気ままなZOO

行った場所、見たもの、感じた事、気ままにねぇ…… きままなZOOです。旅のお話、動物園、水族館のお話を…

緑の雛あられ

2016-03-03 | 創作…

  今日は雛祭りです。
可愛らしいお雛様の前で、雛あられを食べているのは萌恵ちゃんです。

おや、
食べるだけではなく、小さな粒を選んでいるみたいです。
「食べ物で何しているの」
ちょっと強い口調でママが聞きました。 

「違うの…見てて、雛あられって、4つの色があるでしょ」
小さな指が小粒を動かしいてます。
「白が多くて、きれいなピンクと、緑と黄色」

「これだけ残して食べるんだ」
というと、いきなり、ばくっ!

「どうして緑を残しているの」
「だって、かわいい色だし、緑が好きだから」
小さな瞳で萌恵ちゃんは続けました。
「それに、緑はパパの好きなネクタイの色だし、夏はパパの好きな季節でしょ」 

「隣のお姉さんから聞いたけど、あられの色は、
 白は雪で冬、ピンクは桃で春、緑は新芽で夏、黄色は紅葉で秋なんだって。
 だから緑はパパのためにとっておくんだ」

      

「パパを待っていたけど、いつのまにか眠っちゃったわ。」
ママはそう言って、夜遅く帰ってきたパパに雛あられの話をしました。

ポリッ!

ぐっすり眠っている萌恵ちゃんをみつめて、パパは緑のあられを食べました。

甘いだけではなく、どこか暖かな味のする雛あられでした。

 

             

今日はひな祭り。

ひな祭りに、短いお話を作るのが恒例になってしまいました…

最近はブログも更新しなくて、
二月は記事がひとつだけで、
さすがに今年はかけないかなと思ったけれど、
なんとかお話を作りました。。
ありがとうございます。

今年のお話は、どうだったでしょうか。
みなさまのコメントをいただければ幸いです。

  写真は、我が家のディズニー雛

  

昨年の創作→ひなまつりの思い出
2015年の創作→私と妹の雛人形
2014年の創作→とても叱られたひな祭り
2012年の創作→つるし雛のひいばあちゃん
2011年の創作→おひな様の歌
2010年の創作→首に傷のあるおひな様
2009年の創作→おひな様へのお願い…
2008年の創作→千代紙で折ったおひな様
2007年の記事→ちょっと悲しいひな祭り
2006年の創作→シチューとおひな様処女作でした  

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ひなまつりの思い出…

2015-03-03 | 創作…

あかりをつけましょ、ぼんぼりに

あっちゃんは大きな声で歌いました。
パパは目を細めてあっちゃんを見ています。
楽しいひな祭りです。
今夜はパパとママと一緒です。
ママの作ったちらしずしをみんなで食べました。
美味しい桜餅も食べました。

今日は楽しい雛祭り
あっちゃんは、もっともっと大きな声で歌いました。
本当に本当にステキな雛祭りです。

あっちゃんを見ていたパパは雛飾りに目を移しました。
「このお雛様はほんとに綾子にそっくりだなぁ」
パパの温かい手があっちゃんの頭をポンポンしました

あれ・・・
パパの手が小さな気がする・・・
あっちゃんはふと思いました。
でも、
パパの手は温かくて優しくて…
あっちゃんの微笑みは最高潮です。

パパは一時退院で、今夜はおうちにいてくれます。
本当に夢のように楽しい雛祭りの夜でした。

「私に似ているっていってくれた…」
あっちゃんも、もう高校三年生。
窓辺の雛人形を見てふともらしました。

今週の土曜日は卒業式です。
お雛様の優しい表情を見ていたあっちゃんは、
パパと過ごした最後の雛祭りを思い出していました。

パパのあの暖かな手のひら…
これからも、つらいことがあっても、
きっとがんばっていける。

パパの残した熱くて優しい思いを
綾子は心の奥に感じたような気がしました。

 

             

今日はひな祭り。

ひな祭りに、短いお話を作るのが恒例になってしまいました…

今年は無理かも…と思っていたのですが、
なんとかお話になりました。
ありがとうございます。

今年のお話は、どうだったでしょうか。
みなさまの感想をいただければ幸いです。

  写真は、おうちのちいさな雛人形

  

