「奥の細道」より
半紙
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心許(もと)なき日かず重(かさぬ)るまゝに、
白川の関にかかりて、旅心定まりぬ。
【口語訳】
なんとなくあわただしく、心落ち着かない旅の毎日を続けているうちに
白川の関までやってきて、やっと旅に徹する心に落ち着いてきた。
(日本古典文学全集・小学館)
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「白川の関」は古来の歌枕。
多くの歌人がここを歌に読んできたのでした。
「風雅」の道を志した古人に思いを馳せ
芭蕉も、やっと「旅に徹する心」を獲得したということでしょうか。
人生が旅ならば、ぼくらにとっての「白川の関」が、それぞれにあるはずです。
それは、もう越えてきてしまったのか、それともこれからなのか。
そういう思いに誘う「奥の細道」の奥はどこまでも深く続いていきそうです。