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薫 風 ~KUNPOO~

初夏に薫る爽やかな風に思いをよせ、YukirinとKaorinが日々の出来事などを綴るページです。

「グレイブディッガー」 高野和明 

2008-03-25 | 本  棚
■ 高野和明3作品目。改心した悪党八神は、骨髄ドナーとなり他人の命を救おうとしていた。ところがその日、都内で未曽有の連続猟奇殺人が発生。そして友人の死体を発見した瞬間から、八神の必死の逃走劇が始まった。

■ 警察、謎の集団、正体不明の殺戮者から追われる八神。逃げ切らなければ、八神の骨髄を待つ白血病患者は死んでしまう。八神は生き残れるのか?謎の殺戮者、グレイヴディッガー(墓堀人)の正体と?圧倒的なスピードで展開される傑作渾身のスリラー巨編!!!八神の逃避行と警察の捜査が交互に描かれ、そこに謎解きが溶け合い、公安部と刑事部という警察内部の対立の構図も入ってきたりと面白いこと間違いなしです。

■ 予想通り夜中読み切り、寝たのは午前3時。睡眠時間3時間はやはり眠く、娘と一緒に昼寝しちゃいました(今しか出来ないな~と思い)。


<写真:ジャンプの瞬間>


となりのクレーマー

2008-03-22 | 本  棚
■ 関根眞一『となりのクレーマー』中公新書ラクレ。新聞の書籍欄でよく見かけるタイトルなので、読んでみました。西部百貨店お客様相談室での体験をもとに書かれた本。

■ “まさに快楽として「困らせよう」としている人、大きく常識を逸脱し、度を超えて意見する人、詐欺行為に近い行動で金品を求める人”...まぁ、世の中いろんな人がいるもんだ。

■ 基本的対応としては、①非があれば真摯な態度で謝罪する、②申し出は感情を抑え素直に聞く、③正確にメモを取る、④説明は慌てず冷静に考えてする、⑤現場を確認する、⑥対応は迅速に、⑦苦情客をクレーマーにしたてない、⑧苦情対応は平等に。こうやって、書き並べてみるといたって当たり前のことだけれど、いざその場に居合わせたらなかなか冷静に対応できるものではない。見かけがいかにも厳つかったり、大声で恫喝されたりしたなら、なおさら。

■ 幸いわが社は、金品をせびられるようなことはないけれど、無理難題を押しつけてくる人はけっこう多いから弱ってしまう。よくあるのは「私は○○(エライ人)をよく知っている」というヤツ。顔ではニコニコ応対しながら、「あー、そーですか。だから何じゃい」と、心の中ではつぶやいている。

■ もうひとつ、よくあるのは「社長をだせ!」と意気込むパターン。社長は無理でも、それなりの上司が対応した方が早く解決するのでは、と思うこともしばしばあるのだが、(苦情対応)研修などによると、かえって決定権のある者に対応を替わるのは良くないらしい。もっとも、替わりたくとも、いつの間にか席からスッといなくなってしまう上司も多いのだが...。

■ いずれにしても、消費者が強くなったということなのか、はたまた世知辛い世の中になってしまったということか。これから娘が保育園~学校と進むにつれ、なんか憂鬱に感じてしまうのは、たんなる思い過ごしか。

高野和明「13階段」「K・Nの悲劇」

2008-03-11 | 本  棚
■ 食べる記事が続いていたので、たまには本棚でもと思い♪。これも弟に借りた本で、非常に面白かったです。「13階段」は第47回江戸川乱歩賞受賞作品、宮部みゆきが絶賛した作品で、読めば何故かもわかります(^o^) ちなみにこの作品は40万部を売り上げ、乱歩賞受賞作品の中でもっとも速く高い売れ記録を出したということ。映画化もされています。

■ 犯行時刻の記憶を失った死刑囚。その冤罪を晴らすために、刑務官と前科ある青年は調査を始める。手がかりは死刑囚の脳裏に蘇った「階段」のみ。どこの階段を指すのか。処刑までに残された時間はあとわずか。読み始めたら止められず、夜中376頁一気に読んでしまいました。

■ もう一つは「K・Nの悲劇」。若くして成功した夫と新しい生活が始まるが、予期せぬ妊娠に中絶を選んだ事から妻果波の心に異変が起こり始める。果波の心に棲みついたのは別の女性。これは精神の病か死霊の憑依か。治療を開始した夫と精神科医に起こる想像を絶する事態。前作とは違う恐怖小説。両作品とも作品の根底に人間の罪とその冤罪というテーマが織り込まれています。

■ 次なる作品は「グレイブディッガー」。きっと読み始めると寝不足になりそうだわ。





面白いっ!!