昨年の創作→私と妹の雛人形
2014年の創作→とても叱られたひな祭り
2012年の創作→つるし雛のひいばあちゃん
2011年の創作→おひな様の歌
2010年の創作→首に傷のあるおひな様
2009年の創作→おひな様へのお願い…
2008年の創作→千代紙で折ったおひな様
2007年の記事→ちょっと悲しいひな祭り
2006年の創作→シチューとおひな様処女作でした 

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私と妹の雛人形☆ 

2014-03-03 | 創作…

「いやだぁ~ 私だけのお雛さまがないといやだぁ」
アキちゃんは大きな瞳に涙をいっぱいためて泣き出しました。
「そんな、わがままなことを言わないの!」
ママがアキちゃんをきつく叱りました。

アキちゃんは知っています。
この雛人形は、もともとお姉ちゃんのものです。
一組の雛人形なのに、
お姉ちゃんとアキちゃんの二人のものだとママが言っているんです。

「二人のお雛様だから、我慢しようね」
お姉ちゃんのハルちゃんが優しく語りかけますが、
アキちゃんの涙はとまりません。
お姉ちゃんは知っています。
生活も苦しく狭いお家では、お雛様は二つも飾れません。

わかっているはずなのに、
あまりにも駄々をこねる妹を見てたら、
ハルちゃんの目にも少し涙がたまってきました・・・
妹が大きくなってから、毎年この騒動です。
「私だってアキと一緒のじゃ嫌だ。」
だってだって、このお雛様は私だけのお雛様だったんです・・・
いつもお姉さんらしくしなさいって叱られてばかりだけど、
もう本当にいやです。

ふと、ハルちゃんは、涙がこぼれそうな目でお雛様のお顔を見ました。
あれっ・・
お雛様の目がさびしそうです。
こんな姉妹の姿を見ているからでしょうか。

二人の大事なお雛さまだから、
私の大切なお雛様だから、
もっといい子になって、お姉さんらしくしないとダメなんだ。

「もう泣くのはやめようよ。一緒にママのお手伝いをしよっ」
ハルちゃんは、まだ泣いているアキちゃんの頭を撫でていいました。

今年は新年から雪の多い年です。また雪の夜になるかもしれません。
泣きつかれたアキちゃんは、お姉ちゃんの手をとりました。
お雛様もちょっと微笑んでいるようでした。

 

今日はひな祭り。

ひな祭りに、短いお話を作るのが恒例になってしまいました…

今年は無理かなと思っていたのですが、
何年か前の話のMさんのコメントをヒントに作らせていただきました。
ありがとうございます。

今年のお話は、どうだったでしょうか。
みなさまの感想をいただければ幸いです。

  写真は、今年伊豆で手に入れた「うさぎ雛」です

 

昨年の創作→とても叱られたひな祭り
2012年の創作→つるし雛のひいばあちゃん
2011年の創作→おひな様の歌
2010年の創作→首に傷のあるおひな様
2009年の創作→おひな様へのお願い…
2008年の創作→千代紙で折ったおひな様
2007年の記事→ちょっと悲しいひな祭り
2006年の創作→シチューとおひな様処女作でした

 

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とても叱られたひな祭り・・・

2013-03-04 | 創作…

  
「そんな我がままな子、もうしりません!」

リナちゃんは電話越しにママに大声で叱られました。

「いやだ~」
せっかくの雛祭がだいなしです。
リナちゃんは部屋の片隅にうずくまって大泣きです。

一人でいい子でお留守番していたのに
ママは早く帰るって約束してくれたのに・・・

今日は遅くなるから
リナの好きなものを外で食べに行きましょうってママに言われたのです。

ママの手作りのちらし寿司も、お吸い物も食べられません。
いつもならば、
外食は嬉しいけど、

今日は、絶対、ママのお寿司じゃなきゃ嫌です。

だから、
つい、

「ママのウソつき!」って言ってしまったのでした。

リナちゃんはずっと泣いていました。
そして・・・、
そのまま、いつのまにか眠ってしまいました。
 

「ごめんね」

声が聞こえました。
ママは帰っているようです。
電話では恐い声だったのに、
いまは暖かい声がします。
ママの優しい手が頬にあたりました。


ママは少し泣いているようです。

リナが眠っていると思って、話しかけています。
「ごめんね。大事な仕事でミスしてしまって、早く帰れなかったの・・・
リナの大切なひな祭りを台無しにしてしまったわね。
リナとふたりっきりなのに、
本当にごめんね」

