※自民党改憲草案について、私たちはもっともっと知る必要があります。「大阪ええじゃないか」でお世話になった横谷和彦さんがフェイスブックに投稿されたものを、ご本人のご了承をいただき掲載させていただきます。
「緊急事態宣言」がヤバい
あちこちで「これはヤバい」と評判の自民党改憲案。
ヤバいとされるポイントは、概ね
1)自衛隊の国防軍への転換と集団的自衛権の容認
2)基本的人権の制約原理が内在的制約原理である「公共の福祉」から外在的制約原理である「公益及び公の秩序」に置き換わった
3)憲法尊重義務が国民に!
4)最高法規規定がまるっと削除
などが挙げられていますね。
あと、あまり注目されていませんが、「緊急事態宣言」てのが新設されていてこれがまたシビレルくらいヤバい。
(自民党改憲案)
第98条
内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる。
第99条
緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる。
(2項略)
3 緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、法律の定めるところにより、当該宣言に係る事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない。(以下略)
これって、要は旧憲法における緊急勅令規定と効果は同じなんですね。
(大日本帝国憲法)
第8条
天皇ハ公共ノ安全ヲ保持シ又ハ其ノ災厄ヲ避クル為緊急ノ必要ニ由リ帝国議会閉会ノ場合ニ於テ法律ニ代ルヘキ勅令ヲ発ス
ついでに言うと、ナチスが権力掌握に利用した大統領緊急令の規定にも通じています。
(ワイマール憲法)
第48条
『公共の秩序と安定』が危険にさらされ国家が憲法の義務を履行できなくなったとき、大統領は軍隊の援助のもとに緊急令を強行でき、その際に身体の自由、住居不可侵、通信の秘密、言論の自由、集会結社の自由、私有財産の保護の一部または全部を停止することができる。
去年の3月11日、東北にとてつもない災厄が降りかかりましたが、あのときこのような緊急事態規定があれば、迅速な対応ができたんでしょうか?私はそう思いません。政権中枢がちゃんとした判断ができれば現行制度でも正しい対処ができるし、政権中枢がダメなら緊急事態宣言を出せようが勅令を発せようがダメでしょう。
なんで、ナチスや自国の経験を踏まえて取り払った緊急事態条項を、わざわざ復活させようとするのか。答えは一つ、緊急事態に独断でバシバシ物事を決める俺様を想像するとカッコイイからですね。男の子らしいというかなんというか。
あとは参考までに、各国の人権に関する規定ぶりを並べてみました。自民党改憲案ともっとも近いのが中国憲法っていう。
(自民党改憲案)
第12条
この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力により、保持されなければならない。国民は、これを濫用してはならず、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない。
(現行憲法)
第12条
この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
(中華人民共和国憲法)
第51条
中華人民共和国公民は、その自由及び権利を行使するに当たって、国家、社会及び集団の利益並びに他の公民の適法な自由及び権利を損なってはならない。
(ドイツ連邦共和国基本法)
第1条
(1) 人間の尊厳は不可侵である。これを尊重し、および保護することは、すべての国家権力の義務である。
(2) ドイツ国民は、それゆえに、侵すことのできない、かつ譲り渡すことのできない人権を、世界のあらゆる人間社会、平和および正義の基礎として認める。
(3) 以下の基本権は、直接に妥当する法として、立法、執行権および司法を拘束する。
(フランス人権宣言)
第4条
自由とは、他人を害しないすべてのことをなしうることにある。したがって、各人の自然的諸権利の行使は、社会の他の構成員にこれらと同一の権利の享受を確保すること以外の限界をもたない。これらの限界は、法律によってでなければ定められない。
(アメリカ合衆国憲法)
修正14条第1節
合衆国に生まれ、または帰化し、その管轄権に服しているすべての人は、合衆国及びそれぞれの居住する州の市民である。いかなる州も、合衆国の市民の特権または免除を縮減する法律を制定し執行してはならない。いかなる州も、人から法のデュー・プロセスによらずして生命、自由もしくは財産を剥奪してはならない。またいかなる州も、その管轄権の中で何人にも法の平等な保護を否定してはならない。
(朝鮮民主主義人民共和国憲法)
第63条
朝鮮民主主義人民共和国において公民の権利及び義務は、「1人はみんなのために、みんなは1人のために」という集団主義原則に基づく。
(大韓民国憲法)
第37条
①国民の自由及び権利は、憲法に列挙されていないという理由で軽視されない。
②国民のすべての自由及び権利は、国の安全保障、秩序維持又は公共福利のために必要な場合に限り、法律により制限することができ、制限する場合においても、自由及び権利の本質的内容を侵害することはできない。
(フィリピン共和国憲法)
第11項
国家は、あらゆる人に対しての人間の尊厳に価値をおくものであり、人権に対して完全な尊重をおくことを保証する。
ヤバいとされるポイントは、概ね
1)自衛隊の国防軍への転換と集団的自衛権の容認
2)基本的人権の制約原理が内在的制約原理である「公共の福祉」から外在的制約原理である「公益及び公の秩序」に置き換わった
3)憲法尊重義務が国民に!
