スウェーデンの学校における“規律”が一部で乱れており、学級崩壊に近い状況に発展している、という話がここ数年、よく聞かれる。OECD諸国の学校教育水準を比較する「Pisa調査(報告書)」(Pisa = "Programme for international student assessment")においてもスウェーデンはこう評されている。
・「クラスにおける秩序」はOECD諸国の平均よりも劣っている。
・「授業への遅刻」がOECD諸国の平均よりも劣っている。
例えば、授業中に携帯電話を鳴らしたり、SMS(携帯メール)を隠れて送ったり、携帯を使って授業中に音楽を聴いたり、といった、携帯電話にまつわる規律崩壊が最近ではよく騒がれている。
日本の学校であれば(少なくとも私がいた市立中学・県立高校では)、教師の権威によって有無を言わせず、携帯を没収して保管、後で長い反省文を書かせ、生徒は泣く泣く返してもらう、という形で対応するのかもしれない。しかし、生徒に対しても「個人としての権利」がしっかりと確立しているスウェーデンでは、教師も生徒に対してうかつに強制力を行使することができない。だから、携帯電話の扱いについても手をこまねいている。
携帯電話を始めとする“授業を妨害する”器物を教師が取り押さえるにしても、教師にその権利があることが法律にしっかり記載されなければ、それができないのだ。現在の政権は、学校の校長にこの権利があることを記載した法案を国会に提出する予定で、現在、法制局(lagrådet)がこの法案を審査中とのこと。「校長に取り押さえの権利がある」といっても、実際にその判断を行うのは現場の教師であり、彼らが「校長の名において」妨害物を取り押さえる、という形になる。
このようなことまで法律で規定されないと実行できないのは、日本人の目からすると興味深いかもしれない。前の社民党政権はこの点に関しての法改正にはなかなか実行力が見られなかったが、その必要性は認めていたようだ。しかし、なぜここまで時間がかかっているのか? やはり、スウェーデンでは教師が“権威”をかざすことによって、言うことを聞かせる、というやり方には抵抗を感じる人がいるからのようだ。
または、この法案では“授業を妨害”しているかどうかを判断するのは現場の教師だとされているが、その判断は教師によりまちまちになり、公平性に欠ける、というような理由で反対する声も聞かれる。そのような公平性に欠ける判断で持って、個人の所有物を没収しても良いのか?というのだ。
しかも、厄介なのは、取り押さえを命じられた生徒が、その器物(例えば携帯)の提出を拒んだとき。法案には「教師は問題の生徒の手からそれを取り上げることはできるが、暴力や脅迫によって強制的に取り上げることはできない。その生徒の衣類や鞄を強制的に捜索することも禁じる。」とされている。このような場合には、校長を呼び出して、校長に処置をしてもらう、のだそうだ。(おそらく、その場でラチが開かないとすれば、その後、保護者を呼び出すなどの処置を取るのではないかと思う)
日本でも紹介されたスウェーデンの中学校社会科の教科書『あなた自身の社会』が象徴するような、スウェーデンの「リベラルな教育」にはすばらしい点がたくさんあるとは思うが、教育の現場における個々の細かい点について、スウェーデンの教育界が抱えているこの様な問題点について観察して行くのも面白いと思う。
・「クラスにおける秩序」はOECD諸国の平均よりも劣っている。
・「授業への遅刻」がOECD諸国の平均よりも劣っている。
例えば、授業中に携帯電話を鳴らしたり、SMS(携帯メール)を隠れて送ったり、携帯を使って授業中に音楽を聴いたり、といった、携帯電話にまつわる規律崩壊が最近ではよく騒がれている。
日本の学校であれば(少なくとも私がいた市立中学・県立高校では)、教師の権威によって有無を言わせず、携帯を没収して保管、後で長い反省文を書かせ、生徒は泣く泣く返してもらう、という形で対応するのかもしれない。しかし、生徒に対しても「個人としての権利」がしっかりと確立しているスウェーデンでは、教師も生徒に対してうかつに強制力を行使することができない。だから、携帯電話の扱いについても手をこまねいている。