リナちゃんはうっすらと眼をあけました。
ママの肩ごしに可愛らしい親王飾りが見えました。
優しいお雛様のお顔は、今のママとそっくりです。

「お腹すいたよ。私、ファミレスのハンバーグが食べたい」

眼をうっすらあけて、リナちゃんはつぶやきました。

窓辺にある小さなお内裏様とお雛様は微笑んでいます。


お人形を見て、リナちゃんは
とてもとても小さな声だったけれ

言うことができました。

 「ママ、ごめんね」

      
  

昨日はひな祭りでした。
みなさま、よい雛祭りを過ごしたでしょうか(^^)/


ひな祭りに、短いお話を作るのが恒例になってしまいました…
今年のお話は、どうだったでしょうか…

  写真は、我が家の「ねこ雛」です


よろしければ、過去のお話も読んでね

昨年の創作→つるし雛のひいばあちゃん
2011年の創作→おひな様の歌
2010年の創作→首に傷のあるおひな様
2009年の創作→おひな様へのお願い…
2008年の創作→千代紙で折ったおひな様
2007年の記事→ちょっと悲しいひな祭り
2006年の創作→シチューとおひな様処女作でした

 

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つるし雛のひいばあちゃん

2012-03-03 | 創作…

 

「もうすぐだね」

稲取駅から歩き始めたハルコちゃん。
急な坂道にさしかかりました。

まもなくお父さんの田舎の家に着きます。

古い民家の軒先が見えてきました。

 

縁側からでも鮮やかなつるし雛が飾られているのがわかります。

いつの頃からか、雛祭りが近づくと
お父さんの田舎を訪ねるようになったのです。


 

「おひな様が今年もハルちゃんを待っていたよ。」

おばさんが出迎えてくれました。

 

縁側のある居間にはつるし雛がたくさん飾られています。

赤いや黄色の鞠や雛などの
かわいらしいお人形がひもで繋がれているのです。

 

でも…

 

何かが違います…

 

「そうだ…今年は、ひいばあちゃんはいないんだ…」

 

去年までは、ひな人形が飾られた縁側に、

暖かそうな赤い膝掛けをのせたひいばあちゃんが座っていたのです。

 

いつもにこにこしてハルコちゃんの話を聞いてくれたひいばあちゃん。

ふうふうして熱い甘酒を一緒に飲んだっけ…

しわしわの温かい手で頭をなでてくれたことも…

 

つるし雛の下でひなたぼっこをしていたひいばあちゃん…

いなくなってしまうと、
そこだけポツンと暗く見えます。

 

「そうかぁ… 
ひいばあちゃんも、おひな様だったんだぁ…」

 

暖かな三月の風がハルコちゃんのほほにあたりました。

春風にあたったつるし雛も、ふわっと揺れているようでした。

 

 

 

 写真は伊豆稲取の雛のつるし飾りです。 

ひな祭りに、短いお話を作るのが恒例になってしまいました…

今年のお話は、どうだったでしょうか…

 

みなさま、よい雛祭りをお過ごしください(^^)/ 

 

 


よろしければ、過去のお話も読んでね 

昨年の創作→おひな様の歌
2010の創作→首に傷のあるおひな様
2009年の創作おひな様へのお願い…
2008
年の創作千代紙で折ったおひな様
2007年の記事ちょっと悲しいひな祭り
2006年の創作→シチューとおひな様処女作でした

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おひな様の歌

2011-03-03 | 創作…

 

灯りをつけましょ ぼんぼりに」 

ママのお膝の上で、舞ちゃんは、大きな声で歌っています。

目の前のかわいらしい雛人形が、
ふたりを見守っています。
 

「マイちゃんが、元気に歌っているから、
お雛様もよろこんでいるわね」 

声がますます大きくなります。
顔を真っ赤にして歌う舞ちゃん…

ふとママは思い出しました。

 

 

