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一日一書 862 奥の細道(秋風を耳に残し)・芭蕉

2016-04-16 13:51:42 | 一日一書

 

「奥の細道」より

 

半紙

 

 

秋風を耳に残し、紅葉を俤にして、青葉の梢猶(なほ)あはれ也

 

 

【口語訳】

能因法師の「秋風ぞ吹く」の歌の秋風の響きや、

頼政の「紅葉散りしく」の歌の「紅葉」を思い浮かべながら、

青葉の梢をあおぎ見るのだが、この青葉の梢のさまも

やはり深い趣がある。

 

能因法師の歌は「都をば霞とともに立ちしかど秋風ぞ吹く白川の関」

源頼政の歌は、「都にはまだ青葉にて見しかども紅葉散りしく白川の関」

 

芭蕉が今眼前に見ているのは「青葉」ですが

その向こうに、まるでレイヤーを何枚も重ねたように

昔の歌のイメージが透けてみえるのです。

 

旅はまた、教養とともにある、ということでしょうか。

 

 


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