上発地村から

標高934mぐらい日記

サボイキャベツ栽培顛末記

2015年09月06日 | Weblog
またもや秋雨前線の下での仕事になった。

軽井沢のトータル的な今年の降水量は今んところ去年より少ない。年間降水量は結局トータルで帳尻が合うらしいのでこれからの秋が長雨になるか、冬の大雪になるかのどっちかしかない。
どっちもどっちだな…

今年も友人Tからサボイキャベツの苗をもらって育てた。サボイキャベツとはフランスサボイ地方で作られたとされていて葉が縮れて、ちりめん状になっているキャベツだ。Tの友人がイタリア料理店オーナーをやっていて、その彼が是非作ってくれというので今年も作ってみた。
「今年も」ということは… 実は一昨年も作ったのだがその時は見事に失敗、そのオーナーにはさんざっぱら嫌味を言われた
そりゃそうだ、キャベツ栽培で飯食ってる人間がまともにキャベツを作れなかったんだから。
ということで今年も挑戦、今回は万全を期して通常出荷のキャベツと一緒の状態のいい畑で栽培した。

ところがだ。

通常のキャベツは良品で出荷できる状態のものだったのだが、サボイは今年もほとんど全滅に近い状態だった。
防除農薬も通常出荷のキャベツと一緒にし、肥料などの条件も一緒。ところがほとんど腐ってしまっていて100本植えて2、3個しか食べられそうなモノがなかった。

どういうことか考えてみたのだが、まず銅剤系(ボルドー系)の殺菌剤を使わなかったのが一番の原因ではないかと思われた。
キャベツの品種の中では、銅剤の防除が必須の品種が多い。レッドキャベツなんかも銅剤系でしっかり防除しないと腐敗する率は高くなる
品種によって収量や良品率というのはかなり変わってくる、品種選定は重要な経営ファクターになっているのだ。

同じ条件で違う品種を植えて、収穫時に比べてみるととんでもない品質の差になっていたりすることは多い。
だから品種選定の試験は、軽井沢にあったキャベツやレタスを見つけ、安定経営につなげるための大切なマネジメントとなる。

昔は畑で失敗した時 「これは俺の管理が悪かったんだ」とか 「品種選定ミスをした俺がバカだった」 と考え自分自身を否定する考えにまで及ぶ事もあった。
どっからどこまでが自分の責任で、どっからどこまでが他に要因があっての失敗か。すべて自分で抱えこむ必要はないが経営をしてるとミスは許されないんだよな… それが今の俺の状況になってんだから…

大自然を相手にすべてコントロールするなんて事は出来ない。とにかくブレを最小限に食い止めるということ。

   で、結局まだマスターには報告してません。 何言ってもバカにされそうなので…


    今日の一曲  「Sparkle」 山下達郎   https://www.youtube.com/watch?v=8qKh8UHFso8


(農業はじめて三年目ぐらいにサボイキャベツを作ったことがあったのだが、そんときはいいのができた。軽井沢で作ってる人がいなかったので周囲の人にはまったく理解されない代物だったな。なんてたって葉っぱが縮れてるんだもの…)






惨状を忘れない

2015年09月04日 | Weblog
やっと晴れた。

盆明けすぐに秋雨前線がかかって、ほとんど太陽を見ていなかった。太陽光に当たらないと鬱になるらしい。
でもってなんとなく気分がすぐれなかったが、今日は久しぶりに気分のいいキャベツの収穫作業になった。
ここんところの雨続きで野菜の市場価格も高騰している。今日は市場価格スライドの一般箱出荷だったので売り上げも伸びた。
最終的にはどれだけ防除できたか(良いタイミングで農薬散布できたか)っていうのが良品収獲の決め手になる。
農薬頼みの農業ってことになるけど、実際農薬の散布できなかったところは全く収獲できるような物になっていないのだ。

今年は水稲に「いもち病」がでてしまい、先日防除をした。
肥料強めだったのもあるが、ここんところの雨続きの天候も原因。去年は収獲量が多かったが、今年はまだ読めない状況だ。

何事もそうだが、病気や虫や草が発生してからでは遅い。とにかく大事がおきる前に徹底的に抑えておかないといけない。
「大丈夫だろう」っていう油断は絶対禁物、俺も何年も痛い目に遭っているのだが、ツメが甘い自分を戒めねばいかんな…
忘れるっていう事は、人間の心を守るためのシステムなのだが、農業をやっていくためには、忘れたり妥協してはいけない。
ただ費用対効果も考えると高価な農薬を必要以上には使用できない。タイミングとマッチングが腕のみせどころということだ。
防除できずに失敗した畑の惨状を忘れてはいけない。

我々の畑は耕作放棄地を再度畑にしたところが多い。草と闘ったり、前年度の生育データが無いためなかなか苦戦している畑も少なくない。
国や地方自治体が画策する農業政策で「遊休農地の解消」ってのがあるけど、一度荒らした畑を元に戻すのはそれこそ2、3年かかるし、新規農家がそこに手をだしたらえらい目に遭う事にもなりかねない。
たとえば遊休農地に蕎麦播いて収穫し、次の年にキャベツ畑したら、こぼれ種が発芽して、何年かはキャベツ畑に蕎麦の花が雑草状態で生えたりする事になる。
蕎麦はアレロパシー作用(ある植物が他の植物の生長を抑える物質を放出する作用)があり、他の雑草を抑えてたりするのだが、そういうのをトータルにコントロールできる技を身につける篤農家っていうのが最終目標なんだろうけど、俺は程遠いな…

以前中国の農業研修生を受け入れていたころ、研修生にこう言われた。

「オトウサンハタケ、ザッソウオオイ」 「ワタシノハタケ、ザッソウスクナイ」
「チュウゴク、ジョソウザイ イイノアル!」 「 イッカイマク、3ネン クサナイ!!」

そんな除草剤 日本では登録とれないっつーの……


     今日の一曲 Bonnie Pink 「Tonight the nigh」   
         https://www.youtube.com/watch?v=7ZAEyMFko7A