ずっと昔…
自分が小さかったとき、
母のお膝に乗っている私に
ひな祭りの歌を歌いましょうと
母が言った時のことを。
 

大好きな母と一緒のひな祭りなのに、
どうしても声が出なくて、歌えなかったのです… 

目の前にあるのは、千代紙のお雛様でした。

生活の苦しかった母が、
我が子のために用意してくれたお雛様。

まだ子どもだった私は、
このお雛様が恥ずかしくて恥ずかしくて…
小さな声で歌詞をつぶやくので精一杯でした…

あの時の
母の寂しげな眼を思い出したのです。

  

 

「ママ、どうしたの…」

歌い終わった舞ちゃんは、ママの顔を見上げました。

「ううん…なんでもないの…
マイちゃんの元気な歌をおばあちゃんにも聞かせたかったなぁと思って…」
 

「だいじょうぶだよ。
大きな声で歌ったから、
天国のおばあちゃんにも聞こえているよ」

 「そうね…」

 ママは、心の中に熱くなるものを感じました。

舞ちゃんは、赤いほっぺをふくらませて、
もっと大きな声で、もう一度歌い始めました。

 「灯りをつけましょ ぼんぼりに…」

 

ひな祭りに、短いお話を作るのが恒例になってしまいました…

今年のお話は、どうだったでしょうか…

みなさま、よい雛祭りをお過ごしください(^^)/

 

 画像は、うちの「うさぎうさぎ雛」(*^_^*)

 

 
よろしければ、過去のお話も読んでね

昨年の創作→首に傷のあるおひな様
2009年の創作おひな様へのお願い… 
2008
年の創作千代紙で折ったおひな様
2007年の記事ちょっと悲しいひな祭り
2006年の創作→シチューとおひな様処女作でした

  

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首に傷のあるおひな様…

2010-03-02 | 創作…

「ケンジが、お雛様、こわしたぁー!」

大声で泣きながら、トモちゃんは、お母さんに訴えました。

首のとれた陶製の男雛が床に転がっています。
お雛様の前でふざけないでって、あれほど言ったのに
走ってきた弟のケンジは、壇にあたりました。
ひな人形が落ちてしまったのです。

 「ケンジ!」

お母さんはケンジをつかまえて、きつく叱りました。

でも、トモちゃんの涙は止まりません。
大切なお雛様だったのですから…

    

「トモちゃんご飯ですよ」
ママの作った美味しいお料理を前にしても、
トモちゃんの心は晴れません…

「ごらんなさい。」
そんなトモちゃんをみて
お母さんはあの男雛をトモちゃんに手渡しました。

きれいに首が元のようにつながっています。

でも、
首には継ぎ目があるのが、分かります…。

 夕方、会社から帰ったお父さんは、
部屋へこもって、丁寧にお雛様をなおしてくれたのです。
そのことを知っていたトモちゃんでしたが、
首の継ぎ目を見て、つい言ってしまいました。

「傷のあるお雛さまなんて、いやだぁー」

 いつも優しいお父さんの眼は少し寂しそうでした…

 

          

高校生になったトモちゃんは
お雛様の首の継ぎ目をなでながら、
お父さんのことを思い出していました。

あのひな祭りの後、しばらくして、
優しかったお父さんは病気で亡くなりました。

首に傷のあるお雛様だけど、
大切な大切なお雛様です…

お父さんの思いのこもったお雛様になったのです。

 

 

ひな祭りに、短い話を作って数年になります。
今年のお話は、どうだったでしょうか…

みなさま、よいひな祭りをお過ごしください(^^)/

 

 画像はうちに飾られてあるタペストリー(^^)/

 


もし、よろしければ、過去のお話も読んでね

昨年の創作→おひな様へのお願い… 
2008年の創作→千代紙で折ったおひな様
2007年の記事→ちょっと悲しいひな祭り
2006年の創作→シチューとおひな様処女作でした

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おひな様へのお願い…

2009-03-03 | 創作…

「ひな祭りの今日だけは…
パパとママがケンカしませんように。
仲良くしてくれますように…」

チィちゃんは、小さなおひな様を見つめて、お願いしました。

近頃ずっとパパとママはケンカばかりしています。
昨日だって、二人はケンカをしたまま外へ出ていって、
夜までチィちゃんは、ひとりぼっちだったのです。

黙ったままのおひな様ですが、
細長の小さな瞳は、
チィちゃんの願いをかなえてくれるような気がしました。

   

