上発地村から

標高934mぐらい日記

タイ ベトナム旅行記 2日目 メークロン鉄道 前編

2016年04月11日 | Weblog
マハ―チャイ駅をめざした電車は最初こそ静かに滑り出したがそれもつかの間だった。住宅街から郊外へ出ると、電車はスピードを徐々に上げ、ガタゴト田舎電車へと変身した。バンピーな線路にかろうじて台車が乗っかっている感じ。こんな電車は日本じゃ絶対国土交通省が許しちゃおかんだろう。途中の踏切ではおじさんがバリケードを引っ張り出して人力遮断機してるし、とりあえず人身事故を避けるために運ちゃん(そんな風貌の電車運転士だった)はクラクションを鳴らしまくっていた。ところが驚く事なかれ、この電車れっきとしたメイドインジャパンなのである… 
明るくなるにしたがいタイがだんだんその姿をあらわしてきた。電車の旅は日本でもいいが、異国で乗るのもなかなか素晴らしい。約2時間程だったが車窓からの風景は飽きることが無かったし、暑い風も心地よかった。そして電車は終点マハ―チャイ駅へ。ホームはすでに活気にあふれ、街の朝は人と車とバイクとリヤカーでごった返していた。線路脇はすぐに店が立ち並んでいて、肉や魚、野菜が山積みになっている。花売りやハンガーを持って立って売っている無店舗アロハシャツ売り、焼き鳥や焼きいも、タイお菓子の露天商なんかもあった。生カエルや串に刺した干しガエル、豚の頭が丸々売ってたりするのははじめて見たのでちょっと驚いた。ここでとりあえず朝飯を食べようということになり、駅前のおばちゃんがやっている屋台で臓モツスープとライスを食べることにした。代金はおばちゃんの旦那らしきおっさんにボられ、40バーツだったのを50バーツにされたようだ。30円損した… まあ臭みも全くなく美味しかったのでよしとしよう。
食後は再度市場の中を見学、中にあった喫茶店でベトナムコーヒーを飲む事にした。タイでもベトナムコーヒーは人気らしい、深めに煎った豆から抽出し練乳と混ぜて作るコーヒーで、S氏もこのコーヒーが大のお気に入りなのだ。僕もS氏も冬はスキー場のパトロール隊員をしているのだが、山頂待機の時はレギュラーコーヒーを飲んだりする。僕はほとんどブラックなのだがS氏は必ずミルクと砂糖を入れてしまうのだ。コーヒー本来の味が台無しになるじゃないかと時には口に出して、時には心の中で言っていたのだが、この状況を見て得心が行った。俺も一口飲んでその虜に。昔々軽井沢の喫茶店で飲んだような気がするが味はよく覚えていなかった。涼しい軽井沢にマッチしていなかったんだろう。だから多分日本に帰ったらまたブラックを飲むと思う、ベトナムコーヒーは東南アジアの気候にマッチしているのだ。
時刻はちょうど9時になっていて喫茶店(とはいえドアもなにもない良く言えばオープンカフェ)のテレビではタイ国王の朝番組が放送されている。店主らしき年配のおじさんはテレビに向かっておじぎをしていて、両足にはさんでいる孫らしき女の子にもそうするように諭していたのだが、それを見たS氏も一緒におじぎ。店主はタイ国王に敬意を表す日本人にいたく感動したらしく、コーヒー代金を払おうとしたら、それを断固拒否するのだ。それでは申し訳ないと再度突き返すが店主の意思は固かった。我々はとにかく半額料金を渡し逃げするように置いてきてなんとか事なきを得た。ただでさえ安い代金を無銭飲食するわけにはいかないのだ。
マハ―チャイ駅を後に我々旅行隊は次の目的地バーンレーム駅を目指した。本来メークローン鉄道はマハ―チャイ駅通過後、川を鉄橋かなんかで渡りバーンレーム駅に行く予定だったらしいのだが、何らかの理由(予算不足とか)で鉄橋が架からなかった。しかたないので乗客は川を船で渡ってバーンレーム駅に行き、そこから後半戦のメークローン鉄道に乗りついで終点メークローンに向かうというわけなのだ。というわけで我々は渡し場に向かい到着、緑色の平らな船に乗り込んだ。徒歩の乗客は我々のみ、あとはバイクに乗ったまま乗船してくる地元の人達ばかりだった。そしてあっという間に対岸へ、船頭は船と同じ色のポロシャツを着たいかしたおっさんだった。バーンレーム駅へ歩いている途中、iPhoneのプリペイドsimカードが売っていたので買おうとしたのだが、売ってるおっちゃんがセッティングできないというので断念、結局タイではフリーWiFiのあるところでしかスマホを使うことができなかった。まあいい、日本での俺は四六時中スマホをいじっているから、これを機にスマ中を克服したほうがいい。事実旅行中の俺のiPhoneはただのカメラに堕していたのだが…
バーンレーム駅は絵にかいたようなのどかさ、さっきのマハ―チャイの喧騒が嘘のようだ。犬は線路を枕に寝ているし、お坊さんは木の下で涼んでいる。ホームには駅近くの住人のであろうブラジャーが何枚も干してあった。ホームの屋台では青いニット帽をかぶった土木作業員の兄さんが昼飯をガッツリ食べている、それがうまそうだったので我々もそこで電車が来るまでのんびり昼飯を食べることにした。まずはタイビールを注文、喉を潤してからタイの麺(クティオ)とタイ風鶏そぼろ飯(ガッパオ)をいただく。朝食に引き続き昼食も当たりだった。とにかく旅と食は切り離せない、旅とはそこの土地の食にふれることなのである。

まだまだ食べまくるぞと期待を膨らませ、日本から持ってきた正露丸をビールといっしょに胃袋に流し込んだのだった。


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (オシガネ)
2016-04-12 01:18:51
まとわりつくような東南アジア特有のねっとりした熱気が伝わってくる。ベトナムコーヒー屋のおじさんの気持ちがうれしいね。こないだ行った人も、ベトナムに心酔してた。行ってみたいな~
返信する
Unknown (やすよし)
2016-04-13 01:08:09
コメントありがとうございます。ねっとりした熱気も最後は好きになりました。
洗ったパンツ なかなか外に干しても乾かなかったですし。ここではタイのベトナムコーヒーですが(⌒-⌒; )
返信する

コメントを投稿