みなさん、今週は! 今週はわたし、半平太さんがらみで3回ウルッときました。詳しくは後述いたしますが、なんか、なんか、良かったですね~。武市半平太という男の生き方が、ピタッと帳尻があった…というか合いつつあるというか。そして、人生の決算が出来るということは、もう最期の時が迫っているんですよね。
もう、そのあたりが切なさMAXで…。ひとりの男の人生の決算と、もうひとりの男の人生の中間決算、そして、まだいろいろ店開きでトッチラかして混乱しまくっている男がひとり。そのあたりの時差も、吉田松陰風にいうと人生の四時の循環ってやつですか、それぞれの局面をみせて面白かったと思います。
いよいよ文久3年、8・18政変を皮切りに幕末劇は血なまぐさい風雲の展開にはいっていくわけですが、その8.18政変の描き方は……。まあ、このドラマにおいては、歴史的な事象の取り扱い方に、あまり期待を寄せないほうがよさそうだとは、もう分かりました。ひとこといわせていただけば、背景の説明の仕方がアッサリとかボリュームが少ない、これはまあ、いいんですが、上つ方の人にイマドキな物言いや立ち居振る舞いをさせる、ほとんどコントふうに仕立てる、、ああいうのそれほど…というかまったく、意味ないんじゃないですかね。今回でいえば、後述しますけど、帝の叡意を公家たちに伝えるところとか。こういうのは、下手をすると視聴者をなめているみたいに見えるので、ほどほどに留めていただきたいと思います。と、あえて苦言を呈してみた。
というわけで、武市さんサヨナラ公演ももうすぐ。第2部ラストももうすぐ? 「龍馬伝」、第21話です。今週もおつきあいよろしく!
今週は、いきなりアバンから、セミヌードを披露しての勝塾の運動会。福山ファンが全国でバタバタ倒れる音が聞こえてきそうなサービスから始まりますが、話の流れは全然能天気ではなくて、先週の、平井のにいちゃんの切腹死が、重ーく龍馬にのしかかっているわけです(そうも見えないけど)。
なんで、つい最近まで世論の花形だった攘夷派が、ふん捕まって切腹するようなことになるのか…と納得いかない龍馬に、勝先生が話してきかせます。いま、天皇のご意思を左右しているのは薩摩と長州のふたつの勢力で、バリバリ攘夷派の長州と、攘夷反対の薩摩、このどっちを帝が選ぶかで今後の状況が変わってくるぜと。…な、なんかちょっと、それもすごい乱暴な解説なんだけど。 薩摩が攘夷反対って、言い切っちゃうんだ。
ま、これが、世に言う8月18日の政変なんですが、これがまたすごくマンガチックで。帝がおもだった公卿をあつめ、叡意をつたえていうことには、「朕は異国が嫌いだ、でもそれは犬猫が嫌いとかそういう次元の話で、異国と戦争やらかしてくれなんていった覚えはおまへん~」と、いまさら脱力するようなことを言い、その瞬間、三条実美以下攘夷派公卿の失脚が決まったと、こーゆーのですね。
んでもって、薩摩が武装して御所を包囲して長州勢を追放する…という事件にうつっていくのですが、あら?会津はどうしたのかしら。薩摩単独の扱いかしら?それも変だし、クーデターの緊迫感ぜんぜん感じない(てか、このクーデターを工作した薩摩藩士の高崎正風が、松村邦弘みたいに見えたんだけど…なにかわたしの気のせいですか)
そして、御所に発砲したら朝敵になってしまうぞ!と、お久しぶり~のコゴローちゃんに止められて、久坂玄瑞は涙を呑んで反撃をあきらめ、御所を追放された三条さんたち7人の公卿を長州に亡命させるべく、雨のなかか都から落ちていくのでした。ところで、こういう事態にいたった経緯とか、御所警護の勢力交代の政治的な影響とかって、いままでのドラマ内での説明だけでわかるんだろうか…?