 「チィちゃん、ごはんですよ」
ママの声が聞こえました。

あれ、
いつのまにか、眠ってしまったようです。

テーブルの上には美味しそうな料理ができあがっていました。
パパとママも並んで座っています。

今日のママは、明るい笑顔で、とてもきれいです。
パパも、にこにこ笑って、ステキです。

「はーい」
いつもよりも大きなお返事をして、チイちゃんは走っていきました。

 おいしい五目寿司を口いっぱいにほおばりました。

今晩のパパとママはとても仲良しで、チィちゃんに優しくしてくれます。
3人で「うれしいひな祭り」を歌いました。
お家で歌を歌ったのも久しぶりです。
本当に楽しいひな祭りです。

「おひな様が願いをきいてくれたんだ。
このままずっとひな祭りが続くといいな」
チィちゃんは心から願いました。

 

小さな雛人形の下に、パパの鞄があります。

その鞄には、離婚届が入っているのです。
二人は話し合って、印を押しました。
後は、役所に持っていくだけ…。
でも、今日はひな祭りです。
可愛いひとり娘に、
今日だけは、精いっぱい優しくしようと話し合ったのでした。


食事がすんだチィちゃんは、お人形を見ながら、
大好きなイチゴのケーキを食べています。

 「今日の、パパとママは、お雛さまみたいだね」
桃色のほっぺのチィちゃんは、笑って二人に言いました。

 

春も近いというのに、この日の東京は、雪の予報が出ています。
パパとママは、心の中に積もっていた冷たく白い雪を、
溶かしていくようなあたたかさを、心の隅に感じていました…。

 

       

 

 

 と、久しぶりにこんな作品を書いてしまいました…

どうでしょうか…
感想をいただければ嬉しいです。

そう言えば、毎年、ひな祭りは何かを書いていますね。
春はもうそこまで。皆様、よい雛祭りをすごして下さい。

 画像は、うちの奥様の実家の雛人形…

 昨年の創作→千代紙で折ったおひな様
昨年の記事→ちょっと悲しいひな祭り
その前の年の創作→シチューとおひな様処女作でした

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千代紙で折ったおひな様…

2008-03-02 | 創作…

「甘酒だー」
アイコちゃんは、赤いランドセルを玄関に放り出して、
キッチンに向かいました。
お家に入ったとたんに、甘い香りがしていたのです。

「ちゃんと手を洗ってきなさい」
やはりママに叱られちゃいました。
アイコちゃんは、しふしぶと洗面所に向かおうとしました。

「あっ!」
テーブルの上に千代紙で作られた可愛いお雛様が飾られています。
「おばあちゃんが来たんだ」
大好きなおばあちゃんは、折り紙の達人です。
去年のお節句は、アイコのために、
千代紙のお雛さまをたくさん作ってくれました。

でも、変です。
おばあちゃんは、今、入院しているはずです。

「さっきお見舞いに行ったらね、
おばあちゃんがアイコにって、作ってくれたのよ」
「そうかぁー、可愛いね。」
「ねっ、可愛いでしょ」
「でも、今年はこれだけなの」
「そうよ。ステキでしょう。ママは、とても気に入ってるわ」
「うん」
赤いほっぺでアイコちゃんは明るく笑いました。

いつも魔法のようにぱっと作ってくれるお雛様。
でも…、今年は一対を作るのに30分もかかったのです。
病床でアイコのためにと、懸命に千代紙を折るおばあちゃんの
痩せた手を、ママは思い出しました。
私が幼いときも、作ってくれたっけ…

アイコの笑顔を見たママでしたが、
少しだけ悲しい気持ちの残ったまま、甘酒を温めなおしました…。





久しぶりに、創作しました。
どうだったでしょうか。

春はもうそこまでですね(^^)
皆様、よいひな祭りをすごして下さい。

画像はずぅ宅のネコ雛です


昨年の記事→ちょっと悲しいひな祭り
一昨年の創作→シチューとおひな様処女作でした…
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虎の強さ

