、違法な職場でも泣き寝入りせざるを得ない非正規労働者の労働者としての権利を取り戻す意義あるものでと言えます。
阿久津真一さんの談話(12月21日・写真右)
ありがとうございます、阿久津です。
おかげさまで、昨日、23:30にキヤノンとの和解が成立しました。この小さな組合が、財界トップクラスの経営陣を夜中まで控えさせ、また、2名の正社員雇用を勝ち取ったのは、多くの支援の皆さんや、手弁当すら渡せていない中で奮闘いただいた弁護団の皆さんのおかげだと思います。本当にありがとうございました。
声明文にあるように
・キヤノン株式会社はキヤノンの関連会社においてキヤノン非正規労働者組合の組合員2名を正社員として雇用する。
・また、キヤノン宇都宮光学機器事業所宇都宮光機第一工場光学製造部製造第二課第2ブロック(当時)における構内請負について、平成19年9月12日付で栃木労働局長より、労働者派遣法違反が存する旨の是正指導を受けたことを真撃に受けとめ、今後は同様の指導等を受けることのないよう、 再発防止に向けた不断の取組を継続する。
・本件紛争が長期化したことについて、労使双方は、遺憾の意を表する。
以上は開示可能となっており、この成果を多くの方に伝え、争議で闘っている仲間、違法な職場で泣き寝入りせざるを得ない状態で働いている方々を勇気づける事が出来ればと思います。
今日は久しぶりに家に帰って家族に報告しましたが、10ヶ月の娘は顔を忘れてしまったようで、泣かれてしまいました。
しかし、この日を迎えることが出来たのも、ひとえに皆様のご支援のおかげです。本当にありがとうございました。
〔以上、一部改編〕
【キャノン非正規労働者組合】 http://ameblo.jp/canon-rouso/entry-11431886836.html
報告:佐藤和之(各専労協)