長州失脚のニュースはすぐに土佐に伝わり、容堂様はホクホク。「大殿様は攘夷派がダメになるとわかってらしたのですね~」などと側近にヨイショされながら、京都在留の勤皇党員たちの即帰国を命じます。それを聞いて、目を見開いて口元を緩める象二郎ちゃん。やっと憎き勤皇党を公然といたぶれる日がめぐってきたと、血走った目の奥が燃えてます。
京都の党員が帰国してきても、「攘夷の志はなにもかわらない!ワシラは大殿様のために命を捨てる覚悟で戦うぜよ!」と元気一杯の檄を飛ばす半平太さんなのでしたが…勤皇党全盛期とくらべると、ほんとに頭数が減っちゃってるのが悲しいねえ。
長州が失脚し、土佐でも攘夷派の弾圧が始まった。勝先生の塾には、故郷から指名手配されたり強勢帰国をいわれている者もかなりいて、「早いとこ放出しないと、御身が危ないのでは」なぞと殿中でイヤミを言われたりしてる勝なのでした。
ですが、勝先生は、「おまえら、国許から帰国命令が出てもぜったい帰るな!」とすごいことをいいます。おまえらはオレの生徒だ、オレが守る!っつうわけですね。でも、そういわれても彼らの主は国許の殿様ですし…帰らなきゃ脱藩になってしまう。どーしよう…と迷う土佐のにいちゃんたち、龍馬も迷ってます。
が、龍馬に関しては、迷っているのは、自分も帰らないと再脱藩になっちゃうとかそういうことではなく(ほんとはそこも問題だと思うんだけど…なぜか龍馬に関しては自由民あつかいですね)、以蔵を探したい!と。そのために、以蔵のカノジョが働いてる居酒屋に行ったりしてるんですが、そんなに気がかりなら、なんで以蔵が半平太さんに引導わたされたとき、勝塾につれて帰るとかしなかったんでしょうね。「好きなように生きろ」とか言っといて。いまさら「以蔵の声が聞こえる…」なんてちょっと無責任なんじゃないの。
そのイゾ子は、土佐藩の捕り方と新選組の両方から追われ(人斬りの所業のせいで?)浮浪者のようになって、お供えの饅頭なんかで食いつなぎつつ逃亡しているのですが…そんな以蔵の身を案じて、土佐の半平太のことも心配で、グラグラ迷う龍馬。饅頭屋の長次郎は「わたしは日本のためになりたいと思って土佐も商売も捨て、侍になりました。迷いも悔いもありません。武市さんたちはもとから侍なんですから、自分の生き方にもとより悔いはないんじゃないでしょうか」と、すごくクールに達観したことをいいます。…ううっ(泣)。なんか、この長次郎って、いちいち先のことに結びつけて考えちゃって、ほんと、いちいち哀愁を感じさせてたまらんのだわ。
さて、今週は久しぶりに弥太郎の出番があります。材木売りをしている弥太郎は、あいかわらず商売ははかどりません。オマケをつけても、安くしても、ぜんぜん売れない…。
もうほとんどヤケになり、ことわられた百姓屋の庭先で、オイオイ泣いていたところ、牛やニワトリや犬などと目が合い(この動物たちがまたいい味だしてんだ)、ハッと天啓!
板を買ってくれたらワシが家の修繕もしちゃる、サービスで!と思いつきで口走った弥太郎、そしてはじめて、板が売れます。商談成立の実感をつかみ、ボーッと夢のように高知の町をあるいてますと、お城の天守閣を見上げてもの思う半平太さんに行き会いました。
弥太郎は、いつものように半平太さんにからみます。ワシははこーして板を売って、商売で生きると決めたんじゃ、弥太郎おまん侍の誇りはないがか!(ってこの部分、ちゃんと大森南朋のモノマネやってるのがウケました)っていうじゃろーけんどのう!
…と毒づく弥太郎に、半平太さんは遠ーーい目をします。「いや、いいことだ、頑張れ。おまんの女房は気立てがエエそうだから、早く子を作れや」…と、やさしい半平太の言葉に、弥太郎の涙腺が…涙腺が!
ですが、ほかの人のようにたやすく情に流れない弥太郎は、出かかった涙を捻じ曲げて、「わし、今日始めて材木を売った。アンタもわしのように、自由に生きてみたらどうじゃ」
半平太さんの答えは、「わしの生き方は、殿様への忠義をつくすことじゃ」と。そして、弥太郎に背中で別れを告げて歩き出すんですが、その顔と、背後で半平太を見送る弥太郎の悲痛な顔と…。いや、たまらんですね。こっちの涙腺が。天敵の弥太郎と半平太が、お互いの生き方を認めて、はじめてお互い敬意を抱きつつ口に出さず、永遠に別れていく。さりげないけど素晴らしいシーンでした。
今週の龍馬は、べつになんの役たつわけじゃなく、じたばた焦ったり迷ったりしているだけなんですけど、とにかくその心配もきわまって、勝塾をちょっと休んで以蔵探しに専念したい、と勝に願い出に行きます。
長州藩士の落ち武者狩りが始まった京都では、これから血の雨が降る。そんな中で追われている男を捜すなんて命取りだ。土佐に帰るのも論外だ、帰ったってオメエになにが出来るんだよ!