2007-06-11 | 創作…


「ねぇ、トラとライオンは、どっちが強いの?」
イサムの瞳は、落ち着きなく動き回る虎をおっています。

平日の午後の動物園。
紺の野球帽をかぶったイサムは、お父さんと動物園にいます。

「虎とライオンは棲む場所が違うし、習性も違うからなぁ。」
「でも、戦ったらどうなるの?」
「不必要な争いはしないんじゃないかな。」
「じゃあ、動物園の檻の中に2頭入れたらどうなるの?戦うでしょ。」
「そんなことまで、わからないさ!」
しつこいイサムの質問に
お父さんはちょっと声を荒げました。

よくある子供の質問なのに、お父さんは、
少し苛立っているようです。


動物園の北門の外で、お母さんが待っているはずです。
でも、
家族3人は、もう一緒に帰りません。
イサムは知っているのです。
お父さんとお母さんは「リコン」することを…。


ライオン舎では、
りっぱなタテガミの雄ライオンの隣で
眼を細めて寝ている雌ライオンがいました。


そんなライオンよりも
一頭でも、しっかりしている虎の方が強いに決まっている。
イサムはそう思いたかったのかもしれません。

虎の檻の前で手をつないでいる父と息子…。

イサムは、お父さんのたくましい左手の
忘れないようにと、握りかえしたのです。



         


久しぶりの創作です。。。
夏が近づいていますが、天候が不順です。
みなさん、体調を崩されないように、気をつけて下さい。


画像は多摩動物公園のアムールトラ。
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創作 不思議な眼・・・  リクに捧ぐ

2006-10-12 | 創作…
夏も終わった頃。
ある日の昼過ぎのことです。

「こらー! おしっこしたのか!!」

玄関からお父さんの怒鳴り声が聞こえました。
すぐにタカシは玄関にむかいました。

なんと、リイがお客さんの靴に
おしっこをしてしまったのです。
リイは顔を伏せて尻尾を丸めています。

タカシ君の家で飼われているリイはほんとにいたずら好きです。 
それなのに、リイは、怒られている時も
「なぜ僕がわるいの?」という眼で見つめるんです。
怒る人は本当に困ってしまいます。

でも、今のお父さんの怒り方は普通ではありません。
真っ赤になって怒鳴るお父さんが恐くて、タカシは自分の部屋に戻りました。
「あんなに怒ったお父さんは久しぶりだ。内緒で僕がトラックの荷台に乗ったときみたいだ…」

夕食の時間になりました。
「恐いお父さんのままかなぁ」
タカシはおそるおそる居間へ向かいました。
「よかったぁ」
お父さんの目はいつもの穏やかな光に戻っています。
庭に向けたお父さんの眼差しの先には
お気に入りの黄色いボックスにちょこんと座っているリイがいました。

リイはあのキョトンとした眼でこちらを見ているのでした。
「リイの眼には不思議な力があるのかもしれない」
タカシはぼんやりと思っていました。


      


秋も深まり、陽も和らいだ日曜日。

タカシは部屋で泣いていました。
昼間、タカシはお父さんに強く叱られました。
お父さんの目は真っ赤で、いつもの優しい眼ではありません。
隣の庭に石を投げ入れて遊んでいたのを叱られたのです。
「ちょっとだけなのに。誰もいなかったのに…」

しばらくして、
タカシを呼ぶお母さんの声が聞こえてきました。
もう夕食時です。でも、居間に行きたくありません。
「まだお父さんは怒っているんだろうなぁ…」

時間がたちました。お腹もすいてきます。

おそるおそる居間へ、むかいました。

座っているお父さんをゆっくりと見ると…
いつもの穏やかな目のお父さんでした。

「よかった」

あの時と同じだ。リイがイタズラをした日を思い出しました。

タカシは庭に眼をやりました。
黄色いボックスが見えます。

でも、
もうリイはいません。
先月、家の前でトラックにはねられて
天国へ旅立ったのです。

自分の席に座って、お父さんの穏やかな眼を見ると
リイのキョトンとした目を思い出しました。

タカシは
眼の中が熱くなったように感じるのでした。





ちょうど一ヶ月前、ブログ仲間の六花窯の飼い犬のリク君が
交通事故で亡くなりました。
リク君の事を考えていると、このお話が思い浮かびました。

リク君のご冥福を心よりお祈りします。

http://blog.goo.ne.jp/rikkagama/e/63e7b75ff7f708e15278d28ad67d374b

http://blog.goo.ne.jp/rikkagama/e/861e813733b7fc10142b79128ad71d5e
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象さんの眼… とべ動物園ハナ子に捧ぐ。。。