4)最高法規規定がまるっと削除
などが挙げられていますね。
あと、あまり注目されていませんが、「緊急事態宣言」てのが新設されていてこれがまたシビレルくらいヤバい。
(自民党改憲案)
第98条
内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる。
第99条
緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる。
(2項略)
3 緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、法律の定めるところにより、当該宣言に係る事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない。(以下略)
これって、要は旧憲法における緊急勅令規定と効果は同じなんですね。
(大日本帝国憲法)
第8条
天皇ハ公共ノ安全ヲ保持シ又ハ其ノ災厄ヲ避クル為緊急ノ必要ニ由リ帝国議会閉会ノ場合ニ於テ法律ニ代ルヘキ勅令ヲ発ス
ついでに言うと、ナチスが権力掌握に利用した大統領緊急令の規定にも通じています。
(ワイマール憲法)
第48条
『公共の秩序と安定』が危険にさらされ国家が憲法の義務を履行できなくなったとき、大統領は軍隊の援助のもとに緊急令を強行でき、その際に身体の自由、住居不可侵、通信の秘密、言論の自由、集会結社の自由、私有財産の保護の一部または全部を停止することができる。
去年の3月11日、東北にとてつもない災厄が降りかかりましたが、あのときこのような緊急事態規定があれば、迅速な対応ができたんでしょうか?私はそう思いません。政権中枢がちゃんとした判断ができれば現行制度でも正しい対処ができるし、政権中枢がダメなら緊急事態宣言を出せようが勅令を発せようがダメでしょう。
なんで、ナチスや自国の経験を踏まえて取り払った緊急事態条項を、わざわざ復活させようとするのか。答えは一つ、緊急事態に独断でバシバシ物事を決める俺様を想像するとカッコイイからですね。男の子らしいというかなんというか。
あとは参考までに、各国の人権に関する規定ぶりを並べてみました。自民党改憲案ともっとも近いのが中国憲法っていう。
(自民党改憲案)
第12条
この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力により、保持されなければならない。国民は、これを濫用してはならず、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない。
(現行憲法)
第12条
この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
(中華人民共和国憲法)
第51条
中華人民共和国公民は、その自由及び権利を行使するに当たって、国家、社会及び集団の利益並びに他の公民の適法な自由及び権利を損なってはならない。
(ドイツ連邦共和国基本法)
第1条
(1) 人間の尊厳は不可侵である。これを尊重し、および保護することは、すべての国家権力の義務である。
(2) ドイツ国民は、それゆえに、侵すことのできない、かつ譲り渡すことのできない人権を、世界のあらゆる人間社会、平和および正義の基礎として認める。
(3) 以下の基本権は、直接に妥当する法として、立法、執行権および司法を拘束する。
(フランス人権宣言)
第4条
自由とは、他人を害しないすべてのことをなしうることにある。したがって、各人の自然的諸権利の行使は、社会の他の構成員にこれらと同一の権利の享受を確保すること以外の限界をもたない。これらの限界は、法律によってでなければ定められない。
(アメリカ合衆国憲法)
修正14条第1節
合衆国に生まれ、または帰化し、その管轄権に服しているすべての人は、合衆国及びそれぞれの居住する州の市民である。いかなる州も、合衆国の市民の特権または免除を縮減する法律を制定し執行してはならない。いかなる州も、人から法のデュー・プロセスによらずして生命、自由もしくは財産を剥奪してはならない。またいかなる州も、その管轄権の中で何人にも法の平等な保護を否定してはならない。
(朝鮮民主主義人民共和国憲法)
第63条
朝鮮民主主義人民共和国において公民の権利及び義務は、「1人はみんなのために、みんなは1人のために」という集団主義原則に基づく。
(大韓民国憲法)
第37条
①国民の自由及び権利は、憲法に列挙されていないという理由で軽視されない。
②国民のすべての自由及び権利は、国の安全保障、秩序維持又は公共福利のために必要な場合に限り、法律により制限することができ、制限する場合においても、自由及び権利の本質的内容を侵害することはできない。
(フィリピン共和国憲法)
第11項
国家は、あらゆる人に対しての人間の尊厳に価値をおくものであり、人権に対して完全な尊重をおくことを保証する。