と、一喝された龍馬は、「けど、武市さんと以蔵は友達ですき!友達が郷里で殺されようとしているときに、ワシだけ、ワシだけがっっ!!」
…と、この、マジで嗚咽しながらの本音の吐露は、グッときましたですね。龍馬…ひとりだけバカみたいとか言ってごめんよ。自分だけが安全地帯で隔離されてるって、自覚あったんだね。いや悪かった。
泣き崩れる龍馬に、勝先生は言い含めます。武市はもう覚悟を決めているよ。オメエにできることは、武市半平太って男の生き様を見届けてやることじゃねえのかい。
ううっ…。いいこと言いますね。そうなんです。たとえ時代の流れで非難される立場に転じても、信じて生きた男の一生を辱めるなと。意見は異にしたけど、一人の男の貫徹した一生を賞賛しているような、これもすばらしい場面でしたよね。あー、ここも涙腺が…。
そして、半平太さんの人生の総決算のときが来ています。もう覚悟をして、自宅で絵などを描いて淡々と過ごしている半平太さんは、ある朝、朝食をしながら愛妻の富さんに、「わしは自分の生きかたを曲げることはできなかった」とぼそっと打ち明けます。
みんなが自分を信じてついてきているのに、いままで貫いてきた持論は間違いだったと、どうしてもいえなかった。間違ってても貫き通すしかなかった。グチも言いたい、弱音も吐きたいときも誰にもいえなかったんだ…と。
富さんは、きれいな涙を流しながら、「わたしの旦那様はそういうお方です。それだから人がついてきたんです。これからは、妻のわたしにはグチも弱音も言ってください、本当の姿をみせてください」
じゃあ、いままでの分いっしょに過ごそう、春は花見にいって、夏は桂浜にいって、秋は紅葉狩りで冬は温泉にいって…(ってこのくだり、さりげなく「四時の循環」とリンクしているの技ありましたね)と、やさしく淡々と語り続ける半平太さんの背後に、「武市半平太、大殿様のお召しである、神妙に出てまいれ」と捕り方の声が…。
そして、座敷に踏み込まれた捕り方に、泰然として「妻と朝餉をしておりましたので」と一礼する半平太さん。捕り方に囲まれながら、膳をはさんで静かに向き合う武市夫妻。この場面…すごくすごく、美しかった!
そして半平太さんは、「ちっくと行ってくるぜよ」と行って立ち上がり、富さんは、旦那さんに羽織を着せ掛けてあげる。そして、美しく三つ指をついて「行ってらっしゃいませ」と見送るんですが…この一連のしぐさの美しさ!
これがふたりの最期の別れになる…たぶん…そうなんでしょうけど、だからこそ愁嘆場を演じず、淡々と、完璧に整った武家の作法で、いつものように夫を送り出す妻。この夫もこの妻も、これこそ、大河ドラマにおける武家の鑑といえましょう。
今週の半平太さん
もう何も申せません。間違っていても、貫き通すのが自分の生き方だったと認めて、つき物がおちた風情が、なんとも…。奥様との別れのシーンの美しさは大河ドラマ史に残るでしょうが、ワタシとしては、弥太郎とのわかれの切なさのほうを自分的名場面にあげたいと思います。
今週のイゾ子、コゴローちゃん、象二郎ちゃん
それぞれピンポイント出演でしたね…。イゾ子はともかく、コゴちゃんも象二郎ちゃんもほとんど瞬間芸の域に達してますが。あの一瞬で感情みせたり、葛藤を表現したりするのってすごい。ちゃんとした露出を楽しみにしときます。イゾ子は…ああっっっ!!
次週…次週は、イゾ子新選組に囲まれて絶体絶命!ってとこからの展開ね。どうなるんでしょう? めずらしく純粋に楽しみで、待ち遠しいですよ、来週が。そういや今週チラッと原田泰造の出番あったよね?…ってなお楽しみや、半平太さんの最期もどうなるのか、…なんだかそっちはいったん置いといて、次週の目玉商品はヒロインお龍の登場のほうみたいですが?
また来週お目にかかります。ではっ!
