como siempre 遊人庵的日常

見たもの聞いたもの、日常の道楽などなどについて、思いつくままつらつら書いていくblogです。

風林火山 第21回「消えた姫」

2007-05-28 22:55:03 | 過去作倉庫07~10
Story 由布姫の不安定な挙動は、武田家家中にも波紋を投げる。晴信は家中の動揺を鎮めるため、姫を諏訪に戻すと決める。勘助は諏訪湖畔に姫の住まいを整えるが、移動の途中、姫は忽然と姿を消してしまう。雪の中、半狂乱で由布姫を探し続ける勘助。翌日、朽ちた社の中にいる姫を発見する。追い詰められた姫のを見て勘助は自分を責めるが、実は、姫は晴信を激しく愛するようになっていたのだ。恋しい晴信の元に戻ろうとしての逃亡。それを知った勘助は、いずれ天下を取る晴信の子を産むため、心を強く生きるよう姫を諭す。一方信濃では、村上義清が信濃守護・小笠原長時に働きかけ、信濃各地の大名を糾合して武田の信濃侵攻に防衛線を敷きつつあった。

庵主のCheck!

 先々週あたりですか、これで由布姫劇場もひと区切り、と言って締めた覚えがありますが、まだまだ続いていました。で、今週がクライマックスです。きっと。そうだよね。なんかこう、由布姫の巻き起こす波乱の物語をこのまま12月まで眺めることになるような不吉な予感が、ちょっとしはじめてたんです。
 というわけで、さすがクライマックスに相応しいハイテンションなドラマで、えんえん6週にわたる由布姫劇場を締めくくる風林火山第21回。ご一緒に見てまいりましょう。

 今週ふっと思ったのですが、由布姫はスカーレット・オハラなのかもしれないですね。「生きる勇気を与えてくれるのは諏訪の赤い土だっ!」とかね。で、今週は心優しい妊婦メラニー、じゃない三条夫人と、スカーレット由布姫の真っ向対決から始まるわけです。うーむ。ベタだ。
 先週の最後、由布姫がにこやかに(目は笑っていない)夫人にすすめた怪しい甘酒。それをば横からグワッと奪い取り、カーッと一気飲みしたのは侍女の萩乃でしたが、この展開って昭和の『武田信玄』にもあった気がすると遠い日のデジャヴに襲われたのもつかの間、「おーッほほほほほほほほ!!!」という由布姫の宝塚笑いが素敵すぎでした。
 貴女だって私を疑ったでしょっ!でもそーゆう私を御屋形様はお抱きになるのよ、嫉妬するでしょ?どう?するわよねっ!!…とまあ、姫の侍女まで顔色変えて止めるような言いたい放題の暴言で夫人を愚弄する由布姫。
 三条夫人はいい人なので、そういうふうに言われると「嫉妬してるのかも…」と素直に思ったりしたようですが。が、由布姫の方は思いっきり壊れていて、しかも、暴走する視界の隅に三条夫人を案じて駆けつけた晴信が映り、その、なんだ、愛想の尽きたような悲しい顔をみて、ホントに感情が決壊しちゃうわけです。
 そういう姫を、大井夫人@風吹ジュンも心配しますが、親の仇の所に嫁いだ先輩の親身なアドバイスも心には届かず、ただ泣くばかりです。そんな姫の寝所に、もう晴信は渡ることがなかった…って可哀想に。

板の間の小父さんたちも動揺しています。三条夫人を殺そうとした、というかそういう演出をしてみせた、とんでもない女だ、武田家に災厄をもたらす、それというのも「勘助が悪い!」と結局そうなるのですね。
 まあ、姫と晴信に子ができれば全てオッケー、諏訪と甲斐は磐石!とバラ色の未来図を描いた勘助ですから、予定が狂った責任をとれと迫られるわけです。だからって諸角のじい様「そなたが子を産むわけにはいくまい!!」ってそりゃあたり前だって。
 こういうネタにいつも絶妙の突っ込みをいれてお笑いに逃がしてくれる小山田さまも今週は欠席で、苦しい立場の勘助です。私が守ります、命がけで!と開き直ったところを天敵・甘利ゴリさんに「 どっちをじゃ!」と激しく突っ込まれ、「御屋形様ですっっっ!!」と思いっきりの啖呵を切った勘助でした。…が、板の間での立場は、もともと悪いのがさらに悪くなってしまったようで。