携帯電話を始めとする“授業を妨害する”器物を教師が取り押さえるにしても、教師にその権利があることが法律にしっかり記載されなければ、それができないのだ。現在の政権は、学校の校長にこの権利があることを記載した法案を国会に提出する予定で、現在、法制局(lagrådet)がこの法案を審査中とのこと。「校長に取り押さえの権利がある」といっても、実際にその判断を行うのは現場の教師であり、彼らが「校長の名において」妨害物を取り押さえる、という形になる。
このようなことまで法律で規定されないと実行できないのは、日本人の目からすると興味深いかもしれない。前の社民党政権はこの点に関しての法改正にはなかなか実行力が見られなかったが、その必要性は認めていたようだ。しかし、なぜここまで時間がかかっているのか? やはり、スウェーデンでは教師が“権威”をかざすことによって、言うことを聞かせる、というやり方には抵抗を感じる人がいるからのようだ。
または、この法案では“授業を妨害”しているかどうかを判断するのは現場の教師だとされているが、その判断は教師によりまちまちになり、公平性に欠ける、というような理由で反対する声も聞かれる。そのような公平性に欠ける判断で持って、個人の所有物を没収しても良いのか?というのだ。
しかも、厄介なのは、取り押さえを命じられた生徒が、その器物(例えば携帯)の提出を拒んだとき。法案には「教師は問題の生徒の手からそれを取り上げることはできるが、暴力や脅迫によって強制的に取り上げることはできない。その生徒の衣類や鞄を強制的に捜索することも禁じる。」とされている。このような場合には、校長を呼び出して、校長に処置をしてもらう、のだそうだ。(おそらく、その場でラチが開かないとすれば、その後、保護者を呼び出すなどの処置を取るのではないかと思う)
日本でも紹介されたスウェーデンの中学校社会科の教科書『あなた自身の社会』が象徴するような、スウェーデンの「リベラルな教育」にはすばらしい点がたくさんあるとは思うが、教育の現場における個々の細かい点について、スウェーデンの教育界が抱えているこの様な問題点について観察して行くのも面白いと思う。
滞在の詳しい情報は受け入れ先、もしくは、コーディネートしている機関・団体に問い合わせるのがよいでしょう。
一月に行くのですが、高校及び周辺環境について分かりましたら教えてください。
高校の寮に住む予定です。
歩いて行ける距離に食料品、衣類、電化製品など揃いますか? 日本でいう電気水道ガス、灯油などの光熱はどうなっているのでしょうか?
成績評価のことは取り上げたいと思っています。
当方、昨年8月よりヨンショピンの国民高等学校でスウェーデン語を学んでいます。
スウェーデンの社会について詳しく書かれているのでとても参考になります。
2カ月くらい前の新聞に、今年か来年(覚えていないのですが)に、現在では8、9年生のみに適用されている学科ごとの評価を3年生から導入させるといったことが書かれていました。法案の背景には、学力低下、授業態度を改善させる狙いがあるようで。日本の習慣にどっぷり漬かった私としては"大賛成!"と声を挙げたくなるものの、導入されたらされたで、また新たな問題が浮上するのでしょうが。
今後ともよろしくお願いします。
PISAは学力のことを庁際していると思っていましたが、それ以外のことも調査しているのですね。
貴ブログの自己紹介に「空を見上げること」とありますが、自分も好きですね。とくに、晴れた夜空は何時間見ていても飽きません。山小屋での夏の生活では庭に寝椅子を持ち出して飽きずに眺めています。大宇宙は果てしないものを想像させてくれますね。冬もいいですね。一昨日、30分ほど眺めました。オリオン座が美しく見えました。ちょっと寒いですが冬の空は澄んでいますね。