



「パパとママがデートした水族館なんだぁ」
ルリちゃんは、昨日の夜に、ママから聞いたお話を
何度も思い出しました。
今日のお出かけは、海辺の水族館です。
ラッコ水槽の前でショーが始まりました。
たくさんの人です。
ママの選んでくれたルリちゃんの赤いキャップとリュックが
ひときわ目立っています。
「ねぇ、パパとママも、デートの時に、このショーを見たんでしょ」
「さあ、どうだったかな」
パパはわざと知らんぷりをしているようです。
なんだか、それがおかしくて、
ルリちゃんは何度も同じ質問をします。
ラッコがボールを持ちます。
シュートを決めました!
歓声があがります。
ルリちゃんは手をたたきました。


ショーが終わりました。
流れていく人波の中で、パパはルリちゃんの手をとって言いました。
「うん。このラッコを見たよ。パパとママと、いっしょにね。」
「わー」
ルリちゃんは、耳たぶがあつくなるのを感じました。
こうもはっきりとパパが答えてしまうと
今度はルリちゃんが恥ずかしくなってしまいます。
パパは続けていいました。
「パパは子供の時からずっと水族館が好きでね。
よくここに来ていたんだ。
今日のショーに出ていたラッコのサンサンは
その時からいたんだよ。」
ルリちゃんは思いました。
サンサンは子供の頃のパパを知っているんだ。
そして、パパとママのデートも知っている……
ちょっと、うらやましい気持ちです。
パパはルリちゃんのキャップをなでて言いました。
「サンサンは、今日は、ルリちゃんを見たんだね。」
あれっ、
ほっぺが熱くなってきました。
今日のパパはちょっと変です。
でも、このほっぺの熱さはいやじゃありません。
不思議な気持ちのまま外のゾーンに出ました。
海の近くの水族館。
青い空の下に広い海が広がります。
潮風が温かくなったほっぺにあたります。
アザラシとセイウチのショーを始めるアナウンスが流れました。
ルミちゃんはパパの手を引いて席を探すのでした。



前回はちょっとさびしい話でしたので、
今回は可愛らしいお話をつくりました。
このお話を亡くなったサンサンに捧げます。
3月3日、大分マリンパーレス水族館「うみたまご」のオスのラッコ。
長い間の人気者サンサン君が老衰で亡くなりました。
推定年齢18才。日本の水族館ではこの水族館のルンルンに続いての高齢です。
人に楽しみを与えるのをよろこんでいるようなラッコで、
当日の朝まで元気にショーをしていたそうです。
飼育係のIさん、多くスタッフの皆さんの悲しみは相当なようでした。
しばらくはラッコのパフォーマンスも中止……
多くの人々に微笑みを与えてくれたサンサン……
ご冥福をお祈りします。
関連サイト
うみたまご
Shiliconchip Aquariumの記事
サンサンの写真は次の記事にあります。
お誉めのお言葉ありがとうございます。
人に楽しみを与えてくれる動物…
ありがたい気持ちを、
人間も持ちたいものですね(^^)/
>あっきーさん
我々も生きていますが、
動物園や水族館でも多くの生命があります。
私たちは、全ての生命に対して
謙虚な気持ちを持ち続けるのが大切なのではないでしょうか。
いつもありがとうっ☆
リカちゃんにとっては自分の知らない昔のパパとママを知っているサンサンがうらやましかったでしょうね。
よく考えたら、そんな風に昔を知っている動物たちとも会っているのか~!?なんて思いました。
人に楽しみを与えてくれる動物とのお別れは
寂しいですね。
(^^)/
可愛いいお話といってもらえて良かったぁ(^_^)
正直なところ、
この話は反響が少なかったので、ちょっと不安が………。
サンサンのご冥福を一緒にお祈りしましょう……
でも、このほっぺの熱さはいやじゃありません。
超かわいい お話です。
o(^-^o)(o^-^)o ヤッター
>このお話を亡くなったサンサンに捧げます
りっぱな生き方をしたサンサンにふさわしいです
ご冥福をお祈りします。
バックヤードに慰霊碑があります……
rioさんが慰霊碑のことをコメントに書いたのも
生き物を思いやる優しい気持ちなんですね。
ありがと……
動物園の慰霊碑には手を合わせるようにしています。
楽しませてくれてありがとう!って・・・