もう、そのあたりが切なさMAXで…。ひとりの男の人生の決算と、もうひとりの男の人生の中間決算、そして、まだいろいろ店開きでトッチラかして混乱しまくっている男がひとり。そのあたりの時差も、吉田松陰風にいうと人生の四時の循環ってやつですか、それぞれの局面をみせて面白かったと思います。
いよいよ文久3年、8・18政変を皮切りに幕末劇は血なまぐさい風雲の展開にはいっていくわけですが、その8.18政変の描き方は……。まあ、このドラマにおいては、歴史的な事象の取り扱い方に、あまり期待を寄せないほうがよさそうだとは、もう分かりました。ひとこといわせていただけば、背景の説明の仕方がアッサリとかボリュームが少ない、これはまあ、いいんですが、上つ方の人にイマドキな物言いや立ち居振る舞いをさせる、ほとんどコントふうに仕立てる、、ああいうのそれほど…というかまったく、意味ないんじゃないですかね。今回でいえば、後述しますけど、帝の叡意を公家たちに伝えるところとか。こういうのは、下手をすると視聴者をなめているみたいに見えるので、ほどほどに留めていただきたいと思います。と、あえて苦言を呈してみた。
というわけで、武市さんサヨナラ公演ももうすぐ。第2部ラストももうすぐ? 「龍馬伝」、第21話です。今週もおつきあいよろしく!
今週は、いきなりアバンから、セミヌードを披露しての勝塾の運動会。福山ファンが全国でバタバタ倒れる音が聞こえてきそうなサービスから始まりますが、話の流れは全然能天気ではなくて、先週の、平井のにいちゃんの切腹死が、重ーく龍馬にのしかかっているわけです(そうも見えないけど)。
なんで、つい最近まで世論の花形だった攘夷派が、ふん捕まって切腹するようなことになるのか…と納得いかない龍馬に、勝先生が話してきかせます。いま、天皇のご意思を左右しているのは薩摩と長州のふたつの勢力で、バリバリ攘夷派の長州と、攘夷反対の薩摩、このどっちを帝が選ぶかで今後の状況が変わってくるぜと。…な、なんかちょっと、それもすごい乱暴な解説なんだけど。 薩摩が攘夷反対って、言い切っちゃうんだ。
ま、これが、世に言う8月18日の政変なんですが、これがまたすごくマンガチックで。帝がおもだった公卿をあつめ、叡意をつたえていうことには、「朕は異国が嫌いだ、でもそれは犬猫が嫌いとかそういう次元の話で、異国と戦争やらかしてくれなんていった覚えはおまへん~」と、いまさら脱力するようなことを言い、その瞬間、三条実美以下攘夷派公卿の失脚が決まったと、こーゆーのですね。
んでもって、薩摩が武装して御所を包囲して長州勢を追放する…という事件にうつっていくのですが、あら?会津はどうしたのかしら。薩摩単独の扱いかしら?それも変だし、クーデターの緊迫感ぜんぜん感じない(てか、このクーデターを工作した薩摩藩士の高崎正風が、松村邦弘みたいに見えたんだけど…なにかわたしの気のせいですか)
そして、御所に発砲したら朝敵になってしまうぞ!と、お久しぶり~のコゴローちゃんに止められて、久坂玄瑞は涙を呑んで反撃をあきらめ、御所を追放された三条さんたち7人の公卿を長州に亡命させるべく、雨のなかか都から落ちていくのでした。ところで、こういう事態にいたった経緯とか、御所警護の勢力交代の政治的な影響とかって、いままでのドラマ内での説明だけでわかるんだろうか…?
長州失脚のニュースはすぐに土佐に伝わり、容堂様はホクホク。「大殿様は攘夷派がダメになるとわかってらしたのですね~」などと側近にヨイショされながら、京都在留の勤皇党員たちの即帰国を命じます。それを聞いて、目を見開いて口元を緩める象二郎ちゃん。やっと憎き勤皇党を公然といたぶれる日がめぐってきたと、血走った目の奥が燃えてます。
京都の党員が帰国してきても、「攘夷の志はなにもかわらない!ワシラは大殿様のために命を捨てる覚悟で戦うぜよ!」と元気一杯の檄を飛ばす半平太さんなのでしたが…勤皇党全盛期とくらべると、ほんとに頭数が減っちゃってるのが悲しいねえ。