2007-12-14 | 本  棚
■ 伊坂幸太郎の2年ぶりの最新刊(弟から借りました)、「ゴールデンスランバー」。期待以上に面白いです(^_^)v。帯表紙「首相暗殺の濡れ衣を着せられた男は、巨大な陰謀から逃げ切ることができるのか?」、精巧に練られた伏線、ラストまで失わない面白さ。500頁も短く感じました。

■ 「事件のはじまり」、「事件の視聴者」、「事件から二十年後」、「事件」、「事件から三ヶ月後」という展開は、意図的に時間的を前後させ読者を引き込みます。この完璧に仕上がった小説は本当に素晴らしい。

■ ちなみにタイトルはビートルズのアビィロードに収録された同曲から来ています。夢中でこの曲を聴く間もなく読んでましたが、もう一度ビートルズを聴きながら読み直したいです。

■ これまで「チルドレン」、「魔王」、「砂漠」、「フィッシュストーリー」、「グラスホッパー」を読み、残る伊坂作品は「週末のフール」だけになっちゃいました。何だか寂しいけど、まだまだ読む本が沢山あって、時間が足りないわ。


<写真:おもちゃのワンワン抱っこしてるの>

こころ(再読)

2007-11-25 | 本  棚
■ 夏目漱石『こころ』集英社文庫。305円という安さと“ナツイチ2007限定カバー”に惹かれて再読。読み始めたのは確か9月のはじめだったから…かなりのスローリーディングになってしまった。最初はけっこう快調にとばしていたのに、次第にペースダウン。意外と長かった~

■ この前読んだのは高校生の頃だったか…。何気に従姉妹が読んでいたのに刺激されて(?)読んでみたという記憶がある。この小説は「私はその人を常に先生と呼んでいた」で始まり、作品中に固有名詞は一切登場しない。「先生と私」「両親と私」そして「先生と遺書」の3部で構成されており、漱石作品の中でも、比較的文学的に取り上げられることが多い作品だ(と、知ったかぶりをしたりして)。

■ でも、文字や語句の使い方をひとまず置けば、「平成」という元号となって読み直してみても、ちっとも古めかしさを感じさせないから不思議だ。間違いなく死の影に近づいてゆく父の様子や自殺したKの描写などは、ほんとうに息が詰まる思いだった。海外では“同性愛”の小説として受け入れられている(という説もある)ようだが、それはいかがなものか。いくら、臨終の床にある実父を差し置いて、先生の元へ駆けつけるにしても…。また先生が、「大正」の時代を「現代」と表現しているところもたいへん興味深い。

■ それにしても、なぜ、『こころ』なのだろう?友人を裏切って死に追いやったという先生の罪悪感、倫理観が主題だからだろうか。正直、明治の精神と言われても私にはよくわからない。そして、どうでもいいことだが、えてして漱石作品の登場人物はさしたる労働もせずにブラブラ生きている。…まったく、羨ましい限りだ(とりとめのない感想文)。

スナップ写真のルールとマナー

2007-10-28 | 本  棚
■ 日本写真家協会編『スナップ写真のルールとマナー』朝日新書。少し前までは気軽にとっていたスナップも、最近では“肖像権”というやっかいな問題がついてまわる。趣味では身内のスナップしか撮らないけれど、(どちらかというと)必要に迫られて読んでみた一冊。

■ まず、歩行者天国や公の道路・公園などといった、誰もが自由に出入りできる場所で、しかも多くの人を対象に無料で見せているような大道芸人やパレード、イベントなどに参加している人、出演者などの撮影は自由。その際、大道芸やパレードを見ている人も写り込んでしまうが、こうした状況では写されている人も、一般的には肖像権を主張することは出来ない。ただし、商業的な目的に使用する場合にはパブリシティー権が発生するので、許諾が必要となる。

■ これに対して、劇場や美術館、教室、百貨店などの「閉ざされた空間」では、限定した人を対象にしている場所と考え、その場所の管理者や当事者あるいは関係者の許諾をもらって撮影するのがルール。なお、肖像権の対象はあくまで「人」であり、某地方の有名な枝垂れ桜といった「物」には及ばない。

■ そして、公務中の人に肖像権はない。天皇や皇族が公式な式典に参加している場合、政治家が災害現場や病院・学校などを視察しているところ、芸能人がモーターショーやイベントで働いているようなときは自由に撮影してかまわない。

■ 最近は、カメラ持ってブラブラしていると、それだけで怪しい目で見られてしまいますからな。先週も年配の人の画が欲しかったので、アルプス公園で3人くらいの人(家族)に「写真を撮らせてください」と声をかけてみたが、ことごとく断られてしまった。なかなか、難しいですな。

発進力 頭のいい人のサバイバル術

2007-09-11 | 本  棚
■ 樋口裕一『発進力 頭のいい人のサバイバル術』文春新書。表題に惹かれてなんとなく手に取ってしまったが・・・よくある「ハウ・ツー」本のひとつか。“長年にわたり文章指導を行ってきた「小論文の神様」が、日本人の文章力不足、発進力不足を訴える”というわりには中身がない。