2006-07-12 | 創作…

久しぶりに、創作をしました。愚作ですが、お読み頂ければ幸いです。。。

        

初夏の日差しの中、
さっきから、白い野球帽の少年が、
象舎の手すりにしがみついています。


「踏みつぶしてよ!やつらを踏みつぶしてよ…」

ヨシオはつぶやきました。
眼は真っ赤に潤んでいます。

ヨシオの服は泥まみれです。
背中が痛みます。お腹も蹴られました。
四つんばいにさせられ、這いつくばいにさせられ、
おもしろがる子供達に踏みつけられました。


気がつくと
ヨシオは、人気のない動物園に来ていたのです。

おうちに帰れば、お母さんに汚した服の事を聞かれるでしょう。。。
でも、本当の事は言えない……
もっとひどいことをされるから。

大きな象の姿がかすんでいます。


白い雲が流れています。風が止みました…

ふと、ヨシオは気がつきました。
「象がボクを見ている…」

確かに、象の眼はヨシオをとらえているようです。

象の力強い、足、胴、鼻を、見ていたヨシオですが、
少しだけほっとした声を漏らしました。
「ほんとにちっちゃな眼だ…」


象の眼は、小さくて頼りのない眼だと思っていました。
でも、よく見ると、
身体以上に力のこもった優しい眼です。

ヨシオは深呼吸をしました。
「ごほっ…」
ぞうさんの臭いを感じて、ちょっとむせてしまいました。
頬がゆるんでいるのを感じます。


「分かってくれないかもしれない、
もっといじめられるかもしれない。
でも…、
帰ったら…お母さんに話そう。」

ヨシオの口から、こんな言葉が自然に出てきました。


空の白い雲が赤みがかっています。
夕焼けになりかけの空…。



    

先日、砥部動物園の象の花子が亡くなりました。
享年33才、多くの子供達を見つめていたのでしょうね。
ささやかですが、こんなお話を思い浮かびました。
花子にこの話を捧げます。
安らかに。。。

教えて下さった、のら子さん、ありがとうございます。

とべ動物園
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はいく?!

2006-03-19 | 創作…


えっ!
なんで!!??
 ?ヽ( ^ 。^ )ノ?



先日、伊豆バイオパークから郵便が届きました。


なんだろう?
覚えていないなぁ… 
 


開封します……



バイオパーク園長の名があります。

前略、春寒の候、時下ますます………… 
さて、このたびは「雛と観梅の宴」俳句募集にご応募いただきまして、誠にありがとうございました。




????????   



今回、厳正なる審査の結果、貴様の作品が入選となり………




あっ!!

思い出しました!
  


2月に
伊豆バイオパークに行ったときに


備え付けの俳句ポストに、句を詠んで投函していました

どんな句かも忘れていましたが……(^^;)



んっ……?!

入選した8作品は
伊豆熱川駅と稲取駅構内に、1年間掲示されるとな!!

まいったなぁ……(*_*)ゝ


だって…

ふだん俳句なんて作りませんし……
しかも、これは、
時間なかったから、慌てて作った作品だったんです………

Zooの奥様が御手洗いに行っている間の時間つぶしに詠んだんです(;-_-)
(なにか貰えるかなと思ってね。(^_-))


こんなことならば、もっとちゃんと、作っておけばよかった(>_<)



一応、それらしい名詞をならべて、音を考え、視覚と嗅覚に訴えるように工夫をしたつもりですが……

下の句が、安易でした(^^;)




でも…まぁ、いいか(^^)/←単純!


小学校の児童がお絵かきのコンクールで入選して掲示された気分です(^^;)