長州が失脚し、土佐でも攘夷派の弾圧が始まった。勝先生の塾には、故郷から指名手配されたり強勢帰国をいわれている者もかなりいて、「早いとこ放出しないと、御身が危ないのでは」なぞと殿中でイヤミを言われたりしてる勝なのでした。
ですが、勝先生は、「おまえら、国許から帰国命令が出てもぜったい帰るな!」とすごいことをいいます。おまえらはオレの生徒だ、オレが守る!っつうわけですね。でも、そういわれても彼らの主は国許の殿様ですし…帰らなきゃ脱藩になってしまう。どーしよう…と迷う土佐のにいちゃんたち、龍馬も迷ってます。
が、龍馬に関しては、迷っているのは、自分も帰らないと再脱藩になっちゃうとかそういうことではなく(ほんとはそこも問題だと思うんだけど…なぜか龍馬に関しては自由民あつかいですね)、以蔵を探したい!と。そのために、以蔵のカノジョが働いてる居酒屋に行ったりしてるんですが、そんなに気がかりなら、なんで以蔵が半平太さんに引導わたされたとき、勝塾につれて帰るとかしなかったんでしょうね。「好きなように生きろ」とか言っといて。いまさら「以蔵の声が聞こえる…」なんてちょっと無責任なんじゃないの。
そのイゾ子は、土佐藩の捕り方と新選組の両方から追われ(人斬りの所業のせいで?)浮浪者のようになって、お供えの饅頭なんかで食いつなぎつつ逃亡しているのですが…そんな以蔵の身を案じて、土佐の半平太のことも心配で、グラグラ迷う龍馬。饅頭屋の長次郎は「わたしは日本のためになりたいと思って土佐も商売も捨て、侍になりました。迷いも悔いもありません。武市さんたちはもとから侍なんですから、自分の生き方にもとより悔いはないんじゃないでしょうか」と、すごくクールに達観したことをいいます。…ううっ(泣)。なんか、この長次郎って、いちいち先のことに結びつけて考えちゃって、ほんと、いちいち哀愁を感じさせてたまらんのだわ。
さて、今週は久しぶりに弥太郎の出番があります。材木売りをしている弥太郎は、あいかわらず商売ははかどりません。オマケをつけても、安くしても、ぜんぜん売れない…。
もうほとんどヤケになり、ことわられた百姓屋の庭先で、オイオイ泣いていたところ、牛やニワトリや犬などと目が合い(この動物たちがまたいい味だしてんだ)、ハッと天啓!
板を買ってくれたらワシが家の修繕もしちゃる、サービスで!と思いつきで口走った弥太郎、そしてはじめて、板が売れます。商談成立の実感をつかみ、ボーッと夢のように高知の町をあるいてますと、お城の天守閣を見上げてもの思う半平太さんに行き会いました。
弥太郎は、いつものように半平太さんにからみます。ワシははこーして板を売って、商売で生きると決めたんじゃ、弥太郎おまん侍の誇りはないがか!(ってこの部分、ちゃんと大森南朋のモノマネやってるのがウケました)っていうじゃろーけんどのう!
…と毒づく弥太郎に、半平太さんは遠ーーい目をします。「いや、いいことだ、頑張れ。おまんの女房は気立てがエエそうだから、早く子を作れや」…と、やさしい半平太の言葉に、弥太郎の涙腺が…涙腺が!
ですが、ほかの人のようにたやすく情に流れない弥太郎は、出かかった涙を捻じ曲げて、「わし、今日始めて材木を売った。アンタもわしのように、自由に生きてみたらどうじゃ」
半平太さんの答えは、「わしの生き方は、殿様への忠義をつくすことじゃ」と。そして、弥太郎に背中で別れを告げて歩き出すんですが、その顔と、背後で半平太を見送る弥太郎の悲痛な顔と…。いや、たまらんですね。こっちの涙腺が。天敵の弥太郎と半平太が、お互いの生き方を認めて、はじめてお互い敬意を抱きつつ口に出さず、永遠に別れていく。さりげないけど素晴らしいシーンでした。
今週の龍馬は、べつになんの役たつわけじゃなく、じたばた焦ったり迷ったりしているだけなんですけど、とにかくその心配もきわまって、勝塾をちょっと休んで以蔵探しに専念したい、と勝に願い出に行きます。
長州藩士の落ち武者狩りが始まった京都では、これから血の雨が降る。そんな中で追われている男を捜すなんて命取りだ。土佐に帰るのも論外だ、帰ったってオメエになにが出来るんだよ!