■ 第3章の「発信社会を生き抜くための25の心構えとテクニック」など、ところどころポイントがゴチックで強調されているが、論拠が曖昧・表層的で説得力がない。発進力も、とどのつまりナゼ小論文に行き着くのか?全然意味がわからない。しょぜん、自己の得意分野に結論を落ち着けただけなのか。

■ とはいえ、そんな(見やすい)装丁と体裁に、つい買ってしまったのだが・・・私としたことが、まんまと策略にはまってしまった。雑誌類でもそうだけど、仕事柄(?)どうも最近、中身よりもレイアウト重視で購入してしまっていけない。反省。

本の読み方

2007-08-23 | 本  棚
■ 平野啓一郎『本の読み方』PHP新書。98年芥川賞作家による、読書論。速読を排し、「読書量は、自分に無理なく読める範囲、つまり、スロー・リーディング出来る範囲で十分であり、それ以上は無意味である」と言い切る。久々に“当たり!!”の新書だ。

■ 「こう読んでもらいたい」という作者の意図は必ずある。その一方で、作者が読者の読みの自由をあらかじめ想定していることも確かである。自由な誤読を楽しみつつ、作者の意図を考えることが、スロー・リーディングの極意である。

■ 実践編としては、①会話の中の「疑問文」に注目する(→作者が自作に対する読者の疑問や反論に答える場である)、②「不自然さ」「違和感」に注意する(→作者が多少無理をしてでも、大切なことを言っておきたいと考えている場面である)、③「形容詞・形容動詞・副詞」に着目する(→なぜ他の修飾語ではダメだったのかを考える)…などなど。

■ 「感想は何度も更新されるもの」である。人間は生まれてから死ぬまで、ずっと変わり続ける。ものの見方も変われば、考え方も変わる。それは、悪いことではない。同じ本を数年後に読み、そこで自分の感想が変わっていたならば、それだけ自分が変わったということであり、その数年間に意味があったということだ。ふむふむ

■ 全体的に説得力があり、“物語”としても読ませる。ずぅーっと前に読んだままの、夏目漱石『こころ』や川端康成『伊豆の踊子』、そして三島由紀夫『金閣寺』をまた読み直してみたくなりました。でも、カフカはパスだな。

政党が操る選挙報道

2007-08-12 | 本  棚
■ 鈴木哲夫『政党が操る選挙報道』集英社新書。著者はジャーナリスト。娘と遊びながらのパラパラ読書。う~、猛暑が続く。

■ 一昨年の衆院選は、「コミュニケーション戦略」が試みられた、史上初の選挙となった。キーパーソンは、NTT出身の自民党議員・世耕弘成。民間企業の広報PRを政治の場に応用すべく結成された「チーム世耕」は、徹底した危機管理と情報操作で、ついには自民党を大勝利に導く…。

■ 記憶に新しい小泉劇場。善玉・悪玉という庶民にもわかりやすい構図、(テレビのワイドショーを中心とした)メディアの喜びそうな話題の提供、批判も受け止めながらかわしていく危機管理術…。なのにどうして、こんどの参院選では、こんなに惨敗しちゃったのか???

■ でも冷静に考えてみれば、いわゆる「コミ戦」は何も一昨年の自民党に始まったことではない。田中康夫県知事だってそうだったのではないか。わざと都市部を避けて遊説する、抵抗勢力である県議会との対立、目新しいイメージの脱ダム宣言や脱記者クラブ宣言などなど…。

■ 新書にしては250ページもあるが、改行が多く、同じ内容の繰り返しで、さほど得るところはない。参院選前に出版されたというのも、メディアの戦略か。

境界線の政治学

2007-08-09 | 本  棚
■ 杉田敦『境界線の政治学』岩波書店。著者は法政大学教授。「9.11」以来の、ここ数年に執筆された論評を集めたもの。

■ 国家(の政治)は、地面の上にバーチャルな線を引いて、ある領土を囲い込む。領土を持つ国家が、その領土内のすべての事柄について、管轄するものとされてきた。こうした空間的な囲い込みに対し、人間の“群れ”の囲い込みも進行した。境界線の内部の群れが大きくなり、より健康になり、より豊かになることが国益とされる。ところが、そのように境界線によって内側と外側を区別し、国内政治と国際政治を区別するという手法自体が、一連のテロ事件によって問われることになった。

■ 新聞の論壇などで鋭い切り口を見せる杉田氏だが、専門家向けの論文を集めたものだけに難解だ。海外論文の批評では地味な論理展開が続き、抽象的な概念について行くのは思考的に大変。市民向けの講義に加筆したものもあるにはあるが、かみ砕いて消化するのは骨が折れる。

■ 久々のハードカバーではあったが、結局、さらっと字面をなめる程度で終わってしまった。はやく図書館に返却せねば…


<photo:西穂山頂から奥穂・前穂を望む>