あっ、景品ですか…… 


はい、
伊豆バイオパーク無料招待券2枚(^^)/
  



もし来年の2月までに
伊豆の稲取か熱川に旅行する機会がありましたら、
駅の構内を見て下さい。

額縁に入っている八句の中のひとつは私の作品です。

ゆるしてくだせい…




寒き枝に 梅の香の海 春の風



やはりもっと工夫すればよかった………


コメント (19)
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パパのラッコ ~サンサンに捧ぐ~

2006-03-09 | 創作…
         


「パパとママがデートした水族館なんだぁ」 

ルリちゃんは、昨日の夜に、ママから聞いたお話を
何度も思い出しました。

今日のお出かけは、海辺の水族館です。


ラッコ水槽の前でショーが始まりました。
たくさんの人です。
ママの選んでくれたルリちゃんの赤いキャップとリュックが
ひときわ目立っています。

「ねぇ、パパとママも、デートの時に、このショーを見たんでしょ」

「さあ、どうだったかな」
パパはわざと知らんぷりをしているようです。

なんだか、それがおかしくて、
ルリちゃんは何度も同じ質問をします。


ラッコがボールを持ちます。
シュートを決めました!
歓声があがります。
ルリちゃんは手をたたきました。

    

ショーが終わりました。
流れていく人波の中で、パパはルリちゃんの手をとって言いました。

「うん。このラッコを見たよ。パパとママと、いっしょにね。」
「わー」
ルリちゃんは、耳たぶがあつくなるのを感じました。

こうもはっきりとパパが答えてしまうと
今度はルリちゃんが恥ずかしくなってしまいます。
パパは続けていいました。

「パパは子供の時からずっと水族館が好きでね。
よくここに来ていたんだ。
今日のショーに出ていたラッコのサンサンは
その時からいたんだよ。」

ルリちゃんは思いました。
サンサンは子供の頃のパパを知っているんだ。
そして、パパとママのデートも知っている……

ちょっと、うらやましい気持ちです。


パパはルリちゃんのキャップをなでて言いました。
「サンサンは、今日は、ルリちゃんを見たんだね。」


あれっ、
ほっぺが熱くなってきました。

今日のパパはちょっと変です。
でも、このほっぺの熱さはいやじゃありません。


不思議な気持ちのまま外のゾーンに出ました。


海の近くの水族館。
青い空の下に広い海が広がります。
潮風が温かくなったほっぺにあたります。


アザラシとセイウチのショーを始めるアナウンスが流れました。
ルミちゃんはパパの手を引いて席を探すのでした。


           




前回はちょっとさびしい話でしたので、
今回は可愛らしいお話をつくりました。


このお話を亡くなったサンサンに捧げます。

3月3日、大分マリンパーレス水族館「うみたまご」のオスのラッコ。 
長い間の人気者サンサン君が老衰で亡くなりました。
推定年齢18才。日本の水族館ではこの水族館のルンルンに続いての高齢です。

人に楽しみを与えるのをよろこんでいるようなラッコで、
当日の朝まで元気にショーをしていたそうです。
飼育係のIさん、多くスタッフの皆さんの悲しみは相当なようでした。

しばらくはラッコのパフォーマンスも中止……




多くの人々に微笑みを与えてくれたサンサン……
ご冥福をお祈りします。


関連サイト

うみたまご

Shiliconchip Aquariumの記事

サンサンの写真次の記事にあります。
コメント (7)
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シチューとおひな様

2006-03-03 | 創作…

             

「おはよー さとちゃん」 
「パパ、どうしたの。会社?」

いつもネクタイのパパが白いセーターでキッチンに立っています。

今日は、3月3日。日曜日では、ないはずです。

「うん、パパ、会社をお休みしたから、
料理が終わったら、さとちゃんの好きなキリンさんを見に行こう。」

 

動物園から帰ったサトコちゃんは、
パパの手作りの、真っ白なシチューを食べました。

大きくホクホクしたジャガイモさんをスプーンですくいます。
温かな味がお口いっぱいに広がりました。


サトコちゃんは、窓際の小さなひな人形を見つめました。
忙しいパパが、きのうの夜遅くに飾ってくれた可愛らしいお雛様…。

パパの大きな手がサトコちゃんの赤いほっぺに触れました。

「ママのいない、ひな祭りでごめんな…」

昨日、港町のおばあちゃんから真っ赤なランドセルが届きました。
サトコちゃんは4月から小学校1年生です。

サトコちゃんの背負うランドセルの重み…

パパは静かに感じていました。




          

柄にもなく、
こんな小品を書いてしまいました…
(全くの創作です)
ちょっと恥ずかしいZOOです(^^;)

今日の写真は我が家のおひな様です……
文章とは関係ありません。

みなさまに、素敵なひな祭りを!!(^_-)

                  

コメント (16)
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