由布姫ひとりに振り回されて、御屋形様から家中までてんやわんやになっている武田家ですが、そのころ信濃では、反武田の戦線が次第に堅固になりつつありました。
 先週、信濃の村上義清@永島敏行のデビューについて触れずにいましたが、この人ってなんだか田舎の高校の野球部か、パ・リーグの地味なチームの監督みたい。必ずお前らの屈辱を雪いでやるからな!と諏訪や小県の敗戦チームの肩を叩いてきた村上カントクは、信濃守護の小笠原長時を訪ねました。
 この小笠原さんがかつて『新選組!』で徳川慶喜を怪演した今井朋彦で、無意味に面妖な空気で画面を支配する事にかけては本邦屈指の人(たぶん)。このキャスティングには手を叩いてしまいました。家臣が「ぬぉおお~!殿が、殿がお立ちになられたのじゃ~!」と感泣するほど尻の重い大将という設定が、今後おおいに笑わせてくれようと、期待大です。

 さて、壊れちゃった由布姫を晴信は諏訪に戻すことにします。
 由布姫の生まれ育った上原城は、いまは板垣信方が城代として管理しています。ソニーは、ここに姫を置くのはあんまり良くないんじゃないかと、大人な見解を述べ、「今度ばかりはお前の考えが足りなかった」と、どうもこの人にかかるともういいオッサンの勘助も若造扱いですね。
 由布姫のあたらしい住まいは、諏訪湖畔の小坂観音院にきまり、ここを住まいらしく整えるために勘助、姉様被りしてハタキをもって大掃除(笑)。で、掃除もすませ、身支度も整えて待っているところに由布姫が到着、という運びですが、なんと、到着した輿の中には由布姫はおらず、身代わりに座った侍女が自害して果てていました。
 どこへ行ったんだ、姫。勘助は半狂乱になります。雪の舞い散る真冬の諏訪で、勘助はひとり呼ばわりながら狂ったように姫を探し回ります。「姫さま~、ひ・べ・さ・ば~~~っっっ!!!」
…ってそりゃいいけど、凍死しますがな、アンタ。

 どうもこう、この狂乱の由布姫探索行の中で、あまりの寒さに脳が凍ったか、勘助はひとつの妄想に取り付かれてしまったようなのですね。
 そう…由布姫のためならば、自分は命を捨てる!死んでもよい!それで本望!!…と。
 由布姫は破れたお堂のなかで凍えていました。それを見つけた勘助は、安堵のあまり泣き崩れ、姫さま、ああ姫さま、お辛かったことでしょう。いっそこの勘助と、全てをすてて逃げましょう!!と、まあとんでもないことを口走ります。
 しかし、勘助のそんな切々たる思いの丈を、由布姫は聞いちゃいないんですね。御屋形様の首を取りたい…と相変わらずなことをいってますが、それがなんと「みしるしをいただけば、御屋形様が私だけのものになると思って」と、サロメみたいなことを言います。本当は御屋形様を激しく激しく愛しているの…と、この衝撃の告白に、
「はぃい~~????」
…てな状態の勘助。
この一連の無言の演技は、本当に本当に見ものでした。スゴイ!私のなかで大河ドラマ全作品中の名演技の1ページを飾ると思います。衝撃から虚脱へ、それから憤りへ、すごい感情の振幅をぐっと理性で押さえ込み、「そこまで言って泣くのは止めなさい!」と姫を諭す勘助。
「なんと小さきことをお考えか。御屋形様は天下人になられるお方。この勘助がそうするのです!」「姫様のお生みになる和子さまは、天下人の和子さまになるのです。この勘助がそうするのです!!」
…うう。スゴイ迫力だ。渾身の大風呂敷で、姫への熱い情熱のベクトルを別の方向に向けていく勘助。泣けるとか切ないとかじゃなくて、とにかく圧巻としかいいようがない。

 そんなわけで、勘助といまや「天下人の和子を作る」という共通目的で手を握った(?)由布姫。すんでのところで猟奇に走らずにすみ、厳寒の諏訪に晴信を迎えます。
「冷たい手じゃのう。そなたの手にも御神渡りができているようじゃ」
って晴信のセリフが殺し文句! 湖にできる氷の裂け目の御神渡り(と、そこに丸太の巨木を落とす御柱)がなんの寓意かを想像すると、このセリフってすごーいエロよ。

まあ、こんな感じで由布姫劇場はやっとエンドとなりました。
次週、お久しぶりです今川の殿様や北条の殿様揃い踏みで、新たな局面を迎えます風林火山です。ではまた来週!


