上発地村から

標高934mぐらい日記

タイ ベトナム旅行記 2日目 メークロン川クルーズ編

2016年04月12日 | Weblog
宿前のアムパワー川からあっという間に大河に出た、メークロン川だ。川幅は荒川下流といったところか、いやもっと広いかな。さあぶっ飛ばして暴走クルーズといこうぜ!なんて思っていたらすぐにスピードダウン、青シャツ船頭は川岸に船を停泊させはじめた。岸辺の奥にに見えるのはお寺、これはもしやはめられたか?お布施ぼったくられツアーに連れてこられたんじゃないか?と、一瞬暗い気分になってしまった。ちょっと警戒しながらお寺へ、ナントカ菩薩の前に行ってお花をお供えしたがとくにお金が沢山とられるって事はなかった。
その後お坊さんのいるお堂へ、そこでは木の棒で水をかけられたのだが、あれはお清めの意味だったんだろうな。とりあえずお坊さんの前に入れ物があったのでお布施をお入れしといた。それにしてもタイの寺院はどこも金色を使っていて華やかなんだけど、そのなかに静けさを感じられるような落ち着きがあるのがなんとも不思議だ。それと寺院には犬が多い。お寺が身寄りのない野犬を大事にしてるらしく、なんともやさしい国なんだなと感心しながら、あらためてウチで飼ってるバカ犬のキャンキャン鳴く声を思い出してしまった。飼う人間の本性がが犬にも反映されるのだろう。タイに来てから一回も犬にほえらられなかったので、俺はついには犬好きになってしまったのである。
川岸を出航した青シャツ船はその後もお寺巡りのクルーズツアーになった。アムパワーみたいな支流の川にも入っていったのだが、川べりには高級別荘なんかもあって、やっぱりタイは川とともにある国なんだと実感、護岸工事なんてほとんどやってない大小様々な美しい川を羨ましく眺めていた。お寺巡りで終始するのかと思っていたクルーズだったが、一度だけヘンテコなテーマパーク立ち寄った。まず入り口にプロペラの古い戦闘機が無造作に置かれ、奥に進むと馬やイノシシ、ラクダなんかが動物園のように飼われていた。顔を見合せながら「これはないな~」と長クルーズにも疲れてきた46歳俺と48歳S氏、落胆のセリフを連発するようになってきた。もうそろそろ寺院巡りも終わりにして引き上げるのかなぁなんて考えていたのだが、それからもう二回ぐらいダメ押し巡礼、S氏は「苦行僧のようだな」となかば諦めかけていたのだが、これは最後の最後に青シャツ船頭がしかけた心憎い演出の伏線だったのだ。船がメークロン川のほとりに出た時、夕日は川岸の地平線すれすれのところにあって黄金の光で大河を照らしていた。このクルーズで一番美しい風景、タイの大河の夕暮れを乗客に見せるため、ジャストタイムで船を操っていたのだ。やるな青シャツ…

思いがけないツアーを楽しんだ後、我々は宿に到着。シャワーを浴び、足りなくなったパンツとシャツを洗濯してから夕食をとりにロビーへ。川べりに板の間が接してあって、そこにじかに座れる安楽クッションが置いてある。対岸の明かりはぼんやり燈っていて喧騒など微塵もない。川の水が流れていく音が聞こえるような聞こえないような、とにかく素晴らしいロケーションと静けさと時間の流れ。こんなのがうちの近所にあったらさぞかしいいだろうと本気で思ってしまった。
S氏と二人 まずはハイネケンで乾杯。野菜炒めのあんかけとトムヤムサラダ、タイチャーハンで〆たが美味しかった。このままここで朝まで寝っ転がっていたいような気分だったが、夜がもったいないので夕食後街に繰り出した。アムパワーの街は旧正月ソンクランの前夜祭だったようで、お寺からは大きなスピーカーでお経を読んでるお坊さんの声を流していたり、どさまわりのダンスグループのステージ公演があったり、射的やアイスパン売りなんかもいて祭りの雰囲気を盛り上げていた。13日から始まる本祭では水をたっぷりかけられ、服がびしゃびしゃという状況になってたかもしれないのでその前の旅だったのは正解だった気がする。
せっかく街に出たのでなんか食べなければ祭りを味わえないだろうということで、そのアイスパンとS氏絶賛の卵ともやしの炒め物、最後に何のウジだか分らなかったが、白くて細いウジを炒めて塩を軽くふってあるスナックをいただいた。S氏でさえ最後まで食べるのを拒んでいた代物だったが無茶苦茶美味しかった。若い綺麗なおねえさんが売ってるんだから間違いないと思うのだがな…
しかし体は正直で、あれほど正露丸を飲んで頑張っていた腸も、ここにきてタイ料理の洗礼を受けることになった。急に腹が痛くなったと思ったら、猛烈な便意、慌てて公衆便所を見つけ駆け込んだ。なんとか間に合ったがケツを拭くのは聞いていたとおり手桶に汲んだ水、どうやら川の水らしくちょっと濁っている。宿ではトイレットペーパーを使うことができたがここはやはり手桶の水をケツの穴にかけてきれいにしなければいけない状況だ。意を決してやってみたがあんまり上手にできなかった。人力ウォシュレットはなかなか難易度が高い。残りは宿でなんとかするしかないだろう。だから中学生の修学旅行はタイではダメなのだ。