と、一喝された龍馬は、「けど、武市さんと以蔵は友達ですき!友達が郷里で殺されようとしているときに、ワシだけ、ワシだけがっっ!!」
…と、この、マジで嗚咽しながらの本音の吐露は、グッときましたですね。龍馬…ひとりだけバカみたいとか言ってごめんよ。自分だけが安全地帯で隔離されてるって、自覚あったんだね。いや悪かった。
泣き崩れる龍馬に、勝先生は言い含めます。武市はもう覚悟を決めているよ。オメエにできることは、武市半平太って男の生き様を見届けてやることじゃねえのかい。
ううっ…。いいこと言いますね。そうなんです。たとえ時代の流れで非難される立場に転じても、信じて生きた男の一生を辱めるなと。意見は異にしたけど、一人の男の貫徹した一生を賞賛しているような、これもすばらしい場面でしたよね。あー、ここも涙腺が…。
そして、半平太さんの人生の総決算のときが来ています。もう覚悟をして、自宅で絵などを描いて淡々と過ごしている半平太さんは、ある朝、朝食をしながら愛妻の富さんに、「わしは自分の生きかたを曲げることはできなかった」とぼそっと打ち明けます。
みんなが自分を信じてついてきているのに、いままで貫いてきた持論は間違いだったと、どうしてもいえなかった。間違ってても貫き通すしかなかった。グチも言いたい、弱音も吐きたいときも誰にもいえなかったんだ…と。
富さんは、きれいな涙を流しながら、「わたしの旦那様はそういうお方です。それだから人がついてきたんです。これからは、妻のわたしにはグチも弱音も言ってください、本当の姿をみせてください」
じゃあ、いままでの分いっしょに過ごそう、春は花見にいって、夏は桂浜にいって、秋は紅葉狩りで冬は温泉にいって…(ってこのくだり、さりげなく「四時の循環」とリンクしているの技ありましたね)と、やさしく淡々と語り続ける半平太さんの背後に、「武市半平太、大殿様のお召しである、神妙に出てまいれ」と捕り方の声が…。
そして、座敷に踏み込まれた捕り方に、泰然として「妻と朝餉をしておりましたので」と一礼する半平太さん。捕り方に囲まれながら、膳をはさんで静かに向き合う武市夫妻。この場面…すごくすごく、美しかった!
そして半平太さんは、「ちっくと行ってくるぜよ」と行って立ち上がり、富さんは、旦那さんに羽織を着せ掛けてあげる。そして、美しく三つ指をついて「行ってらっしゃいませ」と見送るんですが…この一連のしぐさの美しさ!
これがふたりの最期の別れになる…たぶん…そうなんでしょうけど、だからこそ愁嘆場を演じず、淡々と、完璧に整った武家の作法で、いつものように夫を送り出す妻。この夫もこの妻も、これこそ、大河ドラマにおける武家の鑑といえましょう。
今週の半平太さん
もう何も申せません。間違っていても、貫き通すのが自分の生き方だったと認めて、つき物がおちた風情が、なんとも…。奥様との別れのシーンの美しさは大河ドラマ史に残るでしょうが、ワタシとしては、弥太郎とのわかれの切なさのほうを自分的名場面にあげたいと思います。
今週のイゾ子、コゴローちゃん、象二郎ちゃん
それぞれピンポイント出演でしたね…。イゾ子はともかく、コゴちゃんも象二郎ちゃんもほとんど瞬間芸の域に達してますが。あの一瞬で感情みせたり、葛藤を表現したりするのってすごい。ちゃんとした露出を楽しみにしときます。イゾ子は…ああっっっ!!
次週…次週は、イゾ子新選組に囲まれて絶体絶命!ってとこからの展開ね。どうなるんでしょう? めずらしく純粋に楽しみで、待ち遠しいですよ、来週が。そういや今週チラッと原田泰造の出番あったよね?…ってなお楽しみや、半平太さんの最期もどうなるのか、…なんだかそっちはいったん置いといて、次週の目玉商品はヒロインお龍の登場のほうみたいですが?
また来週お目にかかります。ではっ!
半ばまできて、主役・龍馬はやっぱりわりとペラペラなのですが、意外とそういう人っているかも(周囲にどういうわけか人が集まるというか、人のご縁に恵まれるタイプの人というか。)と思うと、そんなに気にならなくなってきました。
土佐へ戻ってきた武市先生、つきもの(攘夷への執着?)が落ちたように白半平太さんになって、
しかもちょっと痩せたように見えました。
(そこらへんも大森南朋さんの計算?)
富さんとの朝餉シーン、切なくって切なくって・・・
この時代に生まれたから武市さんはこういう悲しい生き方になってしまったんだろうなぁ、あ
と10年、生まれるのが早かったら富さんと一生幸せに暮らせたかもなぁ、とそんなことを思いました。(龍馬や弥太郎は10年前なら異端児)
それと、今日は弥太郎が春猪ちゃんにお茶を「ぬるいのはいかんがぜよ!」と散々言って、すっごく熱いお茶を淹れられて「熱!熱!」と言ってるとこで爆笑して、なんだか救われました(笑)
今週は二組の別れのシーンが特に素晴らしかったですね。
今生の別れなのに、そうとは言わずに去って行く武市半平太。
黙って後ろ姿を見送る弥太郎や、取り乱しもせずに
武家の妻らしく送り出す富さん…。泣かれるよりもジーンとします。
今年の大河は演技力のある俳優さんが多くて、安心して
観ていられますが、この俳優さん達に演じてもらえてよかったです。
(庵主様が待ち焦がれておられた、高杉晋作も期待ですね!)