4 コメント

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はじめまして ()
2007-05-29 10:05:34
はじめまして。『路地裏より愛を込めて』というブログの持ち主の翔と申します。(主に田辺誠一さん出演のドラマレビューと、その他興味あることを書いています)
『風林火山』のレビュー、いつも楽しく拝見しています。
実は今回、ふたつお願いがあって、書き込ませていただきました。
ひとつは、私のブログにこちらの『風林火山 出直し学習会』をリンクさせていただけないか、ということ。(こちらは期間限定ということですので、もちろん、その期間中、ということでけっこうです)
もうひとつは、『風林火山』に登場する小山田信有のファンクラブ(通称「小山田クラブ」)というものを≪ブルー・カフェ≫のなおみさんが作って下さっているのですが、そこで、こちらの「あの人は誰?第1回・小山田信有」をご紹介させていただけないか、ということ。 というのも、小山田は全国区の知名度はないので、皆、あまり詳しく知らないのですよね。(笑) 実は私もそうだったのですが、以前、こちらの「あの人は誰・・」を読ませていただいて、すごくいろいろなことが解って、小山田が好きになった、という経緯があったものですから。
(小山田クラブについては≪路地裏・・≫にリンクしてある≪ブルー・カフェ≫をクリックしてご覧下さい)

以上、初めての書き込みで、いろいろお願いしてしまって申し訳ありませんが、お時間の取れる時でけっこうですので、ご検討いただければ幸いです。 

私が書いた『風林火山』(第21話)のレビューをトラックバックさせていただきました。
ご参考まで。
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ありがとうございます (庵主)
2007-05-29 21:07:51
>翔さん
うれしいお申し出いただいて、ありがとうございます!
こんなものでよろしければ(笑)リンクしていただくのはとても光栄です。宜しくおねがいします。
小山田クラブ(素敵なバナー…)は、実は私も最近発見して、知らぬ間に小山田さまがブレイクしていたのを知り、うれしくてよくのぞかせていただいてました。ご紹介いただけるなんて願ってもないです。とても嬉しいです。

今週の「風林火山」は小山田さまが始めての欠場で(涙)がっかりしていたのですが、次週はご活躍のようす、それと次回の「風林火山紀行」で小山田家の居城・岩殿城が紹介されるらしいです。小山田クラブも盛り上がることでしょう。楽しみですね♪
返信する
お邪魔します◎ (なおみ)
2007-05-30 15:03:18
庵主さん、はじめましてこんにちは。
上↑の翔さんからご紹介して頂きました「ブルー・カフェ」の店主にして「小山田クラブ」http://blog.goo.ne.jp/naomi-cat/e/aaeaa5308c312b557edfe9a53d8ea156
の管理人を務めさせて頂いている「なおみ」と申します。
「小山田クラブ」も始めは冗談で始めたんですが(笑)皆さんから色々なアイデアを出して頂いてバナーを作って貰ったり、翔さんのようにご自身の記事を「募金」してくださったりと・・・お蔭さまで「クラブ活動」にも大分幅が出てきたように思います。
今回は「次回のクラブ発表に」と翔さんがこちらを紹介してくださいました。改めてワタシからもお願い致します。
またクラブにご興味がおありでしたら、こちらも期間限定ものですので是非一度お越しください。お待ちしておりますので、宜しくお願い致します。
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感激… (庵主)
2007-05-30 20:53:45
>なおみさん

どうも~、はじめまして遊人庵庵主です。
小山田クラブの運営ご苦労様でございます。いつのまにか小山田さまがこんなにブレイクしている~!と驚き感激しつつも拝見してましたので、ご縁ができてとっても嬉しいです。
こんな駄文でよろしければ(笑)、ご自由にお使ください。
というか「風林火山」第一回でホンの顔見せ程度の小山田さまに強く引かれるものがあり、調べたりしてみたのもあれも運命だったかと(笑)。こんなふうに「風林火山」で人の輪が繋がるとは嬉しい予想外でしたので。
今後とも宜しくおねがいします。日曜には、小山田クラブにもお邪魔させていただければと思います。
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