というわけで二日目がやっとここで終わる。長くて濃い二日目だった。

このあと旅行記続けられるか不安になってきましたが…
 

タイ ベトナム旅行記 2日目 メークロン鉄道 後編

2016年04月12日 | Weblog
満腹になり、いよいよバーンレーム駅を出発、最終目的地のメークロン駅までは34km 川を挟んでまた同じ距離の鉄路の旅だ。前半と同じような風景が続くが、電車に乗っている客は少ない。相変わらず天気は良く、車窓から入り込んでくる風は心地よい。そろそろ鉄路の旅にも飽きてきたかなというころ、終点のメークロン駅が近づいてきた。この駅なんせ線路と市場の商店が近すぎる。
早速車窓ギリギリのところに店の庇が通りすぎた。顔を出していたら完全にもっていかれるやつだ。真正面は良く見えなかったが、運ちゃんはこれでもかというぐらいに警笛を鳴らしていた。スピードは歩くぐらいゆっくりで、直前に横切ってもなんとかなる速度だ。やがて電車は木が敷いてあるホームに到着。タイ人とおぼしき観光客がカメラを撮ったりして僕らを出迎えてくれた。というか眺められてた。マハ―チャイよりももう少し賑やかな市場という感じのメークロン駅だったが、昼を過ぎた市場は朝とはまた違うマッタリとした空気が流れていた。ただすごいのは線路上に食材を置いて商売してる事。魚、肉、野菜といったあらゆるものがゴザやコンテナの上に載せたトレーなんかに乗せて売られている。S氏と相談、荷物をおいて自分達が乗って来た電車が折り返すときに店をたたむ様子を見てみようという事になった。
間もなく電車が出発、大きく警笛が鳴った。線路際の商店主は張りだしていたタ―フみたいなのをゆっくりとたたみ始め、陳列してあった食材を手際よくひっこめ始めた。相変わらず警笛はデカイ音で僕らに注意をうながす。ゆっくり僕らに近づいてきた電車は目の前に来ると思っていたより早いスピードで通過していった。つまづいて前に出たらひとたまりもない。中学生の修学旅行に来てはいけない観光スポットかもしれない。やつらはすぐふざける… 
電車が行った後もう一度市場を散策。S氏はよっぽど好きなんだろう、マンゴーを大量に購入、ホテルで大人食いするといって喜んでいた。驚いたのは荷物を置かせてもらっていた御主人の息子さんは、日本の近畿大学に留学してるとのことだった。カノム・ピヤァ(小豆饅頭)というタイの饅頭を売って日本の私立大に留学させるのはさぞかし大変なんじゃないかと思ったが、俺も頑張らねばなと反省…
空港に到着してからすでに12時間経過、そろそろ我々にも疲労が顔をのぞかせてきた。足を思いっきり伸ばして横になれることを想像しながら、今日宿泊するアムパワーの宿を目指し、メークロン駅をまずは徒歩で出発した。「ソンテウ」というトラックを改造したタクシーに乗って宿の近くまで移動。涼しくて快適なのだがシートベルトは無い。乗り込むときには最後尾の立ち乗り席(席じゃないけど)しか空いてなった。10分ぐらい乗ったかな、90円(30B)を支払い、宿の近くだという所で降ろされた。こっからはまた徒歩。S氏はベトナムで縫製してもらう材料なんかが入った大きめのスーツケースを転がしていかなければいけないのでかなりしんどい。俺もS氏の荷物を少し分担してしょっているので40Lのリュックはかなり重めだった。途中ここに住んでいる日本のご婦人を発見。見た瞬間に日本人だとわかった。一言二言会話、久しぶりにS氏以外の日本語をきいた。
そうこうするうちアムパワー川を渡る橋に到着、目指す宿はこの川のほとり。歩いているだけで気持ちが落ち着くアムパワーの古民家長屋をゆっくり時間をかけながら進むと目指す宿に到着した。緑にかこまれた素敵な宿だ。ロビーの向こうには川があり、なんの仕切りも無くオープンスタイルロビーになっている。一目惚れで気に入ってしまった。実際こんなリラックスできる宿に泊まったことが今まで一度も無い。銀コップででてきたウェルカムドリンク茶も涼しげだった。チェックインの受付はこの宿のオーナーらしき人がしてくれた。蓮の花の髪飾りにピンクのタンクトップ、黒メガネをかけて口紅をうっすらした素敵なおじさんだった。中学生の修学旅行だったら大騒ぎになる。だからあいつらを連れて来てはいけないのだ。とりあえず部屋に行き小豆色のサテンのシーツのベットに横になってしばしゆっくり。市場で買ったマンゴーを大人食いした後、シャワーを浴びてから川沿いのアムパワーの街に繰り出した。
川の水はそんなにきれいとはいえなさそうだが地元の子供達が水浴びして楽しんでいるし、繁殖力の強いウォータ―ヒヤシンスも結構浮いていた。この川のゆったり感は水質どうこうの問題では全くない。
休日には水上マーケットで賑わうらしいのだが、この日は船の店はちらほらしか来てなかった。っていうかどっからこの叔母ちゃん達はやってくるのだろうか?それは今もなぞですが…
僕らはいつものようにタイのベトナムコーヒー(ややこしや)を船に乗ったおばちゃんに注文し、コップ片手に約一時間のアムパワー川の下流につながるメークロン川ツアーに旅立った。40歳ぐらいの青シャツ船頭さんはなかなか男前でかっこいい。むき出しのいすゞエンジンを操作し、そこから長く伸びたスクリューが総勢25名のツアー客を乗せ、ウォーターヒヤシンスをかきわけながら滑りだしたのだ。

つづく