以蔵も来週、いよいよ捕まってしまうのでしょうか…。
尊王攘夷派が不利になった事情は、このドラマだけを見ていたら
わかりづらいのではないかと思います。
ドラマ自体は面白いので、もう少し詳しく背景を説明しても、
視聴者も「難しい」と見るのを止めずについてくると思うのですが…。
興味(疑問?)を持ったら、各自で調べるのも
歴史ドラマの楽しみ方の一つですけど、せっかく衣装やセットも
頑張っているので、簡単に済ませるのがもったいないかなと思います。
実は最近、某劇画を読み直し始めて、私はそれで補完しています。
国を変えるのも商売で儲けるのも「人の気持ち」ならば
己の生き方を貫かなければならないのもまた「人の気持ち」故
今になって龍馬や弥太郎の生き方を認められるようになったものの
だからといって自分が今更そんな生き方が出来るはずがない。
そんな思いを妻にだけ打ち明ける夫。
そんな夫だからこそ、慕っている妻。
そして、夫がこれからどうなるのか分かっている
けれど、それを言葉にも態度にも見せることなく
いつものように夫を見送る
その彼女の本音を
「どこにも行かんとここで二人で過ごしたいがです。」
この言葉だけに込めた演出がまた、たまらないですね。
ちなみに高崎正風は調べてみると
過去にお由羅騒動によって奄美大島に流刑になったそうなんで
西郷さんが流刑の地で運動不足により肥満になったことから
こういう設定になったのかもしれませんね。
今回はもう、ホントに武市さんで一杯一杯でした。途中に癒しのように挿入される岩崎家も上書きされるほど、武市夫妻の別れが切なかったです・・・。
あの二人、あの時点で初めて「生身の夫婦」になれたのかもしれないと思ったら、尚更辛くてたまりません。あの時の武市さんの静かな表情がまた・・・。
全く不器用な生き方ではあるけれど、やり方が正しかったわけでもないけれど、それでも一人の男の生き方を否定して終わるだけではないんだな、と思わせてくれました。
ところで桂さんが久々の登場でしたけど、いずれ登場する高杉との身長の具合はどんな感じかしら、とか気になってしまいました(笑)
楽しみですね!
予想通り切ないストーリーでしたね。
幕末という混乱期に時代を翻弄し、そして時代に翻弄された人々をしっかり描いていました。
今回の白眉は当然半平太と富の朝餉のシーンですね。
改めて語る必要もないでしょう。
大河公式サイトでも、福山氏が自らのラジオでも名シーンと絶賛していましたが、
その通り非常に美しいシーンでした。
朝廷の描き方というのは、さして悪くないのではないかなと思います。
幕府や薩摩の裏工作があったにせよ、
天皇の一言でころりと大転換してしまう
「朝廷らしさ」は出ているのではないでしょうか。
これは土佐藩における容堂の一存で大転換してしまうことと同じですかね。
こういう時代なんだな、感じ取ることができます。今も一緒かもしれないけれど。
この頃の龍馬の描き方は難しいですね。
歴史上に登場していないし、半平太とは物理的にも距離が離れてしまった。
以蔵は近くにいるはずなんだけど、そういえば積極的に助けたという話も聞いたことがない。
「どうしてわしだけが…」というセリフは、
龍馬の心の内を表したいいセリフですが、意外と作り手側の苦悩の表現かもしれません。
まさか、龍馬が高知城に乗り込んで容堂や象二郎を殺し、半平太を解放なんて展開には逆立ちしてもできませんからね。
龍馬は我慢の時が続くわけですね。
弥太郎パートは順調で、珍しい半平太の客演がありました。
そのシーンもとても良かった。半平太が弥太郎に「早く子をつくれ」というのがなんとも切ないセリフでした。
弥太郎の人生を鈴木CPが「弥太郎すごろく」と例えているようですが
今回はまさに5マス進むという感じでした。
また、4マス戻るなんていう話になるかと思いますが。
それでは失礼します。
捕り方の声がかかっても
「秋になったら……」「冬になったら……」と、
この時よ、永遠に続けとばかりに語り続ける半平太。
「どこにも行かんと、ここで2人で過ごしたいがです」
と答える富にも泣けました。
とうとう捕り方が踏み込んできても2人とも取り乱すことなく神妙に立ち振る舞い、
別れの最後の瞬間まで武家の夫婦としての筋目を貫き通す。
これが身悶えして顔をグシャグシャに歪めながらの別れだったらどうだったんだろう?
