スウェーデンの今

スウェーデンに15年暮らし現在はストックホルム商科大学・欧州日本研究所で研究員

予算案提出 → 今度は野党の出番

2006-04-22 14:51:23 | スウェーデン・その他の政治
ストックホルム商科大学でゲーム理論の講義。Philippe Jehielを招いた特別講義で、“限定合理性における戦略行動”の説明だったのだけれど、勉強不足のために、話が抽象的過ぎて、ほとんどついていけなかった。自分に落胆し、終了後は真っ先に講義室を飛び出してしまった。

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ビールで気分を紛らわすべく、友人とガムラスタンで夕食をとる。この友人もヨンショーピン時代からの友達で、ヨンショーピン大学で修士号をとった後は、同じ大学で私と一緒にresearch assistantとして統計処理や経済調査の仕事をしていた。

その後は、道路交通局で調査の仕事をしたあと、今は中央党の政策秘書をやっている。国会議事堂の横の建物に各議員や党関係者のオフィスがあり、彼のオフィスもそこにある。廊下がかなり広く、彼の部屋も大きかった。ドラマで見た官庁のオフィスの雰囲気とほとんど一緒だった。かつては主要政党の一つだった中央党も、最近はかなり小さくなってしまって、国政レベルでは6%の得票率しかない。中央党をはじめ、その他の小規模の政党(キリスト教民主党・左党・環境党・自由党)が同じ建物にオフィスを構えていた。一方、与党の社民党と、野党第一党の保守(穏健)党は規模がでかいために、独自の建物を持っているのだそうだ。

ちょうど、与党から春の予算案が提出されたばかりで、現在はそれにじっくり目を通している真っ最中らしい。これから2週間以内に、中央党として、そして野党連合としての独自の予算案を提出しなければならなく、それに追われているとのこと。もちろん、以前から党としての対抗予算案のアイデアはあったのだけれど、与党が予算案を提出したことで、国の財政にどれだけの余裕が今あるのかが、より明確になったので、中央党としてもより具体的な対抗案が出しやすくなるのだそうだ。

こうして、提出する対抗予算案も、実際に影響力持つことはない。社民党と閣外協力の左党・環境党が国会で多数を形成しており、この3党の間で既に合意が得られている。それでも、中央党としてのプロフィールと独自性を対抗案の中で打ち出さなければならない。スウェーデン国会に議席を獲得するためには、最低4%の得票率を確保しないといけないが、中央党はかろうじて水面に顔を出している感じだ。しかも、野党連合の中では、比較的大きな保守党や自由党に押されて、存在感もほとんどない。だから、独自性を出すことは党の死活問題に関わってくる。(一方で、地方政治のレベルでは、中央党は今でもかなり有力)ちなみに、政策秘書としての彼の雇用も、9月の総選挙までで、それ以降どうなるかは、選挙の結果次第だとか。(4%のハードルをかろうじて越えられるか・・・?)


スウェーデンの国政政党の左右スペクトラム
幅の大きさは議席数とは無関係
左3党が左派ブロック、右4党が右派ブロック

スウェーデンの政党は党自体に調査部門を設けて、政策の策定や、ある政策がとられたときの効果の推計に関して、自分たちでやってしまうのか、と思っていたけれど、大きな社民党や保守党を除いては、そのような余裕はなく、たいていの場合、国会事務局の調査部門に依頼するのだそうだ。日本と同じなんですね。(日本では国会図書館に似た部門があるとのこと)

いろんな話が聞けて面白かった。
寝袋持参なので、その晩はアパートのソファーで寝かせてもらう。
その晩からストックホルムはまた雪に包まれる。


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