なんて考えてしまいました。
そして、やはり今回の演出が正解なんだろうな、
これが昔の武家の本当の姿だったんだろうな、
と納得できた思いがしました。
新撰組、やっと登場しましたが、みんな体格いいですね~。
こんな大男らが数人がかりで、か細い以蔵ちゃんを追い詰めていくもんで、
「以蔵は1人でしか人を斬ったことがないのに卑怯だゾ~、かわいそうじゃないか!」
なんて見当はずれなことを考えてしまいました(笑)。
弥太郎一家が「材木が全部売れた~」と大喜びしているシーンと、
以蔵が転びながら必死で逃げ惑うシーンが同時並行というのも、
前にもあった演出ではありますが、やはり対比が鮮やかで効果的でしたね。
弥太郎の「おまけ」(自分で彫った仏様)がめちゃくちゃ下手くそなのが笑えました。
「要らない」と子供にまで言われて
「もう無理!」と泣きながらつぶやく姿も(笑)。
書くことが多すぎるくらいに盛りだくさんでしたが、コメントは皆様にお任せして、配役のニュースを。
長州藩の人物として、井上聞多も配役が決まったそうです。
「ちりとて」の四草にいさんこと加藤虎之助さんだそうです。
長州陣は第三部以降、高杉がかなり出番がありそうですし、他にも知られた人物は多いのですから、まだまだ新配役はありそうですね。
このドラマの配役は、意外性がありながらもちゃんと芝居ができて役にはまる人の起用が色々あって、面白いので楽しみです。
そう言えば、新撰組は首脳三人がいきなり登場でしたが、あのシーンはライダー出身が三人そろっていたのですね(以蔵に土方に沖田)。娘にうけていました(「ライダー対決!」)。
時代劇経験がなくても殺陣がこなせる、それも様式的なものでなくリアルな雰囲気のあるものを長廻しで撮影するという事に対応できる、身体能力の高い若手俳優を探すと、こういうキャスティングになるのでしょうか。
最近のライダー君たちは、(娘からの受け売りですが)その後のテレビ出演はまだ少なくても、舞台や映画で経験を積んでいる人も結構いるそうです。今回の新撰組の二人はどうかな?
時勢の変転の中では、一人の人間など芥子粒のようなもの、
けれども、その一つ一つの芥子粒にも、こだわりがあり、意地もあり、
譲れないこともあるだろう。時流に軽やかに身を任すのも一つの生き方ながら、
滅びを予感しつつも己を貫き通す生き方があってもよい、と思う。
龍馬は、勝と出会い、「日本人」というキーワードを手に入れたけれど、
武市もまた、「日本人」だったと思う(その部分はあまり描かれなかったけど…)。
同じ「日本人」でありながら、
なぜ、武市と龍馬は袂を分かち、異なる道を歩むことになったのか。
脚本は、その答えを、龍馬の「ヒューマニズム」に求めようとしているように思う。
なので、その「ヒューマニズム」と対比する形で、
武市の末路を描かれるとヤダな、という気持ちがあって、
しかし、今回見る限り、そうはならないみたいでよかったです。
その生き様が覚悟したものなら、それを見守り見届けてやるのも、
友としての(あるいは妻としての)役割ではないのか、
という勝の言葉が身に沁みます。
武市半平太、富夫妻の朝餉のシーン、本当に良かった!完全にもっていかれました。
お二人のたたずまいも台詞も表情も。光と影のコントラストも秀逸で。
何も言いますまい。今年の大河名シーン、№1に推させていただきます。
そしてイゾ子ぉ~。どうなってしまうがじゃー。(取り乱しをお許し下さいませ)
見ていたら、あの美しい朝餉のシーンの最中で(涙)静謐さとのギャップで秀逸でした。
今まで半分胡散くさく思っていた武市半平太という人が、なんかやっと理解できたような。
またしても龍馬の影は薄かった・・・。
コゴローちゃん・新撰組?・以蔵の出番もちょっとだったし・・・。そんな中、弥太郎の木材がついに売れて良かった良かった。なぜ動物たちを見て閃いたのかはよく分りませんでしたが。
かなりひっぱる以蔵の続きを気にしつつ、真打ヒロインも登場の次回も楽しみです。